義妹に冤罪を着せられ家を追放されましたが、何故か王子と一緒に王宮で暮らすことになりました。

水垣するめ

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3話


「やっぱり開いてた……」

 私は目の前の建物を見上げた。
 来たのは私が通っているサーマライト学園の図書館だ。
 サーマライト学園は主に貴族の生徒が教養と社交性、それと貴族社会での振る舞い方を身につけるために通っている。
 またサーマライト学園は研究機関でもあるので、平民でも優秀な生徒が通っている。

 こうした理由もあって、サーマライト学園の図書館はとても設備が豪華だった。
 食堂やカフェもあるし、何より二十四時間空いている。
 そして私がその中でも特に重要視しているのは仮眠室だ。研究者や学生が集中できるように鍵付き個室の仮眠室がいくつも用意されていた。

 家から追い出されて寝る場所もない今、取り敢えずはここで夜を過ごそう、という考えだ。

 図書館の中に入ると受付で学生であることを証明する学生証を提示して中へと入った。

 ぼんやりと壁にかかったロウソクの光が本棚を照らしている。
 私は仮眠室のある奥の方へと歩いていく。

 ふと、本棚の近くに備え付けられたテーブルに誰かが座っているのを発見した。
 テーブルの上にランプを置いてパラパラと本のページをめくっている。

 その本を読んでいる人物も私の気配に気づいたのか振り返った。

「……リーナか?」
「ウィル王子……?」

 本を読んでいたのは同じ学園に通うウィル・スカーレット第一王子だった。

 輝くような金髪はこの暗闇の中でもランプの光を受けてなお輝き、驚きに見開かれた、澄んだ青い瞳は見ているだけで吸い込まれそうだった。

 ウィル王子は私だと分かると安心したようにホッと息を吐いた。

「なんだ驚いた、リーナか。なんでこんな夜更けにここに?」
「……ええと、色々とありまして」

 私は言葉を詰まらせた。
 家を追い出されて一晩の宿のために来ました、なんてどう説明すればいいのだろう。

 ウィル王子は私の様子を不審に思ったのか質問する。

「どうした。何か悩みでもあるのか? 俺でよければ力になるぞ」
「いえ、そんな……」
「俺に出来ないことでも学園の皆に相談すれば大丈夫さ。お前はいつも助けてくれるからな。喜んでお前の力になってくれると思うぞ」

 それでも、私は躊躇った。
 相談すれば、迷惑をかけることになるかもしれないからだ。

「しかし……」

「俺もお前に一度返しきれないぐらいの恩を受けた。だから、お前の力になりたい。……それとも、俺では力不足か……?」

 ウィル王子は悲しそうな表情で呟いた。
 私は全力で否定する。

「わ! 違います……! 分かった、話しますから……!」

 私がそう言うとウィル王子は安心したように笑顔になった。

「それは良かった。ああ、すまない。立ちっぱなしにさせてしまって。座ってくれ」

 ウィル王子はそうして目の前の椅子を指す。
 私は「失礼します」と挨拶をして座った。

「実は、家を追放されまして……」

 私は事情を語りだした。
 母が死んでからのこと、そしてイルマにどんなことをされてきたか。
 それから、ついには家を追放されたこと。

 私があらかた事情を話し終えてウィル王子を見ると、ウィル王子は今まで見たことのないほど怒っていた。

「ふざけるな……! なぜリーナがそのような扱いを受けなければならないんだ!」
「あ、あの……」
「しかも無一文で放り出しただと……? 年頃の娘を何だと思っているんだ……!」
「ウィル王子!」

 私が大声で叫ぶと、ウィル王子はハッと冷静になってくれた。

「すまない。リーナがそんな扱いを受けていると知ってついカッとなってしまった」
「いえ、私のためにそれ程まで怒ってくれてありがとうございます」
「それにしても宿がないのか、それは困ったな……この仮眠室で生活するのも限度があるだろうし……」

 ウィル王子は腕を組んで考える。
 そしてウィル王子が「ああ、そうだ」と何かを閃いたように顔をあげた。

 そして、とんでもないことを言った。

「リーナ、王宮で暮らさないか?」

……。
……………。

「……ええ!?」
感想 6

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