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大きな胸って邪魔だ!ポロリフラグと海の民
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「おーい!ミカ!起きるウサ!馬に乗りに行くから朝6時半に起こしてって言ってたウサ」
ダルの声に、ミカは重い体を起こした。
「うぅん·····もう朝か·····起こしてくれて有難うダル·····前世では寝起き良い方だったから、遅刻する人の気持ちが分からなかったけど·····ミッシェルの体は低血圧だから·····本当に早起きが辛いなぁ」
「ミッシェルは朝はいつも学校ギリギリまで布団の中にいたウサ。僕も、もう一眠りするウサ」
ダルはそう言ってモゾモゾと布団に潜り込んだ。ミカは重い体を引きずりながら、無駄に大きい胸にサラシを巻きつけ、乗馬服に着替えて男子寮を出た。
澄んだ朝焼け空と、小鳥たちの声に、ミカは思わず深呼吸をした。
「よし!元気出た!ティラノ号に会いに行きますか!」
厩舎に行くと、ミカはティラノ号の首を撫でて挨拶をした。ティラノ号は噛み付こうか一緒迷った表情をしたが、この人は逆らえない人だと思い出したようで、大人しく撫でられていた。
「偉い偉い!噛み付くの我慢したね!今、鞍とかを取ってくるから、待っててね」
そう言ってミカは馬具庫にいくと、鞍に油を塗って手入れしてくれているホセに出会った。鞍は革製品なので定期的に油を塗らないと固くなってしまう。
「ええ!鞍の手入れしてくれて、有難うホセ君!今は勤務時間じゃないよね??」
「ミカエル様!おはようございます!昨日は有難うございました!お陰で初めて噛まれることなくティラノ号の手入れを出来ました!本当は馬装しておいて差し上げたかったのですが、僕では無理そうなので、他に何かお役に立てることないかなと思って、鞍の手入れしてました!」
「こんな朝早くから有難う!でも、無理しなくていいからね?」
「海の民は早起きの一族なので、日の出と共に目が覚めるので、大丈夫です!」
「え!ホセ君って海の民なの?」
「あれ?ご存知だと思ってました·····この青い髪は海の民の特徴ですから。」
「そうなのか·····じゃあ、食堂のアニタさんも海の民なの?」
「僕の母ですよ。戦の捕虜として連れてこられたのです。最初は奴隷扱いだったのですが、ジェス様のお父上のゲオルギ・ドーベル様が平民に引き上げて、仕事の給料も出るように変えてくださったのです」
「そうだったのか·····知らなくて申し訳ない·····大変だったんだね·····辛くない?」
「いやぁ、地元にいても漁師の働き口は定員一杯だし、人相手の仕事は自信ないし、他にやることなかったから·····給与も出るようになったし、出稼ぎにきてるようなもんですよ」
「そうなのか·····でも、こんな朝早くの仕事の分は給与も出ないだろうから、今後はやらないでいいからね?対価のない労働をしてもらうのは、私も心苦しいから·····」
「はい!ご配慮有難うございます!でも、今日の朝のティラノ号の手入れミカエル様にやってもらう事になるのでおあいこです!あ、早くティラノ号運動させなきゃですよね!·····ミカエル様きっと時間ないだろうから、すぐにつまめるようにサンドイッチでも母に作ってもらいますね!」
「色々有難う!·····ホセ君はきっと漁師とかの自然相手の仕事もいいけど、人を相手にした仕事もすごく活躍できると思う。人の立場で考えられるし、細かな気配りできるし、フットワークも軽いから、一緒に働く人はとても助けられると思うよ」
「有難うございます!ミカエル様にそう言って貰えると自信になります!·····実は親の跡を継いで、人相手の仕事をしろと言われていたのですが自信がなくて·····フラフラ逃げてたら、戦で捕まってしまった形でして·····って、こんな話してる場合じゃないですね!ティラノ号運動させなきゃですもんね!じゃあ、僕はサンドイッチもらってきますね!」
(ホセ君とアニタさんは海の民だったのか·····もしや、ジェームズとミッシェルを殺したのにも関わってたり!?·····いやいや、あの2人の笑顔は嘘ではないから、違うよね。海の民と言っても沢山いるだろうし·····)
「いたっ!!ティラノ号!噛んではダメだよ!」
ミカが考え事をしながら特に話し掛けることなく馬装してたので、ティラノ号が隙を見てミカの右腕を噛んできた。
「何も言わないで腹帯を絞めた私も悪いけど!噛んだらダメだよ!分かった?」
ティラノ号の目を見ながらミカは話しかけた。ティラノ号はうっかりいつもの癖で噛み付いてしまった事を反省するかのように首を低くした。そして、噛んでしまったミカの腕をふんふん嗅いでからペロリと舐めた。
「反省してるならいいけど、もうやったらダメだよ?·····いてて、これは筋を痛めたなぁ。痣にもなりそうだ·····まぁ、しょうがない。」
ミカはティラノ号にヒラリと跨り、常歩、速歩、駈歩で存分に運動させた。ティラノ号は噛んでしまった反省があるのか、驚くほどよくミカの指示に反応した。
ミカは運動を終え、馬体を洗い、手際よく手入れした。ティラノ号は一切噛もうとする素振りもみせなかった。
ティラノ号を乾かし終えて馬房に戻している所に、ホセ君が戻ってきた。
「すごいです!ミカエル様にかかれば、ティラノ号も大人しくなるんですね!」
「いやいや、私も今日油断してて噛まれてしまったよ!」
「ええ!ミカエル様でも噛まれてしまうんですね·····大丈夫ですか?僕も噛まれた跡の痣が消えなくて·····あ、これサンドイッチです。あと、母がデザートにフィナンシェもどうぞと!」
「有難う!わざわざ作らせてしまってアニタさんにも申し訳ない!」
「大丈夫です!遠く離れた故郷にいる父の無事を願い、いつも1食多めに朝食を作っていたんです。結局、それは勿体ないからと母が食べるので『私が最近ますます太ってきたのはこのせいだ』と、ぼやいてたのですが、辞めるに辞められなくて困ってたので、ちょうど良かったです!あ、もう行かないと授業に間に合わないですよね!」
「そうなのか·····有難う!じゃあ、有難く頂いていくね!」
(ホセ君の父親の仕事って、何なのだろう·····鮫の憑依型使獣の件とか、海の民との戦の詳細とか、ソフィアの所の図書館の本には載ってなかったから、もっと調べないとな·····)
ミカはフィナンシェをポケットに入れて、サンドイッチを食べながら部屋に戻った。
だいぶ汗をかき、喉もかわいていたのでミカは部屋に着くなりガラスのコップに水を注ぎがぶ飲みした。
「ぷはー!水が美味しい!」
その声に、布団で寝ていたダルが飛び起きた。
「わぁ!もうこんな時間ウサ!急いで着替えるウサ!ミカ、汗だくだウサ!」
「馬に乗るのって結構な運動だからね!朝寒かったから厚着していったけど、日が登ったら暑いね!かなり汗かいたから、胸元の包帯も変えようかな·····イタッ」
「わぁ!ミカの右腕に馬の歯型がくっきりあるウサ!噛まれたウサか?」
「あぁ、ちょっと油断してて·····しまったな、噛まれた時に筋を痛めたみたいで包帯巻くために右腕を後ろに回すと痛いや」
「手伝うウサ!手で·····あー、持てないウサ。口で挟んで手で持てば·····いけるウサ」
「あー、有難う!胸が大きくてもいい事ないね!前世では谷間とは無縁だったから、少し感激したけど·····重いし邪魔だし汗かくし、いい事ないね!·····有難うダル!もう巻けたから大丈夫だよ。ヤバい!もう時間ない!」
ミカはシャツのボタンを急いで留め、上着とベルトを掴み、ダルを抱き上げて大急ぎで教室へと走って行った。
ダルの声に、ミカは重い体を起こした。
「うぅん·····もう朝か·····起こしてくれて有難うダル·····前世では寝起き良い方だったから、遅刻する人の気持ちが分からなかったけど·····ミッシェルの体は低血圧だから·····本当に早起きが辛いなぁ」
「ミッシェルは朝はいつも学校ギリギリまで布団の中にいたウサ。僕も、もう一眠りするウサ」
ダルはそう言ってモゾモゾと布団に潜り込んだ。ミカは重い体を引きずりながら、無駄に大きい胸にサラシを巻きつけ、乗馬服に着替えて男子寮を出た。
澄んだ朝焼け空と、小鳥たちの声に、ミカは思わず深呼吸をした。
「よし!元気出た!ティラノ号に会いに行きますか!」
厩舎に行くと、ミカはティラノ号の首を撫でて挨拶をした。ティラノ号は噛み付こうか一緒迷った表情をしたが、この人は逆らえない人だと思い出したようで、大人しく撫でられていた。
「偉い偉い!噛み付くの我慢したね!今、鞍とかを取ってくるから、待っててね」
そう言ってミカは馬具庫にいくと、鞍に油を塗って手入れしてくれているホセに出会った。鞍は革製品なので定期的に油を塗らないと固くなってしまう。
「ええ!鞍の手入れしてくれて、有難うホセ君!今は勤務時間じゃないよね??」
「ミカエル様!おはようございます!昨日は有難うございました!お陰で初めて噛まれることなくティラノ号の手入れを出来ました!本当は馬装しておいて差し上げたかったのですが、僕では無理そうなので、他に何かお役に立てることないかなと思って、鞍の手入れしてました!」
「こんな朝早くから有難う!でも、無理しなくていいからね?」
「海の民は早起きの一族なので、日の出と共に目が覚めるので、大丈夫です!」
「え!ホセ君って海の民なの?」
「あれ?ご存知だと思ってました·····この青い髪は海の民の特徴ですから。」
「そうなのか·····じゃあ、食堂のアニタさんも海の民なの?」
「僕の母ですよ。戦の捕虜として連れてこられたのです。最初は奴隷扱いだったのですが、ジェス様のお父上のゲオルギ・ドーベル様が平民に引き上げて、仕事の給料も出るように変えてくださったのです」
「そうだったのか·····知らなくて申し訳ない·····大変だったんだね·····辛くない?」
「いやぁ、地元にいても漁師の働き口は定員一杯だし、人相手の仕事は自信ないし、他にやることなかったから·····給与も出るようになったし、出稼ぎにきてるようなもんですよ」
「そうなのか·····でも、こんな朝早くの仕事の分は給与も出ないだろうから、今後はやらないでいいからね?対価のない労働をしてもらうのは、私も心苦しいから·····」
「はい!ご配慮有難うございます!でも、今日の朝のティラノ号の手入れミカエル様にやってもらう事になるのでおあいこです!あ、早くティラノ号運動させなきゃですよね!·····ミカエル様きっと時間ないだろうから、すぐにつまめるようにサンドイッチでも母に作ってもらいますね!」
「色々有難う!·····ホセ君はきっと漁師とかの自然相手の仕事もいいけど、人を相手にした仕事もすごく活躍できると思う。人の立場で考えられるし、細かな気配りできるし、フットワークも軽いから、一緒に働く人はとても助けられると思うよ」
「有難うございます!ミカエル様にそう言って貰えると自信になります!·····実は親の跡を継いで、人相手の仕事をしろと言われていたのですが自信がなくて·····フラフラ逃げてたら、戦で捕まってしまった形でして·····って、こんな話してる場合じゃないですね!ティラノ号運動させなきゃですもんね!じゃあ、僕はサンドイッチもらってきますね!」
(ホセ君とアニタさんは海の民だったのか·····もしや、ジェームズとミッシェルを殺したのにも関わってたり!?·····いやいや、あの2人の笑顔は嘘ではないから、違うよね。海の民と言っても沢山いるだろうし·····)
「いたっ!!ティラノ号!噛んではダメだよ!」
ミカが考え事をしながら特に話し掛けることなく馬装してたので、ティラノ号が隙を見てミカの右腕を噛んできた。
「何も言わないで腹帯を絞めた私も悪いけど!噛んだらダメだよ!分かった?」
ティラノ号の目を見ながらミカは話しかけた。ティラノ号はうっかりいつもの癖で噛み付いてしまった事を反省するかのように首を低くした。そして、噛んでしまったミカの腕をふんふん嗅いでからペロリと舐めた。
「反省してるならいいけど、もうやったらダメだよ?·····いてて、これは筋を痛めたなぁ。痣にもなりそうだ·····まぁ、しょうがない。」
ミカはティラノ号にヒラリと跨り、常歩、速歩、駈歩で存分に運動させた。ティラノ号は噛んでしまった反省があるのか、驚くほどよくミカの指示に反応した。
ミカは運動を終え、馬体を洗い、手際よく手入れした。ティラノ号は一切噛もうとする素振りもみせなかった。
ティラノ号を乾かし終えて馬房に戻している所に、ホセ君が戻ってきた。
「すごいです!ミカエル様にかかれば、ティラノ号も大人しくなるんですね!」
「いやいや、私も今日油断してて噛まれてしまったよ!」
「ええ!ミカエル様でも噛まれてしまうんですね·····大丈夫ですか?僕も噛まれた跡の痣が消えなくて·····あ、これサンドイッチです。あと、母がデザートにフィナンシェもどうぞと!」
「有難う!わざわざ作らせてしまってアニタさんにも申し訳ない!」
「大丈夫です!遠く離れた故郷にいる父の無事を願い、いつも1食多めに朝食を作っていたんです。結局、それは勿体ないからと母が食べるので『私が最近ますます太ってきたのはこのせいだ』と、ぼやいてたのですが、辞めるに辞められなくて困ってたので、ちょうど良かったです!あ、もう行かないと授業に間に合わないですよね!」
「そうなのか·····有難う!じゃあ、有難く頂いていくね!」
(ホセ君の父親の仕事って、何なのだろう·····鮫の憑依型使獣の件とか、海の民との戦の詳細とか、ソフィアの所の図書館の本には載ってなかったから、もっと調べないとな·····)
ミカはフィナンシェをポケットに入れて、サンドイッチを食べながら部屋に戻った。
だいぶ汗をかき、喉もかわいていたのでミカは部屋に着くなりガラスのコップに水を注ぎがぶ飲みした。
「ぷはー!水が美味しい!」
その声に、布団で寝ていたダルが飛び起きた。
「わぁ!もうこんな時間ウサ!急いで着替えるウサ!ミカ、汗だくだウサ!」
「馬に乗るのって結構な運動だからね!朝寒かったから厚着していったけど、日が登ったら暑いね!かなり汗かいたから、胸元の包帯も変えようかな·····イタッ」
「わぁ!ミカの右腕に馬の歯型がくっきりあるウサ!噛まれたウサか?」
「あぁ、ちょっと油断してて·····しまったな、噛まれた時に筋を痛めたみたいで包帯巻くために右腕を後ろに回すと痛いや」
「手伝うウサ!手で·····あー、持てないウサ。口で挟んで手で持てば·····いけるウサ」
「あー、有難う!胸が大きくてもいい事ないね!前世では谷間とは無縁だったから、少し感激したけど·····重いし邪魔だし汗かくし、いい事ないね!·····有難うダル!もう巻けたから大丈夫だよ。ヤバい!もう時間ない!」
ミカはシャツのボタンを急いで留め、上着とベルトを掴み、ダルを抱き上げて大急ぎで教室へと走って行った。
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