女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻

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第11話 『歴史狂い』の歴史的見地と確固たる意思(3)

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 それは純粋に頑張った結果が徒労に終わる人への憐れみであり、実際にそういう事が不満となって折り重なった結果、叛逆ののろしにもなり得る事を知っているからこその懸念でもあった。

 どの国も、血塗られた歴史は存在する。
 そしてそれは往々にして、一つのきっかけでは起こり得ない。
 すべての始まりは、意外にも小さな事であったりもする。
 それらはすべて私が歴史を研究した結果得た、物事の帰結の一つの可能性だ。

「ジョンにも言いましたが、歴史がそっくりそのまま繰り返される事はほぼありません。他の土地であれば、土地の条件が違います。同じ土地であっても時が違えば、状況も関わる人も違います。ですから前例をそのまま猛進する事も危険です。そういうものを知った上で今後どうすべきか考える事こそ、ケルビン様のすべき事だと私は思います」

 言いたい事は言ったつもりだった。
 しかし言った後で、最後の一言はちょっと余計だったかもしれないと後悔する。

 先程も彼に言ったけど、私は領地経営に関してはズブの素人だ。
 ただの歴史研究に傾倒している人間に過ぎない。

 もし気を悪くされたら今後この屋敷で住みにくくなるし、形はどうあれ私の一言のせいでせっかく不興できた小さな歴史を聞かなかった事にされてしまうのは、何だかものすごく寂しい。


 少し不安になりながら、私は彼の出方を窺った。
 すると数秒の沈黙の後、彼は再び「ジョン」と自らの執事の名前を呼ぶ。

「どうやらお前の申し出は、一考の余地があるみたいだな」
「懸命な判断かと思います」
 
 何やら目の前で、二人にしか分からない会話がされている。

 とりあえず「話を聞きたかった」という事なのであれば、用件はもう果たしたのだしそろそろお暇したいところだ。
 まだ読んでいる途中の本があるのだし。

 そんな風に、放置された事で私の思考はもう既に半分ここから旅立っていた。
 だから彼の次の言葉に私が率直で素直すぎる一言を返してしまったのは、彼の顔が「本当は女に頼りたくなどないが」という内心を隠せていなかったからなのではない。

「その知見を活かして、お前にはノースビークの領地経営を手伝ってもらおう」
「いえ、結構です」
「……は?」

 反射的にそう言っていた。

 断られるとは思ってもいなかったのだろう。
 不服を含み苦みを増した彼の声に、私は思わず「あ、やべっ」と思った。


~~第二章、第一節完。

======


お読みいただき、ありがとうございます。
本作、現在他サイトで公募に出している関係で、以降の更新は選定結果が出た後に順次行っていく形となります。
今すぐ続きが読みたい・最速で作品を追いたいと思ってくださっている方は、公募に参加中のサイトではもう少し先まで公開しています。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

にゃあん
2023.09.14 にゃあん

面白く読ませていただきました。探して引っ越しして続きも読んで来ました😃

これから歩み寄って交差したり反発したりしていく2人なのかなと想像しながら再会をお待ちしてます( ͒ ु•·̫• ू ͒)

2023.09.14 野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!

にゃあんさん、ありがとうございます😊

違うからこその衝突や似ているからこその共感など、この先も丁寧に続きを書いていきます。
また更新した際には読みにきてくださいね✨

解除

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