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海への恐怖
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ミカは生垣に隠れながら近づいていき、とうとう岬の先端にいる見張りの海の民3人まで、あと100m程のところまで迫った。
ここからは、もう身を隠せる所は一切ない。
(武器を持つ3人の男性を相手に、素手の自分が勝てるとは思えない·····タイミングを見てフィンの力を使って視界を奪い、一気に駆け抜けるしかないな·····海に入る時の水音でバレないかが心配だな·····ん?岬から端から海へ入るハシゴみたいのがある。あれを使えば、水音を立てずに静かに海に入れるか·····)
ミカが注意深く岬の様子を観察していると、背後から急に、生あたたかい鼻息を吹きかけられた。
「わぁ!!」
ミカは驚き、生垣の中に倒れ込んだ。
細かい木の枝が折れて、バキバキバキと音を立てた。
背後に、いつの間にか、ティラノ号がいた。
「なんだ、ティラノ号か!びっくりしたー。着いてきたの?ごめんね。もうしばらく、自由にフラフラしててもらえるかな?」
ミカが小声で、ティラノ号に話しかけてると、岬の方から見張りの3人がこちらにやって来るのが見えた。
(ま、まずい·····さっきの音が聞こえてしまったのか?!このままでは、見つかる!?)
見張りの若者が、声の聞こえる距離まで迫ってきた。
ミカは生垣の中にしゃがみこみ、心臓をバクバクさせながら、じっと様子を伺った。
「俺は聞いたぞ!なんか人の声と、バキバキって木が折れる音が聞こえた!」
「えー!俺は聞こえなかったけどなぁ!」
「聞き間違いじゃないか?」
「まぁ、念の為、確かめて見ようぜ·····って、うわぁ!馬がいるぜ!」
「マジか!うわっ!いい馬体の馬だなぁ!馬装してあるぜ!誰か乗ってここまで来たって事か?」
「いや、あるいは、どこかから逃げてきたんじゃねぇか?」
「捕まえたら、俺の馬にしていいかな?」
「いいな、それ!」
「あ!そっちに逃げたぞ、捕まえろ!」
ティラノ号が、ミカが見つからないように囮になってくれたかのように、岬とは反対方向に駆けだしてくれた。
(今のうちに·····岬の先端へ走ろう!)
ミカが、岬の先端へ走っている最中に、見張りの若者の声が聞こえた。
「もういい!走っても捕まえられないなら、ちょっと俺が弓矢で射ってみる。少し怪我させて、治療がてら調教する!」
ギョッとしてミカが振り返ると、弓矢を構えた若者が遠目に見えた。
ミカは急いで「フィン・ジャーブルの使獣よ我に力を!」と見張り達に向けて唱えた。
「わぁ!なんだ!砂埃が!」
「なんも見えねぇ!」
見張りたちの騒ぐ声を聞き一安心して、ミカは再び岬の先端へと走った。
(ティラノ号、ありがとう。どうか無事でいてね·····。ティラノ号の脚なら、きっと弓矢が届かないところまで、数十秒でいけるはずだよね·····。)
岬の先端に到着すると、ミカは靴と上着を脱いで海に流した。
シャツとズボンの姿になり、岬の脇にあるハシゴを降りて、ヒンヤリと冷たい海に身を浸した。
夜の海は黒々としており、ミカには非常に恐ろしく見えた。
海の冷たさのせいか、恐怖のせいか、ミカは震えが止まらなくなった。
ミカはハシゴを握った手を離すのが、怖くてたまらなかった。
(私プールすら、泳いだ事ないんだよなぁ·····。父と兄を海で亡くしたせいでトラウマがあるからって、ドクターストップが出たんだよなぁ。幼かったから具体的なトラウマの症状は、よく知らないけど·····だから小学校時代はずっと水泳の授業は見学だったし、中高はあえてプールが無い学校へ行ったし。·········正直、海で泳ぐのは死ぬほど怖い!·····でも、クロードの為なら死ねる!なんだってやってみせる!それにアメリアの使獣の力があるから、大丈夫だよね?海の民の城がある島まで、100mくらいかな?·····1分程度で、100mって泳げるものだよね?きっと·····。見張りが戻ってくる前に、早く行かなくちゃ!)
ミカは深呼吸をして「アメリア・フログの使獣よ我に力を!」と唱えた。
そう唱えた途端、怖かった黒々とした海が、まるでシルクの布団のように気持ちの良い存在に感じられるようになった。
ミカはすぐに潜り、すぃーっと泳ぎ出した。息継ぎしなくても、まったく平気で、どんどん前に進める。
目を開けてても痛くない。
夜の海の中は、月の光が水面に反射してキラキラとして神秘的だった。
時々小さな小魚が、泳いでいるのも見えた。
海の民の城がある島に、ミカは泳いでだいぶ近づいた。
海の中から見ると、その島は岩山であることが分かる。
海の底の岩山の周りには、ボコボコと数十個の2mくらいの穴があった。
(この穴はなんだろう?·····自然に出来たものなのか?·····人為的に作ったものなのか?·····なんの為に·····?ん?洞窟の中に大きな影がある···············っえ!?)
ここからは、もう身を隠せる所は一切ない。
(武器を持つ3人の男性を相手に、素手の自分が勝てるとは思えない·····タイミングを見てフィンの力を使って視界を奪い、一気に駆け抜けるしかないな·····海に入る時の水音でバレないかが心配だな·····ん?岬から端から海へ入るハシゴみたいのがある。あれを使えば、水音を立てずに静かに海に入れるか·····)
ミカが注意深く岬の様子を観察していると、背後から急に、生あたたかい鼻息を吹きかけられた。
「わぁ!!」
ミカは驚き、生垣の中に倒れ込んだ。
細かい木の枝が折れて、バキバキバキと音を立てた。
背後に、いつの間にか、ティラノ号がいた。
「なんだ、ティラノ号か!びっくりしたー。着いてきたの?ごめんね。もうしばらく、自由にフラフラしててもらえるかな?」
ミカが小声で、ティラノ号に話しかけてると、岬の方から見張りの3人がこちらにやって来るのが見えた。
(ま、まずい·····さっきの音が聞こえてしまったのか?!このままでは、見つかる!?)
見張りの若者が、声の聞こえる距離まで迫ってきた。
ミカは生垣の中にしゃがみこみ、心臓をバクバクさせながら、じっと様子を伺った。
「俺は聞いたぞ!なんか人の声と、バキバキって木が折れる音が聞こえた!」
「えー!俺は聞こえなかったけどなぁ!」
「聞き間違いじゃないか?」
「まぁ、念の為、確かめて見ようぜ·····って、うわぁ!馬がいるぜ!」
「マジか!うわっ!いい馬体の馬だなぁ!馬装してあるぜ!誰か乗ってここまで来たって事か?」
「いや、あるいは、どこかから逃げてきたんじゃねぇか?」
「捕まえたら、俺の馬にしていいかな?」
「いいな、それ!」
「あ!そっちに逃げたぞ、捕まえろ!」
ティラノ号が、ミカが見つからないように囮になってくれたかのように、岬とは反対方向に駆けだしてくれた。
(今のうちに·····岬の先端へ走ろう!)
ミカが、岬の先端へ走っている最中に、見張りの若者の声が聞こえた。
「もういい!走っても捕まえられないなら、ちょっと俺が弓矢で射ってみる。少し怪我させて、治療がてら調教する!」
ギョッとしてミカが振り返ると、弓矢を構えた若者が遠目に見えた。
ミカは急いで「フィン・ジャーブルの使獣よ我に力を!」と見張り達に向けて唱えた。
「わぁ!なんだ!砂埃が!」
「なんも見えねぇ!」
見張りたちの騒ぐ声を聞き一安心して、ミカは再び岬の先端へと走った。
(ティラノ号、ありがとう。どうか無事でいてね·····。ティラノ号の脚なら、きっと弓矢が届かないところまで、数十秒でいけるはずだよね·····。)
岬の先端に到着すると、ミカは靴と上着を脱いで海に流した。
シャツとズボンの姿になり、岬の脇にあるハシゴを降りて、ヒンヤリと冷たい海に身を浸した。
夜の海は黒々としており、ミカには非常に恐ろしく見えた。
海の冷たさのせいか、恐怖のせいか、ミカは震えが止まらなくなった。
ミカはハシゴを握った手を離すのが、怖くてたまらなかった。
(私プールすら、泳いだ事ないんだよなぁ·····。父と兄を海で亡くしたせいでトラウマがあるからって、ドクターストップが出たんだよなぁ。幼かったから具体的なトラウマの症状は、よく知らないけど·····だから小学校時代はずっと水泳の授業は見学だったし、中高はあえてプールが無い学校へ行ったし。·········正直、海で泳ぐのは死ぬほど怖い!·····でも、クロードの為なら死ねる!なんだってやってみせる!それにアメリアの使獣の力があるから、大丈夫だよね?海の民の城がある島まで、100mくらいかな?·····1分程度で、100mって泳げるものだよね?きっと·····。見張りが戻ってくる前に、早く行かなくちゃ!)
ミカは深呼吸をして「アメリア・フログの使獣よ我に力を!」と唱えた。
そう唱えた途端、怖かった黒々とした海が、まるでシルクの布団のように気持ちの良い存在に感じられるようになった。
ミカはすぐに潜り、すぃーっと泳ぎ出した。息継ぎしなくても、まったく平気で、どんどん前に進める。
目を開けてても痛くない。
夜の海の中は、月の光が水面に反射してキラキラとして神秘的だった。
時々小さな小魚が、泳いでいるのも見えた。
海の民の城がある島に、ミカは泳いでだいぶ近づいた。
海の中から見ると、その島は岩山であることが分かる。
海の底の岩山の周りには、ボコボコと数十個の2mくらいの穴があった。
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