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2話
しおりを挟む「ふん、せいせいするな」
「ええ、長年手を煩わせてきた子供がいなくなったんですもの」
「一緒の家にいるだけでも気分が悪かったぜ」
「本当にスッキリしたわ!」
ミアを見送ったあと、リチャードたちはまるで家族の団欒のように朗らかに「ミアがいなくなってよかった」と笑った。
小屋の中には大量の書類が残されていた。
それは家の書類の殆ど全てだった。
◯
私は「無能」だと言われ続けてきた。
兄は神童と言われ、妹は誰からも好かれる天才だった。
何の才能もなく平凡だった私は兄や妹と比べられ、蔑まれてきた。
「何も出来ないお前は雑用でもやっていろ」
そう父から命令されたのは、私がまだ幼いころだ。
父から大量の書類が渡され、計算を行うように、と言われた。
計算や読み書きはもう習い終えていたので、簡単なことなら出来た。
無能と言われたわたしは家のために出来るのはこれぐらいしかないのだと思い込んでいた。
そうして雑用に明け暮れるなか、当時婚約していたノエルと会うことだけが唯一の楽しみだった。
それも「雑用に専念させる」という父の意向で最近は会えなくなっていた。
だから、私の心は限界に近かった。
こうして家から放り出されたのは幸運だったのかもしれない。
人生をやり直すチャンスとなったのだから。
◯
私は何を目的にするでもなく歩き続けていた。
ずっと雑用をさせられていた家から放り出され、すぐに何をすればいいのか分からなくなったからだ。
トボトボと鞄を抱えて歩く。
そうしていると、とある商店に目が留まった。
看板はボロボロで、何故か店主と思わしき人物が店の前で椅子に座り昼間から酒を飲んでいる。
その姿があまりにも卑屈に見えたので、ミアはつい声をかけた。
「どうしたんですか?」
「……ああ、そろそろな、破産しそうなんだよ」
「破産?」
「俺は笑っちまうほど商才が無いみたいでなぁ。十数年経っても商会はちっぽけなまま。ハッ、惨めだな」
そう言って自虐的に笑う店主の顔が、少し私に似ているような気がして、何とか力になりたいと思った。
「……あの、良ければお力を貸しましょうか? 私、少し経営をしたことがありまして」
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