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6話
しおりを挟むそして怒りを撒き散らしながらリチャードは帰ると早速あったことを公表しようと手を回した。
しかし──。
「はぁ!? 誰も出来ない?」
「はい、どのような手続きをするのか全く分かりません」
「この無能! 出版社に手を回すだけだろが!」
使用人にさせようとしたものの、誰一人として出来ないなどと言い始めた。
確かにこの十年ほど、ミアに同じことをさせていたが、こんな簡単なことも出来ないなんて言語道断だ。
「チッ、仕方ない。私が自らやってやる!」
そう言ってリチャードは知り合いの出版社へと向かった。
そこでリチャードは今日あったことと、ミシル商会がこんなに酷い仕打ちをしたのだ、と訴えた。
しかし記者たちは汗をかいて半笑いでリチャードへ尋ねた。
「ええと……冗談かなにかですか?」
「は?」
「あ、いえ! 何でもありません!」
記者はリチャードの顔を見てリチャードは本気なのだと悟った。
そしてリチャードの頭を疑った。
(そんなこと公表すれば自分の株が下がるだけだぞ!? 本当に正気か!?)
「いいから記事を書いてくれ! 金はたんまりと出す!」
リチャードは机にドン!と金貨のつまった袋を置いた。
記者はそれを見て目の色を変える。
「わ、分かりました! 今すぐにとりかかります!」
そうして記者は記事を書いた。
リチャードからありのままの事実を書くように言われたので、そのまま書いた。
しかしその記事が世間に公表されると、今度は世間から非難が集中した。
公爵家には連日抗議の声が届いた。
「平民を奴隷と勘違いしている!」などの内容が殆どだった。
「違う! ミアは出来ていたんだ! あの無能に出来ていたんだから、プロができない訳ないだろう! 私は間違っていない!」
リチャードは癇癪をおこし手紙を破り捨てる。
リチャードの暴走は止まらない。
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