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4話
しおりを挟むマックスが教室を出ていった後。
教室の中は静かだった。
セシルがエリナに駆け寄った。
「申し訳ありません。私がマックス王子にちゃんと説明出来なかったばかりに……」
「いいのよ。貴女は何も悪くないわ。あれはどのみち私が無実だって信じないから」
エリナはセシルを慰める。
「エリナ様は無実です! それなのに一方的に話も聞かず……。こんなの酷すぎです!」
「大丈夫よセシル。それは皆分かっているわ」
エリナは教室を見渡した。
教室の生徒は静かに頷いた。
生徒たちは皆、エリナに向けて同情的な視線を向けていた。
エリナとセシルが友人関係であることは、皆知っていたからだ。
そのため、マックスの言ったことは全て言いがかりであることも皆理解していた。
「本当に大丈夫よ。すぐに冤罪なんて晴れるわ」
「いえ、私はエリナ様に庇ってもらったのに、私はエリナ様を守れませんでした……」
セシルは悔しそうに歯噛みをしながらエリナに謝る。
「その気持ちだけ受け取っておくわ」
エリナはニコリとセシルに微笑む。
そしてセシルが顔を上げると、エリナの頬が腫れていることに気がついた。
「エリナ様! その頬……!」
エリナの頬は赤く腫れていた。
セシルはその頬が誰にやられたのかを瞬時に理解した。
平気で女性に手を上げる人物など、一人しかいない。
エリナは頬に手を当てる。
「ああ、これね。別にそれほど痛くはないわ。放っておけば腫れも引くでしょう」
「そんな……! 駄目です! 今すぐ医務室へ行きましょう!」
セシルはエリナに医務室へ行くように促す。
「大袈裟よ。私は何とも無いわ」
「駄目です! 私のせいでそうなったんですから! 今すぐに医務室へ行かないと私が罪悪感でおかしくなってしまいます!」
セシルは無理矢理エリナの腕を引いて医務室へと連れて行く。
そして医務室へとやって来た。
しかし見知らぬ生徒が扉の前に立っているのを見つけ二人は違和感を覚えた。
医務室へ入ろうとすると、見知らぬ生徒が扉の前に立ちはだかった。
「おっと、ここは入らせませんよ?」
その生徒はエリナが医務室へ入るのを阻止した。
「どきなさい! 今すぐに傷を治療しなければならないのです!」
セシルは通すようにその生徒へと怒鳴るが、生徒扉の前からどかない。
「それはできません。だって犯罪者のあんたには、医務室を使わせないように命令が出ているんでね」
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