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2話
母が死んだのは流行り病のせいだった。
私が十歳になる頃、母は家のベットで息を引き取った。私は母の手を握って泣いていた。まだその時は父も泣いていた。
数カ月後、父は再婚した。
エルザという綺麗な女性だった。平民の女性で一人イルマという連れ子がいた。
エルザも流行り病で夫を亡くしたらしく、一人娘がいた。その共通点が二人が惹かれ合った理由らしい。
私は複雑な思いだった。
父はたった数カ月で母を忘れたのだろうか?
エルザとその娘のイルマは屋敷へ連れてこられた。
イルマはスカートを摘んでたどたどしい貴族流の挨拶をした。
しかし私はそれを受け入れるしかなかった。
イルマが家に来てから一ヶ月後、使用人に横暴な態度を取るようになった。
エルザは金使いが荒くなり、無駄なバックや装飾品を買い漁るようになった。
二人の私への態度はどんどん酷くなっていった。
お姉様、と呼んでいたのが次第に呼び捨てに変わっていった。
そして父も私のことを避けるようになった。
それは母のことを思い出すからなのか、理由は分からない。
しかし明確に私を避けるようになり、そして敵意まで持つようになった。
父が私に対して敵意を持っていることを理解したイルマは、私のことを徹底的に虐めるようになった。
冤罪を被せたり、「それ、羨ましいわ!」と私のものを全て盗ろうとしたり。
もちろん私は父へと抗議した。
しかし父は聞く耳を持たず「イルマは今まで平民で大変だったんだ。それぐらいあげなさい!」とイルマの行動を助長すらした。
もともと持っていた服は全て取り上げられ、髪飾りすらも無くなった。
そして、イルマ虫の居所が悪くなると私へ罪をなすりつけて遊ぶようになった。
お皿を割り、私のせいだと叫ぶ。
するとすぐに父とエルザは飛んできて、私を強烈に叱りつけた。
私がイルマに虐められて、どんなに泣き叫んでも助けてくれなかったくせに。
私は絶望した。
この家に誰も味方はいないのだと。
こうして、私の居場所は家に無くなった。
それから学園に通うようになって、私は出来るだけ長い時間を学園の中で過ごすようになった。
◯
着の身着のままで放り出された。
比喩などではなく、言葉通りの意味だ。
私は夜の真っ只中、着の身着のまま、何も持たされず、無一文で絶縁を叩きつけられ家から放り出された。
絶縁を受け入れた私もまさか今この瞬間に放り出されるとは思わなかった。よもや無一文だなんて、よほど彼らは私のことを憎んでいたのだろうか。
私は特に何もしなかったというのに。
夜空には星が瞬いている。
季節は冬ではないので吐き出した息が白くなることはないが、それでも夜は冷える。
「とにかく、歩かなきゃ」
無一文で放り出されたので、宿を取ることも出来ないが、一夜だけならばあてがあった。
私は歩き出す。
振り返ることは無かった。
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