【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 〜面倒な侯爵子息に絡まれたので、どうにかしようと思います〜

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第一章:奔走する者と、機を待つ者。

第1話 寝耳に水(2)

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 その現状は、グランを酷く不安にさせた。
 しかしだからといって現在進行形の社交を疎かにするのも得策ではない。

 だから、世間話を続ける。

「うちの二番目の息子も今年社交界デビューをして――」

 その瞬間。
 雑談相手の5人の顔色が僅かに、しかし確実に変わった。

 1人2人なら未だしも、5人全員である。

(この話題の中に、周りの視線の理由があるのか……?)

 直感的にそう判断し、グランが彼らに対して訝しげに問う。

「今日は何やら周りの様子がおかしい。その理由は何なのだ?」

 グランがそう尋ねると、彼らの社交の顔が完全に凍った。


 5秒ほどの沈黙。
 それだけ待っても一向にとけない強張った笑顔に、グランは痺れを切らして再度問う。

「理由は何だ?」

 しかしそれでも問いに答える物は居ない。

 それどころか、先ほどまで合っていた目さえ合わなくなってしまった。
 皆どこか気まずそうにして、目を逸らしたりしている。


 もしかしたら、ほんの少し語気が荒くなってしまったのが良くなかったのかもしれない。

 しかしこの間にも、周りからの視線はグランへと注がれ続けている。
 それが彼を、酷く居心地悪くさせる。


 だから少し対策を取った。
 5人の中の1人を、名指しにする事で。

「グレーズ子爵、答えろ」

 有無を言わせないグランの物言いに、指名されたグレーズ子爵はビクリと肩を震わせた。

 その声は、完全な命令だった。
 そうなってしまうくらいには、彼の我慢は既に限界だったのだ。


 グレーズ子爵というのは、このグループの中では一番気が弱く、グランに対しては特にYesマンな人物だ。

(こういう言い方をすれば、コイツはきっと答えてくれるに違いない)

 そう思ったのだ。

 そしてその予想は見事に的中した。

「……その、少し噂になっていまして」

 グレーズ子爵は、おずおずと口を開いた。
 そんな彼に「噂?」とオウム返しすれば、ピヤッと肩を震わせながら彼が続きを口にする。

「その……『モンテガーノ侯爵の第二子息が、オルトガン伯爵の第二令嬢を王族主催のパーティーから追い出した』という噂が……」

 告げられたその言葉を理解するのに、グランは少しばかり時間を要した。
 そしてやっとその言葉の意味を理解した後で、やはり思う。

「何だ、それは」

 静かな驚きが、そのまま口をついて出た。


 全くの『寝耳に水』だ。
 心当たりが全く無い。

 しかし、それが本当だったなら。

(それは、非常にまずい)

 そう思い至り、慌てて思考を稼働させる。
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