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1章 Secret Rebirth
【二十四】僕はSNSじゃ“じもっち”の名で知られてたんだ。これでも強いんだぜ?
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夜が明けた。
軽い様子見のつもりだったのに、えらく長い夜になった。
クレオの言う通り、シヴィル・リーグの暴走は一晩で片付いた。
人生というのは、動く時はあれよあれよと言う間に転がるものだ。
戦いが終わった。
シヴィル・リーグに死人はいない。
あの後、二代目セイメイを中心に爆発が起き、周囲には彼の姿がなかった。
死んではいない。それはわかる。
あの時のジェーンなら、爆発で崩れる肉片も認識できたはずだ。
初めてセイメイと戦った夜の、僕のように。
彼が何処に行ったのかはわからないが、また戦うことになってもジェーンなら大丈夫だろう。
とにもかくにも、彼女の処刑を先導していた彼を組織から追いやったのだから、めでたく聖女の安全は保証された。
あの後、面倒なことは全部シスマに任せ、ジェーンは領地にある広大な農地に来た。
屋敷を追放される前にトレーニングをしていた場所だ。
僕が疲れた時は両親に会いに行った。
そうすれば心身の疲れがぐっとリフレッシュされたものだ。
彼女にとって、それは農場ということだ。
「こんにちは、ジェーン様」
「今日もおかげさまで達者にしてますよ」
「おはよう。ケガのないようにね」
朝早くから畑仕事に出る領民と挨拶を交わし、
小高いところにある空間で、ぼんやりとしていた。
まだまだやることはごまんとある。
彼女に稲作の知識は戻っていない。
これからもヒーローをやるなりして知識を取り戻す探求をしなければならないはずだ。
今はサバフライのおにぎりと漬物を食べているが、自力でこれらを発展させる下地はなくなっている。
「はぁー。ほっぺが落ちるわ」
大きな握り飯が五つ、バスケットにあったのをぺろりと平らげた。
誰にでも、お気に入りの場所で好物を食べる幸福というものがある。
僕の場合は木星で太陽が少し隠れるくらいの位置まで飛び、そこでライスバーガーを食べるのが至福だった。
もちろんライスバーガーは自作だ。
そこで米に拘らなければ、秋田米で育った身としてはピースがはまりきらない。
──今日は良い天気になるね。
「このまま夜まで寝てようかしら」
彼女の知識は失われたままだが、大きく変化したことがある。
僕と、いつでも会話ができるようになった。
これでようやく、延々とぶつぶつ独り言を述べる聖女の脳みそに寄生する変なのではなくなったわけだ。
喜ばしいことこの上ない。
「とりあえず来年に処刑されることはなくなったし。ゆっくりしたい気がする」
──いいのかい? 一刻も早くお米の研究に戻りたいって言ってただろ。
「まあそうなんだけどねえ」
一息で行って戻ってくると、トレイの上に丼飯と粘ついた豆があった。
納豆だ。こうなる前に実現の研究をしていた。
彼女抜きでも完成したのだ。
普及するかはわからないけれども、僕としては大好きな納豆が見られて嬉しい。
「こう。あなたの話に乗ってヒーローってのやってみたけどさあ。振り返ると、稲作の知識が必要になること、一回もなかったのよね」
それはそうだろう。
いつかは必要になることもあるかもしれないけれど。
今、彼女の周囲が求めているのはそれじゃない。
ヒーローをやるということは、市民の声と心に触れることだ。
「もうちょっとこれを続けるのもいいかなって思い始めてる。振り返ると、稲作はやりきった感があるし……他のこともやってみて良いのかもって」
お米と結婚したと啖呵を切っていたはずだけど、そう考えているなら否定することもない。
しかし、乗り気じゃないことをいつまでもさせるのも心苦しいところではあった。
稲作以外に興味が向いたなら、それは視野が広がったということだろう。
ヒーローをもう少し続けるなら、それでいい。
懸念点としては、彼女の領地にはもうヴィジランテがいることだ。
シオン、シオンが教育する子ども達。
子どもの権利条約を真正面から否定した少年少女の戦士が出来上がるだろう。
夜と都市の暗闇を自警団が守護するようになったら、スーパーヒーローは必要とされるのだろうか。
「それにクレオの言ってたことを考えるとね。あたしも、ちょっとは甘えてたかなって」
──前世を思い出すのは、満たされていないからとか、追い詰められているからってやつかい?
「結局は、知識は凄く極一部を持っただけでも、こうしてあなたが意識を持って現れたわけじゃない?
他の人にそういうのがない理由を考えるとね」
朝日、金色の曙光が聖女の横顔を照らす。
俯いて何事かを考える彼女の目は遠く、
自然と体育座りの姿勢を取った。
「あたしが必要としてたのってやっぱり……」
先は噤もうとしていたのに、自然と言葉が溢れた。
「家族」
──ジェーン。
無意識に零れ落ちた言葉だったのか。
何を言ったのか遅れて自覚し、頬を赤らめて首を振った。
いつもパワフルな彼女としては、あまり認めたくないことだろう。
親との不仲が、心の奥底で悲しみになっていたことなんて。
それが決して恥じることのない、普通の感情だとしても。
特別な存在として生き続けてきた彼女には、自分の悲しみを受け入れるのに勇気がいるに違いない。
前までの僕は彼女の脳内にいるだけだったので、こういう時も見守るだけだった。
今は彼女に僕の言葉が届く。
つまりは、心に直接働きかけられる。
──ちょっと僕を出してみて。
言われるがままに、ジェーンは首から下げた魔道具を起動した。
彼女の血液で構成された人型の僕が、地面に降り立つ。
マントになった経験から、だいぶやり方がこなれてきた。
密度を薄めて、ジェーンと同じくらいの背丈にまで拡大させた。
あまり遠くに行けないので、一段低いところにある比較的平坦な場所に降りた。
多少だが周囲に働きかけができるようになり、近くにあった手頃な棒を拾う。
田舎育ちはいつでも自然から自分にマッチした棒を拾い上げられるものだ。
地面に直径三メートルの真円を刻んだ。
二人が向かい合うための立ち位置の目印、仕切り線も描く。
立派な土俵ができた。
「なにそれ?」
「相撲をしよう!」
「え、やらないけど」
「何かもわからないのに断るなんてもったいないよ」
「身体を動かすやつでしょ? あたし、そういうの興味ないし」
たしかに彼女はスポーツを初めとしたエキササイズの面白さを理解できていない。
けれどもそれは、身体を動かすことを楽しむ機会がなかったから。
僕が身体を動かす楽しみを知ったのは、親と相撲を取った時だった。
謂わば我が家の伝統である。
「まあまあやってごらんよ。ほら、僕と向かい合って膝を曲げて」
「えー……」
渋い顔をして嫌がられた。
一度やってみたら、きっと楽しめるはずだ。
「ほら、一度だけでいいから」
「はぁ……ネタバレして良い? 運動って重心低くし続けて息止めるのが長い方が、だいたい勝つようにできてるからね」
「そんなちょこざいな技術論は通用しないよ! 僕は子供の頃からこれをやってたんだ!」
繰り返し呼びかけると、ようやく降りてくれた。
「ほら向かい合って、握った両手の先端を軽く土俵につける」
「はいはい」
膝を曲げて腰を落とす。
まあたしかにジェーンの言う通り、重心が低いのは大事だろう。
けれども相撲とは奥が深いものだ。
頭の中で捏ねた理論だけで勝てるわけがない。
「向かい合ったね。そうしたらお互い同時に相手にぶつかり合って腰を掴んで、この土俵って円から押し出すか、投げて膝か手を地面につけさせた方が勝ち」
「でしょうね。見れば想像つくわ」
ちょっと素っ気なさすぎない?
普通に傷つき始めてきたぞ。
「合図は?」
「はっけよーい、のこった!」
同時にぶつかり合う。
血の風船同然の僕の身が破けはしないかという不安はない。
シスマの魔法によって強度はある。
僕の力が発動していない少女と組み合っても、破けはしない。
初のぶつかり合いは、僕が彼女を豪快に投げ飛ばして終わった。
「ほらね? そう簡単に行かないだろう! よっしゃあ!!」
失言、失敗だった。
初心者に勝っただけなのにガッツポーズをしてしまった。
いくらジェーンが天才的運動神経の持ち主だからって、大人気なさすぎる。
反省しよう。恥じるべきだ。
「…………もう一回」
大の字に寝転がっていたのがムッと来て、聖女がすぐに起き上がった。
やれやれ、ムキにさせてしまったようだ。
まったく、僕としたことが。
だが僕の相撲は両親監修の下で修めた技術。
一度や二度の挑戦で初心者が勝てるわけない。
戦いに役立てたかというとそうでもないが、修めた技術は魂に刻まれている。
「はっけよーい、のこった!」
二度目。ぶつかり合いが成立した。
初心者なりにやり方がわかってきたらしい。
覚えが速い。
でもまだだ。僕のほうが強い。
脇の下に両腕を深く差し込み、膝を持ち上げる感覚で伸ばす。
腕だけの力ではなく、身体そのものの力でジェーンを浮かべた。
「どう? 楽しいでしょ」
敗けた相手にこう言うの、煽りになりかねないと気付いた。
下手に口を開くのをやめた方がいいな。
なんか止まらない流れを感じる。
自分でも気づかないくらいに、久々に相撲をやって楽しんでいる。羽目を外しているんだ。
言うなれば、そう、無礼講。
「次、あたしね。はっけよーい、のこった」
彼女から“のこった”を言ってくれた! 感動だ。
三度目の勝負も僕が勝った。
それからも何度もぶつかり合った。
相撲は良い。
相手の息遣いが、力の入れ具合が、相手の存在がダイレクトに伝わる。
僕は天気の良さ、太陽の暖かさを知ることはないが、彼女の上気する頬、荒くなる息遣い、流れる汗。
どれもが、この世界がどういった感触かを間接的に伝えてくれる。
何度投げられても立ち上がる彼女の真剣な様子。
集中力、情熱が燃え盛っている。
「えっ」
彼女が熱意をもって相撲を取っていることに感慨深くなっていると、視界がぐるりと回った。
あっさりと土俵の外へ投げられた。
……なんで僕が投げられた?
「よっし」
今度はジェーンがガッツポーズをした。
仏頂面でやっていたのに、歯を見せて笑っている。
うっかり出てしまったものなのだ。
すぐに自覚して口を閉じた。
「はっはっは。やるね。でも君のやり方はわかったよ。もう一回だ!」
向かい合って、はっけよーい、のこった。
投げられた。
なんか……なんで投げられたかわかんない。
「ゲー!」
今度は出足を刈られて空を見た。
「まあ、これもコツを掴めば楽なもんよ。教えてあげよっか?」
「いやいやちょっと待ってよ。僕には秋田の農家の血潮が流れているからさ。それ、すなわち両親の薫陶!」
「今流れてるの、あたしの血じゃないの。んで、どうする? 続ける?」
「おっどぉ、おっがぁ! 見ででけれよ!!」
全力で突っこんだ。
また敗けた。
なんでだ。
というか、ちょっとした家族のレクリエーションのつもりなのに。
「ヒントあげよっか。答えでもいいわ。人体の仕組みと物理を知っていたら、自然とわかることよ」
どうしてすぐに人体の運動力学とか使ってくるんだ。
これじゃシンプルな運動の楽しみっていうのが味わえないじゃないか。
あっ、体育の授業で重心だのの運動全般に通じるコツを教えなかったのって、これが理由か!
わかりましたよ溝口先生!!
百万年越しに恩師の意志を理解でき、僕は感動した。
感動したから、ちょっともう勝負を打ち切りたい。
「どうする?」
「あの……もう二十連敗してるし……ショックで横になりたくなってきた」
「遠慮はいらないって言ったのは貴方よ。でもわかったでしょ? あたしって、何でもできるの。だからスポーツってつまんない」
“遠慮するな”とは言ってない。
本人の中では、もうやり方をマスターしたらしい。
もう何度やっても僕は敗けて、僕もそのことを痛感し、打ちのめされていると考えているようだ。
こちらを見下ろす透徹した瞳は、すでにこちらの諦めを確信しているものだった。
対戦相手と見なしていないものだった。
だが彼女は誤解している。
僕には米倉毅、スゲーマンの裏側、真の姿がある。
「君が知るべきことはたくさんある。だが、一つ言えることは……」
ヒーローコスチュームの形をしている血人形のフォルムが変形した。
デニムに袖の短いTシャツ。
プリントされているのは我が故郷の名前。
地元Tシャツ。つまりはジモティー。僕の勝負着だ。
好きな人に告白する時、異次元の悪神と宇宙の存亡を賭けて戦う時、就職の面接を受ける時。
スーツの下には常にこれがあった。
秋田の名を胸に宿すだけで、僕には無限の力が湧いてきた。
「君がどれだけ無限の才能に恵まれていても遠慮はいらない。何故かわかるか? 僕は秋田の米で育ったからさ」
「シャツでなにか変わる?」
名言を流された。
だが着眼点は優れている。
むしろ僕の薄っぺらいセリフよりも、このシャツこそが口より魂を語っている。
「それはこれからわかるよ。言っておくが僕はSNSじゃ“じもっち”の名で知られてたんだ。これでも強いんだぜ?」
「何の強さ?」
訝しむが、機嫌は良さそうだ。
僕のネバーギブアップ精神が彼女の心に響いている。
どんな時でも諦めない僕の家庭内横綱の勇壮さが、冷めた天才に響き始めたのだ。
だが残念だが、共鳴によって生じたその機嫌の良さも、すぐに敗けた泣きっ面に変わるだろう。
心苦しいが仕方ない。
勝負とは時にそういうものだ。
喧嘩の強さだの腕力の強さだのはどうでもいいが、相撲の実力に関しては僕は米倉家を背負っている自負がある。
雪に閉ざされてどこにも行けない。
大雪でネット回線が飛んでゲームもまともにできない時、
おっどぉとおっがぁとの相撲が最高の娯楽だった。
四股を踏み、両の脚を踏ん張った。
彼女も楽しそうに真似してみた。
自分が敗けるとは夢にも思ってもいないのだろう。
「のこった!」
奇跡が起こった。
僕の足が滑り、彼女が受け流そうとするテンポがズレた。
じもっちの不屈の闘志が、気づかぬ内に地面に轍を作っていた。
「っしゃあああ!!」
その偶然をがむしゃらに利用してジェーンを横倒しにした。
勝った。僕のこれまでの人生が天才に勝利を収めたのだ。
歴史を動かし、人類史の開拓者になるような者に、打ち克った。
「フゥッ!! ……っしゃああああ!!! この勝利をおっどぉとおっがぁに捧げるっだ!」
両腕を掲げ、天に鬨の声をあげた。
スポーツの真髄は勝ち負けではない。
いくら勝とうが負けようが、相手と心を通わせ、爽やかなスポーツマンシップの素晴らしさを共有しなければ無意味だ。
それはそれとして勝った…………!
秋田の同胞達よ、僕という勇者に銅像を作ってくれ……。
「大げさに喜びすぎじゃない?」
敗北者が頬を膨らませて、子供らしく不平を言った。
しかし、勝ちは勝ちだ。
べつに卑怯なことをしたわけでもない。
僕の血潮に流れる大日本海の過酷極まる気候、暴虐的積雪、四方を険しい山脈に閉ざされた大自然に生き抜く農家のタフネスさ。
それが見事に勝利を収めてみせたのだ。
「さあやるわよ! もう一回!!」
今度は彼女から勝負を持ちかけた。
ムキになっている。
「遠慮したらタダじゃおかないんだから!!」
言われなくとも、僕らは互いに全力だ。
それからは、またひたすらに僕は投げられた。
あんなに“やること同じだからつまらない”と言っていたジェーンが、次第に満面の笑みを浮かべるようになった。
こっちはもう、再建した自信が粉々に打ち砕かれたが、僕が立ち上がる度に彼女は嬉しそうにした。
負けようと、勝てなかろうと、僕はいつだって立ち上がる。
それを見てジェーンは、楽しいおもちゃを見つけたかのようにキャッキャとはしゃいだ。
太陽が真上に差し掛かった頃。
ジェーンはスッキリした気分で汗を拭き、水分を補給した。
いつもエネルギッシュなジェーン・エルロンドだが、この時は髪が汗の雫を撒き散らし、冷たい水に目を細めて喉を鳴らし。
普段はないサッパリした軽さがあった。
「なんかスッキリした!!」
「体を動かすのって楽しいでしょ?」
僕はすっかり打ちのめされていたが、とにかく体を動かすという活動における大事なことは伝えられた。
ずっと一緒にやってくれる人がいたら、何でも楽しいんだ。
僕は後半から心の中でしくしく泣いていたけど、そうなんだ。
「まあ、ね! これならまたやってもいいかも!」
「……また?」
「やるでしょ?」
断られるとは少しも思っていない、純粋な眼差しで見つめられた。
僕の答えは決まっている。
「もちろん!」
ジェーンは頷き、太陽に目を細める。
その横顔。
纏めていた長い髪を降ろし、太陽を十分に吸い込んで揺れる姿。
初めて出会った時と同じ光景だった。
──思い出した。
僕が、最期に何を願ったか。
過程はまるで覚えていないが、そこだけはわかった。
彼女とよく似た“彼”。
並ぶ者なき才能で世界を切り開き、僕に宇宙の広さを伝えてくれた人。
──願わくば。
次の生では、君のような人に。
「これだけじゃないよ、ジェーン」
両肩に手を置き、僕は告げる。
「僕は君を導くことはできない。そんな器はなかった。
でも、君が飛ぶ時は背中を押す。堕ちる時は側で手を掴むように頑張る。
だから──」
言葉は最後まで言い終わらず、
僕の胸に聖女と呼ばれる少女が抱きついた。
無言で僕の胸に顔を埋め、ぐりぐりと頭頂部を擦り付ける。
僕もただその背中を擦って、気が済むのを待った。
「……うん。あたしもこれからはさらにさーらーにー、みんなのために頑張ろうって思うわけよ」
大きく伸びて目を閉じ、耳を澄ます。
彼女の中にまたやる気が湧いたようだ。
良かった。
彼女に具体的に何かしてやれたかはわからなくとも、一緒に相撲をやることで、心が大きく上向いた。
「ジェーン様ぁ!」
事件や事故がないかと周囲に耳を傾けた時、農作業服の男性が血相を変えて走ってきた。
「どうしたの?」
「大変です! これを見てください!」
息を切らして顎から汗を垂らす彼に差し出されたのは、一枚の手配書。
そこにあったのはジェーン・エルロンドの写し絵と、“生死問わず”の一語。
「なにこれ、イタズラ? 子どもって悪趣味なイタズラ考えるわねえ。凝ってるけど」
「本物です! 速くお逃げください! 首都より騎士団が来るそうです」
「なんで……?」
「まあヒーローって、いつもこうなんだよ」
一度、何かを解決したら、より大きな出来事が起きる。
平穏はつかの間であり、長期の休みは一切ない。
僕が取った最長休暇は一年だったが、世界が滅ばなかったのは本当に奇跡だった。
「納得がいかないんだけど」
「まあ次のやることが決まったってことさ。
To Be Continued. ってこと」
軽い様子見のつもりだったのに、えらく長い夜になった。
クレオの言う通り、シヴィル・リーグの暴走は一晩で片付いた。
人生というのは、動く時はあれよあれよと言う間に転がるものだ。
戦いが終わった。
シヴィル・リーグに死人はいない。
あの後、二代目セイメイを中心に爆発が起き、周囲には彼の姿がなかった。
死んではいない。それはわかる。
あの時のジェーンなら、爆発で崩れる肉片も認識できたはずだ。
初めてセイメイと戦った夜の、僕のように。
彼が何処に行ったのかはわからないが、また戦うことになってもジェーンなら大丈夫だろう。
とにもかくにも、彼女の処刑を先導していた彼を組織から追いやったのだから、めでたく聖女の安全は保証された。
あの後、面倒なことは全部シスマに任せ、ジェーンは領地にある広大な農地に来た。
屋敷を追放される前にトレーニングをしていた場所だ。
僕が疲れた時は両親に会いに行った。
そうすれば心身の疲れがぐっとリフレッシュされたものだ。
彼女にとって、それは農場ということだ。
「こんにちは、ジェーン様」
「今日もおかげさまで達者にしてますよ」
「おはよう。ケガのないようにね」
朝早くから畑仕事に出る領民と挨拶を交わし、
小高いところにある空間で、ぼんやりとしていた。
まだまだやることはごまんとある。
彼女に稲作の知識は戻っていない。
これからもヒーローをやるなりして知識を取り戻す探求をしなければならないはずだ。
今はサバフライのおにぎりと漬物を食べているが、自力でこれらを発展させる下地はなくなっている。
「はぁー。ほっぺが落ちるわ」
大きな握り飯が五つ、バスケットにあったのをぺろりと平らげた。
誰にでも、お気に入りの場所で好物を食べる幸福というものがある。
僕の場合は木星で太陽が少し隠れるくらいの位置まで飛び、そこでライスバーガーを食べるのが至福だった。
もちろんライスバーガーは自作だ。
そこで米に拘らなければ、秋田米で育った身としてはピースがはまりきらない。
──今日は良い天気になるね。
「このまま夜まで寝てようかしら」
彼女の知識は失われたままだが、大きく変化したことがある。
僕と、いつでも会話ができるようになった。
これでようやく、延々とぶつぶつ独り言を述べる聖女の脳みそに寄生する変なのではなくなったわけだ。
喜ばしいことこの上ない。
「とりあえず来年に処刑されることはなくなったし。ゆっくりしたい気がする」
──いいのかい? 一刻も早くお米の研究に戻りたいって言ってただろ。
「まあそうなんだけどねえ」
一息で行って戻ってくると、トレイの上に丼飯と粘ついた豆があった。
納豆だ。こうなる前に実現の研究をしていた。
彼女抜きでも完成したのだ。
普及するかはわからないけれども、僕としては大好きな納豆が見られて嬉しい。
「こう。あなたの話に乗ってヒーローってのやってみたけどさあ。振り返ると、稲作の知識が必要になること、一回もなかったのよね」
それはそうだろう。
いつかは必要になることもあるかもしれないけれど。
今、彼女の周囲が求めているのはそれじゃない。
ヒーローをやるということは、市民の声と心に触れることだ。
「もうちょっとこれを続けるのもいいかなって思い始めてる。振り返ると、稲作はやりきった感があるし……他のこともやってみて良いのかもって」
お米と結婚したと啖呵を切っていたはずだけど、そう考えているなら否定することもない。
しかし、乗り気じゃないことをいつまでもさせるのも心苦しいところではあった。
稲作以外に興味が向いたなら、それは視野が広がったということだろう。
ヒーローをもう少し続けるなら、それでいい。
懸念点としては、彼女の領地にはもうヴィジランテがいることだ。
シオン、シオンが教育する子ども達。
子どもの権利条約を真正面から否定した少年少女の戦士が出来上がるだろう。
夜と都市の暗闇を自警団が守護するようになったら、スーパーヒーローは必要とされるのだろうか。
「それにクレオの言ってたことを考えるとね。あたしも、ちょっとは甘えてたかなって」
──前世を思い出すのは、満たされていないからとか、追い詰められているからってやつかい?
「結局は、知識は凄く極一部を持っただけでも、こうしてあなたが意識を持って現れたわけじゃない?
他の人にそういうのがない理由を考えるとね」
朝日、金色の曙光が聖女の横顔を照らす。
俯いて何事かを考える彼女の目は遠く、
自然と体育座りの姿勢を取った。
「あたしが必要としてたのってやっぱり……」
先は噤もうとしていたのに、自然と言葉が溢れた。
「家族」
──ジェーン。
無意識に零れ落ちた言葉だったのか。
何を言ったのか遅れて自覚し、頬を赤らめて首を振った。
いつもパワフルな彼女としては、あまり認めたくないことだろう。
親との不仲が、心の奥底で悲しみになっていたことなんて。
それが決して恥じることのない、普通の感情だとしても。
特別な存在として生き続けてきた彼女には、自分の悲しみを受け入れるのに勇気がいるに違いない。
前までの僕は彼女の脳内にいるだけだったので、こういう時も見守るだけだった。
今は彼女に僕の言葉が届く。
つまりは、心に直接働きかけられる。
──ちょっと僕を出してみて。
言われるがままに、ジェーンは首から下げた魔道具を起動した。
彼女の血液で構成された人型の僕が、地面に降り立つ。
マントになった経験から、だいぶやり方がこなれてきた。
密度を薄めて、ジェーンと同じくらいの背丈にまで拡大させた。
あまり遠くに行けないので、一段低いところにある比較的平坦な場所に降りた。
多少だが周囲に働きかけができるようになり、近くにあった手頃な棒を拾う。
田舎育ちはいつでも自然から自分にマッチした棒を拾い上げられるものだ。
地面に直径三メートルの真円を刻んだ。
二人が向かい合うための立ち位置の目印、仕切り線も描く。
立派な土俵ができた。
「なにそれ?」
「相撲をしよう!」
「え、やらないけど」
「何かもわからないのに断るなんてもったいないよ」
「身体を動かすやつでしょ? あたし、そういうの興味ないし」
たしかに彼女はスポーツを初めとしたエキササイズの面白さを理解できていない。
けれどもそれは、身体を動かすことを楽しむ機会がなかったから。
僕が身体を動かす楽しみを知ったのは、親と相撲を取った時だった。
謂わば我が家の伝統である。
「まあまあやってごらんよ。ほら、僕と向かい合って膝を曲げて」
「えー……」
渋い顔をして嫌がられた。
一度やってみたら、きっと楽しめるはずだ。
「ほら、一度だけでいいから」
「はぁ……ネタバレして良い? 運動って重心低くし続けて息止めるのが長い方が、だいたい勝つようにできてるからね」
「そんなちょこざいな技術論は通用しないよ! 僕は子供の頃からこれをやってたんだ!」
繰り返し呼びかけると、ようやく降りてくれた。
「ほら向かい合って、握った両手の先端を軽く土俵につける」
「はいはい」
膝を曲げて腰を落とす。
まあたしかにジェーンの言う通り、重心が低いのは大事だろう。
けれども相撲とは奥が深いものだ。
頭の中で捏ねた理論だけで勝てるわけがない。
「向かい合ったね。そうしたらお互い同時に相手にぶつかり合って腰を掴んで、この土俵って円から押し出すか、投げて膝か手を地面につけさせた方が勝ち」
「でしょうね。見れば想像つくわ」
ちょっと素っ気なさすぎない?
普通に傷つき始めてきたぞ。
「合図は?」
「はっけよーい、のこった!」
同時にぶつかり合う。
血の風船同然の僕の身が破けはしないかという不安はない。
シスマの魔法によって強度はある。
僕の力が発動していない少女と組み合っても、破けはしない。
初のぶつかり合いは、僕が彼女を豪快に投げ飛ばして終わった。
「ほらね? そう簡単に行かないだろう! よっしゃあ!!」
失言、失敗だった。
初心者に勝っただけなのにガッツポーズをしてしまった。
いくらジェーンが天才的運動神経の持ち主だからって、大人気なさすぎる。
反省しよう。恥じるべきだ。
「…………もう一回」
大の字に寝転がっていたのがムッと来て、聖女がすぐに起き上がった。
やれやれ、ムキにさせてしまったようだ。
まったく、僕としたことが。
だが僕の相撲は両親監修の下で修めた技術。
一度や二度の挑戦で初心者が勝てるわけない。
戦いに役立てたかというとそうでもないが、修めた技術は魂に刻まれている。
「はっけよーい、のこった!」
二度目。ぶつかり合いが成立した。
初心者なりにやり方がわかってきたらしい。
覚えが速い。
でもまだだ。僕のほうが強い。
脇の下に両腕を深く差し込み、膝を持ち上げる感覚で伸ばす。
腕だけの力ではなく、身体そのものの力でジェーンを浮かべた。
「どう? 楽しいでしょ」
敗けた相手にこう言うの、煽りになりかねないと気付いた。
下手に口を開くのをやめた方がいいな。
なんか止まらない流れを感じる。
自分でも気づかないくらいに、久々に相撲をやって楽しんでいる。羽目を外しているんだ。
言うなれば、そう、無礼講。
「次、あたしね。はっけよーい、のこった」
彼女から“のこった”を言ってくれた! 感動だ。
三度目の勝負も僕が勝った。
それからも何度もぶつかり合った。
相撲は良い。
相手の息遣いが、力の入れ具合が、相手の存在がダイレクトに伝わる。
僕は天気の良さ、太陽の暖かさを知ることはないが、彼女の上気する頬、荒くなる息遣い、流れる汗。
どれもが、この世界がどういった感触かを間接的に伝えてくれる。
何度投げられても立ち上がる彼女の真剣な様子。
集中力、情熱が燃え盛っている。
「えっ」
彼女が熱意をもって相撲を取っていることに感慨深くなっていると、視界がぐるりと回った。
あっさりと土俵の外へ投げられた。
……なんで僕が投げられた?
「よっし」
今度はジェーンがガッツポーズをした。
仏頂面でやっていたのに、歯を見せて笑っている。
うっかり出てしまったものなのだ。
すぐに自覚して口を閉じた。
「はっはっは。やるね。でも君のやり方はわかったよ。もう一回だ!」
向かい合って、はっけよーい、のこった。
投げられた。
なんか……なんで投げられたかわかんない。
「ゲー!」
今度は出足を刈られて空を見た。
「まあ、これもコツを掴めば楽なもんよ。教えてあげよっか?」
「いやいやちょっと待ってよ。僕には秋田の農家の血潮が流れているからさ。それ、すなわち両親の薫陶!」
「今流れてるの、あたしの血じゃないの。んで、どうする? 続ける?」
「おっどぉ、おっがぁ! 見ででけれよ!!」
全力で突っこんだ。
また敗けた。
なんでだ。
というか、ちょっとした家族のレクリエーションのつもりなのに。
「ヒントあげよっか。答えでもいいわ。人体の仕組みと物理を知っていたら、自然とわかることよ」
どうしてすぐに人体の運動力学とか使ってくるんだ。
これじゃシンプルな運動の楽しみっていうのが味わえないじゃないか。
あっ、体育の授業で重心だのの運動全般に通じるコツを教えなかったのって、これが理由か!
わかりましたよ溝口先生!!
百万年越しに恩師の意志を理解でき、僕は感動した。
感動したから、ちょっともう勝負を打ち切りたい。
「どうする?」
「あの……もう二十連敗してるし……ショックで横になりたくなってきた」
「遠慮はいらないって言ったのは貴方よ。でもわかったでしょ? あたしって、何でもできるの。だからスポーツってつまんない」
“遠慮するな”とは言ってない。
本人の中では、もうやり方をマスターしたらしい。
もう何度やっても僕は敗けて、僕もそのことを痛感し、打ちのめされていると考えているようだ。
こちらを見下ろす透徹した瞳は、すでにこちらの諦めを確信しているものだった。
対戦相手と見なしていないものだった。
だが彼女は誤解している。
僕には米倉毅、スゲーマンの裏側、真の姿がある。
「君が知るべきことはたくさんある。だが、一つ言えることは……」
ヒーローコスチュームの形をしている血人形のフォルムが変形した。
デニムに袖の短いTシャツ。
プリントされているのは我が故郷の名前。
地元Tシャツ。つまりはジモティー。僕の勝負着だ。
好きな人に告白する時、異次元の悪神と宇宙の存亡を賭けて戦う時、就職の面接を受ける時。
スーツの下には常にこれがあった。
秋田の名を胸に宿すだけで、僕には無限の力が湧いてきた。
「君がどれだけ無限の才能に恵まれていても遠慮はいらない。何故かわかるか? 僕は秋田の米で育ったからさ」
「シャツでなにか変わる?」
名言を流された。
だが着眼点は優れている。
むしろ僕の薄っぺらいセリフよりも、このシャツこそが口より魂を語っている。
「それはこれからわかるよ。言っておくが僕はSNSじゃ“じもっち”の名で知られてたんだ。これでも強いんだぜ?」
「何の強さ?」
訝しむが、機嫌は良さそうだ。
僕のネバーギブアップ精神が彼女の心に響いている。
どんな時でも諦めない僕の家庭内横綱の勇壮さが、冷めた天才に響き始めたのだ。
だが残念だが、共鳴によって生じたその機嫌の良さも、すぐに敗けた泣きっ面に変わるだろう。
心苦しいが仕方ない。
勝負とは時にそういうものだ。
喧嘩の強さだの腕力の強さだのはどうでもいいが、相撲の実力に関しては僕は米倉家を背負っている自負がある。
雪に閉ざされてどこにも行けない。
大雪でネット回線が飛んでゲームもまともにできない時、
おっどぉとおっがぁとの相撲が最高の娯楽だった。
四股を踏み、両の脚を踏ん張った。
彼女も楽しそうに真似してみた。
自分が敗けるとは夢にも思ってもいないのだろう。
「のこった!」
奇跡が起こった。
僕の足が滑り、彼女が受け流そうとするテンポがズレた。
じもっちの不屈の闘志が、気づかぬ内に地面に轍を作っていた。
「っしゃあああ!!」
その偶然をがむしゃらに利用してジェーンを横倒しにした。
勝った。僕のこれまでの人生が天才に勝利を収めたのだ。
歴史を動かし、人類史の開拓者になるような者に、打ち克った。
「フゥッ!! ……っしゃああああ!!! この勝利をおっどぉとおっがぁに捧げるっだ!」
両腕を掲げ、天に鬨の声をあげた。
スポーツの真髄は勝ち負けではない。
いくら勝とうが負けようが、相手と心を通わせ、爽やかなスポーツマンシップの素晴らしさを共有しなければ無意味だ。
それはそれとして勝った…………!
秋田の同胞達よ、僕という勇者に銅像を作ってくれ……。
「大げさに喜びすぎじゃない?」
敗北者が頬を膨らませて、子供らしく不平を言った。
しかし、勝ちは勝ちだ。
べつに卑怯なことをしたわけでもない。
僕の血潮に流れる大日本海の過酷極まる気候、暴虐的積雪、四方を険しい山脈に閉ざされた大自然に生き抜く農家のタフネスさ。
それが見事に勝利を収めてみせたのだ。
「さあやるわよ! もう一回!!」
今度は彼女から勝負を持ちかけた。
ムキになっている。
「遠慮したらタダじゃおかないんだから!!」
言われなくとも、僕らは互いに全力だ。
それからは、またひたすらに僕は投げられた。
あんなに“やること同じだからつまらない”と言っていたジェーンが、次第に満面の笑みを浮かべるようになった。
こっちはもう、再建した自信が粉々に打ち砕かれたが、僕が立ち上がる度に彼女は嬉しそうにした。
負けようと、勝てなかろうと、僕はいつだって立ち上がる。
それを見てジェーンは、楽しいおもちゃを見つけたかのようにキャッキャとはしゃいだ。
太陽が真上に差し掛かった頃。
ジェーンはスッキリした気分で汗を拭き、水分を補給した。
いつもエネルギッシュなジェーン・エルロンドだが、この時は髪が汗の雫を撒き散らし、冷たい水に目を細めて喉を鳴らし。
普段はないサッパリした軽さがあった。
「なんかスッキリした!!」
「体を動かすのって楽しいでしょ?」
僕はすっかり打ちのめされていたが、とにかく体を動かすという活動における大事なことは伝えられた。
ずっと一緒にやってくれる人がいたら、何でも楽しいんだ。
僕は後半から心の中でしくしく泣いていたけど、そうなんだ。
「まあ、ね! これならまたやってもいいかも!」
「……また?」
「やるでしょ?」
断られるとは少しも思っていない、純粋な眼差しで見つめられた。
僕の答えは決まっている。
「もちろん!」
ジェーンは頷き、太陽に目を細める。
その横顔。
纏めていた長い髪を降ろし、太陽を十分に吸い込んで揺れる姿。
初めて出会った時と同じ光景だった。
──思い出した。
僕が、最期に何を願ったか。
過程はまるで覚えていないが、そこだけはわかった。
彼女とよく似た“彼”。
並ぶ者なき才能で世界を切り開き、僕に宇宙の広さを伝えてくれた人。
──願わくば。
次の生では、君のような人に。
「これだけじゃないよ、ジェーン」
両肩に手を置き、僕は告げる。
「僕は君を導くことはできない。そんな器はなかった。
でも、君が飛ぶ時は背中を押す。堕ちる時は側で手を掴むように頑張る。
だから──」
言葉は最後まで言い終わらず、
僕の胸に聖女と呼ばれる少女が抱きついた。
無言で僕の胸に顔を埋め、ぐりぐりと頭頂部を擦り付ける。
僕もただその背中を擦って、気が済むのを待った。
「……うん。あたしもこれからはさらにさーらーにー、みんなのために頑張ろうって思うわけよ」
大きく伸びて目を閉じ、耳を澄ます。
彼女の中にまたやる気が湧いたようだ。
良かった。
彼女に具体的に何かしてやれたかはわからなくとも、一緒に相撲をやることで、心が大きく上向いた。
「ジェーン様ぁ!」
事件や事故がないかと周囲に耳を傾けた時、農作業服の男性が血相を変えて走ってきた。
「どうしたの?」
「大変です! これを見てください!」
息を切らして顎から汗を垂らす彼に差し出されたのは、一枚の手配書。
そこにあったのはジェーン・エルロンドの写し絵と、“生死問わず”の一語。
「なにこれ、イタズラ? 子どもって悪趣味なイタズラ考えるわねえ。凝ってるけど」
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