47 / 55
第四章:お披露目の日がやってきました。
第47話 やっと保護者が登場です。
しおりを挟む「先程皆様にご提示したケーキだけではありません。我が国にはまだ、どくりつまえにしたくてもずっと出来ずにいた試みが沢山あります」
その中には、私とお父様が「これぞ」と思って王都から引き抜いてきた人材が関わるものも多くあります。
今までは脚光を浴びなかっただけで、おおよそ既に完成しているもの達です。
あとは私の発信力に掛かっていますが、まぁおそらく大丈夫でしょう。
ある程度の算段は付いています。
「我が国がこの社交場に新たな風を吹かせる時、もちろん皆様方には、間口は大きく取るつもりです。が、流石に『攻め込んでやる』と声を大にして仰る国と仲良く出来る程、お人好しでもないのですよ?」
「このやろう、言わせておけば……」
そう言って殿下はズカズカと私に近づくと、手を捻り上げようとして――。
「いたたたたたたっ!」
声を上げたのは殿下でした。
確かに手首は捻り上げられているが、被害者は殿下。
そして私を守ってくれたのは。
「助かりました、ローレンツ」
「いえ、姫様をお守りするのが私の務めでありますれば」
私の立派な護衛騎士が、そう言って首を垂れます。
殿下を捻り上げたままなのだから、よほど余裕があるのでしょう。
やはり彼も、かの国から引き抜いて正解でしたね。
と、ここでパタパタという忙しげな足音が聞こえてきました。
皆がなんとなくそちらを見やれば、私も見知った方がいらっしゃいます。
いえ、先ほどからずっと「おかしいな」とは思っていたのです。
誰も彼を止めなかったから。
殿下はお一人でこのパーティーに来られだけではなかったのに。
どこに行っていたのかは分かりませんが、おそらく席を外していたのだと思います。
そして帰ってくれば息子の悲鳴。
何も状況が分からずとも、とりあえず駆け付けない訳にはいきません。
「なっ! 姫殿下、もしや我が息子が何か?!」
分からないなりに私と一悶着あったのだろう事は察したのでしょう。
彼は言います。
顔を見れば、どうやら本当に教えて欲しそうにしています。
だからご要望にお応えして、簡潔に教えて差し上げましょう。
「殿下が我が国を『属国』と罵り、我が国が心血注いで育てた新作のブランド米を『全て貴国に下さねば攻め込み蹂躙してやるぞ』と言って脅してきたのです」
しかも、皆様に平等にお渡しするという話を押しのけて。
そう言いながら、私は周りの皆様をグルリと見回してみせました。
すると事態を正確に把握したのでしょう。
彼は慌てて殿下の元へと駆け寄ります。
「我が愚息が、大変失礼な事をした。この場で深く謝罪する」
そう言うと、彼は息子の頭を押さえつけつつ自分の頭も下げました。
言うまでもないかもしれませんが、王族が他国に頭を下げるなんて早々ある事ではありません。
が、私もこれが今の彼らにとっての最善手だと思っています。
だってそうでしょう?
他国の交易分まで横取りしようとするなんて、その国の方からすれば「あんな国蔑ろにしても構わん」と言われている様なものですから。
そんなものは、不特定多数の他国に対しての侮辱にしかなりません。
が、殿下はまだ納得していない様です。
「父上っ! 何故こんな奴相手に頭を下げねばならないのですかっ!」
我が国の権威が廃れるでしょう。
そんな風に、格好だけは一人前な事を主張しています。
が、それはいまの陛下の火に油を注ぐ結果にしかなりません。
陛下から「この馬鹿者が!」と声を荒げられてしまいました。
35
あなたにおすすめの小説
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる