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1章
24話
しおりを挟むそしてクレープを食べ終わった後、私たちは大通りを見て回ることにした。
クレアが学園通りに来ること自体が初めてのようなので、私はクレアを案内することにした。
歩きながらいろんな店を回っている最中、とあるパイ専門店の前で立ち止まった。
店の中には様々なパイが並んでおり、見ているだけでお腹が空いてきた。
「あ、そうだ」
私はあることを思いついた。
「次はここに行きましょう」
「え、まだ食べるのか? 流石に太るぞ、お前」
「ぶっ飛ばしますよ」
私はそう言ってパイ専門店の中に入る。失礼なことを言われたので、これからすることにもちっとも罪悪感が湧かなかった。
「さて、どれにしましょうか……」
「俺はもう流石に食べれないぞ」
「私も食べませんよ」
「え?」
「あ、これ美味しそう。すみません、これ全部ください」
私は店員の人にアップルパイを全て欲しい、と告げる。
「かしこまりました」
「……お、おいこんなに買ってどうするつもりなんだよ」
クレアが小声で私に質問してきた。
私が買ったアップルパイは少なくとも三十個ほどはある。
確かにこれだけの数は私たちでは食べきれないだろう。
「大丈夫ですから」
私はクレアにそう言いながら代金を支払う。
そしてアップルパイが大量に入った袋を指差す。
「あ、これお願いします」
クレアにアップルパイを持って欲しい、と言う意味だ。ちなみに拒否権は無い。
さっき太るとか言った罰だ。
「は? 何で俺が」
「男の子でしょ? 女の子の荷物ぐらい持ってくださいよ」
「こんな時だけ都合よく男扱いするな!」
「いいじゃないですか。これまでのスイーツは全部奢ってるんですから。その分だと思えば安いものですよ」
「う……」
そう。クレアは今まで放課後に出歩くような用事がなかったためか、一切現金を持ち歩いていなかったのだ。
逆に「財布って何?」と聞かれたぐらいなので、相当温室育ちだ。
そのため私は何か買うたびにクレアの分まで奢っていたので、これくらい働いてもらってもバチは当たらないだろう。
そう言うとクレアも納得したのか、私のアップルパイを渋々ながらも持つ。
「お、重い……」
「すぐ近くですから辛抱してください」
私はクレアを大通りのすぐ近くにある場所へと連れていった。
本当にすぐそこにあるので二、三分程で着いた。
「到着しました」
「ここは……」
クレアは建物を見る。
私が連れてきたのは孤児院だった。
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