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10話
しおりを挟む「え?」
ジョンとヘレンの二人の声が重なる。
「合計すれば恐らく、財産の二倍から三倍ほどの借金が課せられるはずです」
「そ、そんな……! ふざけるな! 話が違うぞ!」
「財産の二倍から三倍って……! 破産するじゃない!」
裁判官は慌てふためく二人を小馬鹿にして笑いながら頭を振る。
「違いますよ。破産するようになってるんです。不貞行為はそれほど重い罪なんです。まさか……知らなかったんですか?」
私は頷いた。
貴族社会では不貞行為に重い罰が課せられるなんて常識だし、馬鹿でも考えれば分かる。
もっとも、目の前の二人を除けば、のようだが。
ジョンは足を震わせ、私へと縋りついてきた。
「あ、アン! やっぱり私が間違っていた! 君のことを愛している! もう浮気なんて二度としないから私を許してくれ!」
ジョンは涙を浮かべながら私へと頼み込んでいる。
借金を返すことが出来ない貴族はお金を他の貴族から借りることになるが、奴隷のように扱われることを知っているからだろう。
私がここで助けなければ、ジョンは今からその道をたどることになる。
「え、いやですけど?」
もちろん私はジョンのお願いを拒否した。
「そそ、それなら、慰謝料だけでも!」
「絶対にいやです。離婚しますし、慰謝料も請求します。ていうか、借金が嫌だから私とよりを戻そうとしていますよね?」
ジョンは図星をつかれたように黙る。
「自分がしたことの責任は取りましょう。それが貴族の務めですよ」
私はニッコリとジョンへと微笑む。
ジョンはついに絶望して、膝から崩れ落ちたのだった。
◯
ジョンとヘレンには莫大な借金が課せられた。
予想通り他の貴族はハイエナのように二人へと貸し付け、二人は今ほぼ奴隷として扱われているようだ。
私の方といえばジョンとヘレンからの慰謝料に加えて、その他の賠償金が入ってきたので財政はとても潤い、幸福な生活を送った。
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裁判官さん、お疲れー。グッジョブでした
伝説の92の男バージョンですか、面白かったです