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二人と一緒に生活すると決めたフィーリアは、お供を連れて街にくり出す。

第14話 不器用ディーダ(3)

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 しかし私の不安をよそに、二人は平然と言ってのける。

「作れるだろ、コレなら。なぁ?」
「まぁ材料と彫るための道具があればね」
「あ、そうだった。彫る道具は持ってねぇ」

 キョロキョロと店内を見回したディーダが、木彫り用の小型刃物を見つけて手を伸ばす。

「木はその辺に落ちてるだろ。無けりゃぁ最悪、薪割り斧でその辺の木でも叩き折りゃぁいい」

 薪割り斧は家にある。長い間雨ざらしで少し錆びついてはいたが、まだギリギリ使えるレベルだ。おそらく問題ないだろう。
 彼が握った二本の刃物は、木製食器を三人分買うよりも安価でお財布的にもかなり優しい。

 同じものを二本だから、おそらく二人で作ってくれるという事なのだろう。素直に「俺が作ってやるよ」と言わないあたりが彼らしい。

 許可もなく作業に巻き込もうとする相棒にノインは苦笑気味ではあるが、異論をはさむ様子がないから嫌という訳ではないのだろう。少なくとも「仕方が無いな」と、思っているのだと思う。

「まぁお前が『その辺から拾ってきたのじゃ嫌だ』ってんなら、そこのヤツを買えば良いけど」
「いえ。ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますね」

 手にした刃物を元に戻そうとした彼に、頼ってみる事にした。
 不愛想にフンッと鼻を鳴らして、素っ気なく「あっそ」などと言いながらそっぽを向いた彼の耳が少し赤い。
 思わず「不器用だなぁ」と思いながら、手頃な包丁を選んだ。
 と、横から手が伸びてきて、鍋と一緒にひったくられた。

「まな板も要らないだろ、作ればいいし」

 吐き捨てるように言った彼は、会計カウンターにまっすぐズンズンと歩いていく。
 その背中が少し照れている様に見えて、これにはさすがに笑ってしまった。


 店員は、やってきたディーダに疑わしげな顔をした。
 そう言えば、来た時からこの店員はそうだった。私の中の商売人のイメージは愛想がいいものだったけれど、もしかして平民街では少し違うのだろうか――などと考えていると、ディーダが勢いよくこちらを振り返る。
「金!」
 一瞬キョトンとしてしまった。が、すぐに言葉の意味を理解する。
 そうだった、今日は私がお金を持っているのだ。
 仏頂面で叫んだ彼に、慌ててお金を持っていく。ディーダの隣に並んだところで、横からフンッと罰の悪そうな鼻が鳴った。

「銀貨2枚と銅貨4枚」
「あ、はい」

 若干剣呑とした声に促され、革袋から相当額を出した。
 後ろからは、ノインのクツクツという笑い声が聞こえていた。

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