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布屋さんに初来店のフィーリアは、安堵し、心配し、怒って帰る。
第17話 布がほしかった理由(2)
しおりを挟む彼らには着替えが無いというのは知っていたのだが、つい先日「汚れていますよ? お洗濯をしましょうか?」と言ったら「あ? その間俺達に裸で居ろってか?」と言い返されてしまったのだ。
驚いた。
着替えはないと言っても、どうにかして洗濯は自分達でしていたのだろうと思っていたのだ。少なくとも私は、二人がまだ寝ている間に家にある毛布にくるまりながら洗濯をして乾かしたりしていたから、聞くまでは、てっきり彼らも同じようにしているのだと思っていたのだ。
聞いてみれば、洗濯は着たまま上から水を被るだけで済ませるのだとか。どうりで揉み洗いしなければ取れないような汚れがついたままな訳である。
それどころか「まぁでもこの間ずぶ濡れになったしな」「そうだね」などと話し出した時には、思わず頭を抱える。
その『ついこの間』とは、おそらく私達が初めて出会った時の事だろう。しかしもう一週間も前の事だ。
この時私は思ったのである。せめて洗っている間の替えの服くらいはないと困る。贅沢と清潔は話が別だ、と。
私の宿代を「無駄遣いだ」と言った二人だから、きっと服にも同じ事を言うだろう。だからきちんと節約する。
正規品を買うのではなく布から服を仕立てれば、おそらく費用は安く済むだろう。
とはいえ、布の用途をここで初めて二人にネタバラシしたので二人の反応が少し気になった。チラリと控えめに確認して、彼らの反応に戸惑う。
二人どころか、バイグルフさんまでもが何故かキョトン顔になっている。もしかして私、また何かおかしなことを言ったのだろうか。
「作るのか? 洋服を?」
「え、はいそうですが……?」
確認するようにディーダに尋ねられ、それ以外に何があるのだろうかと疑問に思った。しかしすぐにハッとした。
そういえば私もつい先程まで、食器は買うものであって作れるものだとは微塵も思っていなかった。もしかしたら彼らも今、そういう気持ちなのかもしれない。
「洋服は、最初から洋服じゃないんですよ? 布を縫製して作るんです!」
「そっ、そんな事くらい俺でも分かるわ!」
「いやそれは分かるけど」
そんな胸を張って言わないでよ、と呆れた声でノインに言われた。
じゃぁ一体何がそんなに疑問なのかと思っっていると、「アンタに作れるの?」と尋ねられる。
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