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杖の真価
感情を隠すのも大事だよね
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「今回はこちらの要請に応じていただいて感謝いたしますわ」
「いえいえ、一応はこちらも住まわせてもらっている身ですのでね。正式な手順を踏んでいただけるのであればもちろん対応いたしますよ」
エルフの街の郊外にあるレインの家から中心部に向かい、周囲の視線を受けながら一番大きな屋敷へと入ると、そのまま応接間みたいなとこに通された。余計なことは無しにということだろうか。
しかし、これは…。
「想像以上だな…」
思っていた以上のもてなしっぷりに閉口する。
トップの方はいい。こちらへの警戒心を敢えて隠さずに牽制してきているのがわかる。敢えてだというのも伝わってくるのでこちらも対処しやすい。
この人は俺たちを対処すべき相手だと認識しているということだ。伊達に一つの種族を預かっていない。
カイルさんもそうだが、長のような人は普段はともかくやらなくてはいけないときにやらかすということがない。締めるとこはわかっている。
だが、その周り。側近のような立場であろう人もこちらに対する{嘲り}を隠せていない。或いは隠そうともしていないのか。
俺はこの眼があるから視えてしまうのは仕方がないと言えば仕方がないのだが、こいつらは俺でなくとも簡単にわかるほどにおおっぴらにしている。
この頃の傾向なのだが、俺の眼がまたいらん能力を追加されたらしい。
というのも、見た相手の感情の指向性がわかるようになってきた。簡単に言えば、その感情を主に誰に対して抱いているのかがわかるようになったのだ。
長の方の{警戒}がルーリアに向いているのと同様に、周りの奴らの{嘲り}もルーリアに向いている。
なぜこんなにも強いルーリアに{警戒}しないで大丈夫なのかと心配になるレベルだ。
この間にも会談は進んでいるが、ルーリアはよくやっている。
現状の説明と国家としての対応、そしてエルフ達に勧める対応などをわかりやすく説明し、ぼろを出していないどころか100点満点の出来と言えるだろう。
その様子を見てもその感情は揺らぎもしない。どうも妄信的に人間はエルフよりも下だと思い込んでいるらしいな。
敢えて言うならば俺にくっついているプリンセには多少気をかけているらしい。兵の数人はプリンセの動きに{注意}を向けている。
だが、ここでプリンセがやることはただ匂いを探ることだけだ。警戒してもどうにかできるものではない。
そして、二人が注意をひきつけているおかげで俺が動きやすい。
スルー・アイ。
俺は度重なる訓練によってスルー・アイの透視できる層の数を3にまで増やしていた。
決して私欲で女湯を覗いたりなどはしていない。研鑽のための必要な動きだ。
護衛としてさも周りを警戒しているような視線の動かし方で周りを確認していく。
無詠唱の強みはこういう魔法を悟られないことだな。
ん?
俺は下に視線を走らせる。
会談は1階で執り行われているので下を見ると、謎の構造があるのがわかる。
しかし、この階に下へと向かう階段はないようだ。歩いてる時にも確認していたが、上へと向かうものしか無かったはずだ。
なんなんだ、一体。
「いえいえ、一応はこちらも住まわせてもらっている身ですのでね。正式な手順を踏んでいただけるのであればもちろん対応いたしますよ」
エルフの街の郊外にあるレインの家から中心部に向かい、周囲の視線を受けながら一番大きな屋敷へと入ると、そのまま応接間みたいなとこに通された。余計なことは無しにということだろうか。
しかし、これは…。
「想像以上だな…」
思っていた以上のもてなしっぷりに閉口する。
トップの方はいい。こちらへの警戒心を敢えて隠さずに牽制してきているのがわかる。敢えてだというのも伝わってくるのでこちらも対処しやすい。
この人は俺たちを対処すべき相手だと認識しているということだ。伊達に一つの種族を預かっていない。
カイルさんもそうだが、長のような人は普段はともかくやらなくてはいけないときにやらかすということがない。締めるとこはわかっている。
だが、その周り。側近のような立場であろう人もこちらに対する{嘲り}を隠せていない。或いは隠そうともしていないのか。
俺はこの眼があるから視えてしまうのは仕方がないと言えば仕方がないのだが、こいつらは俺でなくとも簡単にわかるほどにおおっぴらにしている。
この頃の傾向なのだが、俺の眼がまたいらん能力を追加されたらしい。
というのも、見た相手の感情の指向性がわかるようになってきた。簡単に言えば、その感情を主に誰に対して抱いているのかがわかるようになったのだ。
長の方の{警戒}がルーリアに向いているのと同様に、周りの奴らの{嘲り}もルーリアに向いている。
なぜこんなにも強いルーリアに{警戒}しないで大丈夫なのかと心配になるレベルだ。
この間にも会談は進んでいるが、ルーリアはよくやっている。
現状の説明と国家としての対応、そしてエルフ達に勧める対応などをわかりやすく説明し、ぼろを出していないどころか100点満点の出来と言えるだろう。
その様子を見てもその感情は揺らぎもしない。どうも妄信的に人間はエルフよりも下だと思い込んでいるらしいな。
敢えて言うならば俺にくっついているプリンセには多少気をかけているらしい。兵の数人はプリンセの動きに{注意}を向けている。
だが、ここでプリンセがやることはただ匂いを探ることだけだ。警戒してもどうにかできるものではない。
そして、二人が注意をひきつけているおかげで俺が動きやすい。
スルー・アイ。
俺は度重なる訓練によってスルー・アイの透視できる層の数を3にまで増やしていた。
決して私欲で女湯を覗いたりなどはしていない。研鑽のための必要な動きだ。
護衛としてさも周りを警戒しているような視線の動かし方で周りを確認していく。
無詠唱の強みはこういう魔法を悟られないことだな。
ん?
俺は下に視線を走らせる。
会談は1階で執り行われているので下を見ると、謎の構造があるのがわかる。
しかし、この階に下へと向かう階段はないようだ。歩いてる時にも確認していたが、上へと向かうものしか無かったはずだ。
なんなんだ、一体。
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