運命の人から命を狙われています⁉︎

月密

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エピローグ

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「どうして、棺なんですか」

 以前愛の証と言っていたが、やはりフィオナにはどうしても理解し難い。

「よく死が二人を分つまでーーなんていうけど、私は死んでも君の傍にいたいと思っている。それ故に対になる棺を用意したんだ。だから安心していいよ」

 何がどう安心出来るのかさっぱりだ。分かるような分からないような……やはり分からない。

「願わくば、君を抱き締めたまま死にたい」
「え、でも、それなら棺は一つで良かったのでは……」

 他意はない。ただの感想を述べた。だがフィオナは言葉にしてから気が付いた。余計な一言だったと……。

「ああ、確かに言われてみるとそうだね。なら早急に二人用の特注の棺を作らせよう。今からなら、まだ婚儀に間に合う筈だ」

(まだ作る気ですか⁉︎ というか何故婚儀に棺⁉︎)

 まさかのローデヴェイクの提案に、唖然とした。
 この年で棺を用意されるだけでもあり得ないのに、まさかの二基目⁉︎ 更には今度は二人用なので大容量だ。

「私達の愛を皆に証明しよう」

 そして何故かそれを婚儀というおめでたい席で、お披露目をするらしいーーやはり分からない。

「そして、フィオナ。私より先に死んではいけないよ。もしも君が先に死ぬような事があれば、私も君と共に逝くからね」

 恐ろしい決意を聞いてしまった。正に狂気……これ以上ないくらいの執着ーーいや一応愛と呼ぶべきだろうか、複雑過ぎる。
 きっと以前までの自分ならば怖過ぎると引いただろう。だが今は少し違う。
 フィオナは彼に笑って見せた。
 
「分かりました。でもそれじゃあ、ローデヴェイク様が先に亡くなってしまったら二人用の棺は意味がなくなってしまいます。なので私も、ローデヴェイク様が先立つような事があれば……ついて逝きます」
「フィオナ……」
「ですから、二人でいっぱい長生きしましょう! でも私、かなり長生きする予定なので覚悟して下さいね?」
「参ったね、まさか君がそんな事を言ってくれるなんて。今だってこの上ないくらい君に夢中なのに、まだ私を虜にするつもりかい」

 泣き笑いのような表情を浮かべた彼は、そのままフィオナを掻き抱いた。
 フワリと彼の匂いがして酷く安心をする。ずっとこの腕に包まれていたい。

「フィオナ、愛しているよーー永遠に……」
「私も、ローデヴェイク様を愛しています」

 どちらかとも無く触れるだけのキスをする。更に彼は舌を使いフィオナの唇をこじ開けてようとしてくるが、それを阻止した。何故なら今はお茶の時間の真っ最中だ。彼は唇を尖らせ不満気にするが見ないフリをした。

 気を取り直して二人でお茶を愉しむ。
 ローデヴェイクはフィオナお手製甘々チョコレートケーキを口へと運ぶと幸せそうに笑った。

「甘くて美味だね。これまで食べたどの食べ物よりも美味しいよ。元気になれる。ほらフィオナ、君も一緒に食べよう。私が食べさせてあげる」

 

何時か、お伽話のように白馬に乗った素敵な王子様のような運命の人と出会い恋に落ちて結婚したいと願っていたが、今まさにそれが叶った。
 赤い絨毯を彼と寄り添い歩き、多くの参列者達に見守られ、花舞う教会の鐘の音を聞きながらフィオナは幸せいっぱいに笑った。

 数ヶ月後ーー二人は婚儀を挙げ夫婦となった。





おしまい
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