男爵令嬢が『無能』だなんて一体誰か言ったのか。 〜誰も無視できない小国を作りましょう。〜

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第四章:お披露目の日がやってきました。

第47話 やっと保護者が登場です。

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「先程皆様にご提示したケーキだけではありません。我が国にはまだ、どくりつまえにしたくてもずっと出来ずにいた試みが沢山あります」

 その中には、私とお父様が「これぞ」と思って王都から引き抜いてきた人材が関わるものも多くあります。
 今までは脚光を浴びなかっただけで、おおよそ既に完成しているもの達です。
 あとは私の発信力に掛かっていますが、まぁおそらく大丈夫でしょう。

 ある程度の算段は付いています。

「我が国がこの社交場に新たな風を吹かせる時、もちろん皆様方には、間口は大きく取るつもりです。が、流石に『攻め込んでやる』と声を大にして仰る国と仲良く出来る程、お人好しでもないのですよ?」
「このやろう、言わせておけば……」

 そう言って殿下はズカズカと私に近づくと、手を捻り上げようとして――。

「いたたたたたたっ!」

 声を上げたのは殿下でした。
 確かに手首は捻り上げられているが、被害者は殿下。
 そして私を守ってくれたのは。

「助かりました、ローレンツ」
「いえ、姫様をお守りするのが私の務めでありますれば」

 私の立派な護衛騎士が、そう言って首を垂れます。

 殿下を捻り上げたままなのだから、よほど余裕があるのでしょう。
 やはり彼も、かの国から引き抜いて正解でしたね。


 と、ここでパタパタという忙しげな足音が聞こえてきました。
 皆がなんとなくそちらを見やれば、私も見知った方がいらっしゃいます。

 いえ、先ほどからずっと「おかしいな」とは思っていたのです。
 誰も彼を止めなかったから。
 殿下はお一人でこのパーティーに来られだけではなかったのに。


 どこに行っていたのかは分かりませんが、おそらく席を外していたのだと思います。

 そして帰ってくれば息子の悲鳴。
 何も状況が分からずとも、とりあえず駆け付けない訳にはいきません。

「なっ! 姫殿下、もしや我が息子が何か?!」

 分からないなりに私と一悶着あったのだろう事は察したのでしょう。
 彼は言います。
 
 顔を見れば、どうやら本当に教えて欲しそうにしています。
 だからご要望にお応えして、簡潔に教えて差し上げましょう。

「殿下が我が国を『属国』と罵り、我が国が心血注いで育てた新作のブランド米を『全て貴国に下さねば攻め込み蹂躙してやるぞ』と言って脅してきたのです」

 しかも、皆様に平等にお渡しするという話を押しのけて。

 そう言いながら、私は周りの皆様をグルリと見回してみせました。

 すると事態を正確に把握したのでしょう。
 彼は慌てて殿下の元へと駆け寄ります。

「我が愚息が、大変失礼な事をした。この場で深く謝罪する」

 そう言うと、彼は息子の頭を押さえつけつつ自分の頭も下げました。

 言うまでもないかもしれませんが、王族が他国に頭を下げるなんて早々ある事ではありません。


 が、私もこれが今の彼らにとっての最善手だと思っています。
 だってそうでしょう?
 他国の交易分まで横取りしようとするなんて、その国の方からすれば「あんな国蔑ろにしても構わん」と言われている様なものですから。
 そんなものは、不特定多数の他国に対しての侮辱にしかなりません。


 が、殿下はまだ納得していない様です。

「父上っ! 何故こんな奴相手に頭を下げねばならないのですかっ!」

 我が国の権威が廃れるでしょう。
 そんな風に、格好だけは一人前な事を主張しています。

 が、それはいまの陛下の火に油を注ぐ結果にしかなりません。
 陛下から「この馬鹿者が!」と声を荒げられてしまいました。

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