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6話
しおりを挟む「裁判官? な、何を急に……」
ジョンは困惑している。
裁判官は声に怒気を滲ませながら、淡々と事実を告げていく。
「あなたは先程から彼女を貶めるような発言ばかりするかと思えば、男性だから優れている? 女性は虐げても構わない? あまりにも時代錯誤甚だしい考えだ。恥を知れ!」
「なっ……!」
正論を叩きつけられ、ジョンはたじろぐ。
「わ、分かった……なら慰謝料を減額する。これでいいだろう? 一旦落ち着いて……」
「はぁ……バカね」
別に口を挟むつもりは無かったのたが、私はジョンの言葉があまりにも馬鹿馬鹿しくてついため息をついた。
ジョンが私を睨む。
「なっ!? どういうことだ!」
「なぜ私があなたの不倫で慰謝料を払わなければいけやいのよ。慰謝料は不貞行為をした方が払うのよ。そもそも、どっちが悪いか考えればそんなこと分かるでしょう?」
「そんなはずはない。だって私は男性だぞ? 私の稼ぎがなければ食っていけない女に慰謝料を払う必要なんてあるわけが──」
「いいや。その通りだ」
裁判官は私の言葉を肯定した。
「慰謝料は不貞行為をしたものが払う。つまり、クラーク伯爵、あなただ」
「なんだと!?」
法の専門家たる裁判官の言葉にジョンは驚愕した。
そして自分の立ち位置が悪くなったのを理解したのか、情に訴えかけ始めた。
「こ、こんなの間違っている! なぜ私が悪者になるんだ! 私たちはただ愛し合っていただけなんだ! ただ真実の愛を求めただけで慰謝料だなんて……酷すぎる!」
わざとらしい台詞で演技するジョンを、私と裁判官は冷えた目で見ていた。
そして裁判官は大きなため息をついた。
「あなたは法律を舐めているのか? いくら情に訴えかけても不貞行為は正当化されない。慰謝料は浮気をしたあなたから絶対に払っていただく」
このままでは本当に慰謝料を払わされることに気がついたのか、ジョンは慌てて、今度は浮気について否定し始めた。
「わ、私は浮気なんてしていない! 潔白だ!」
もはやジョンは言っていることが支離滅裂だ。
もう今更浮気を否定しても遅い。
「浮気をしていた証拠ならありますよ」
私は昨日ジョンからもらった手紙を裁判官に渡した。
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