猫が崇拝される人間の世界で猫獣人の俺って…

えの

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「何故…急に逃げたりしたんだい?」

何かあったのか心配したよ、顎クイをしながら優し声で問うデュオ。顔の表情と口調が全然合ってないんですけど…。青筋を浮かべながら言うセリフじゃないでしょ!!

「あっ、いやー。えっと…アレだ。ちょっと俺と身分違いすぎるかなー?とか思ったりして…」

ゴメン。と素直に口に出して謝れば、デュオの腕から力が抜けた。とりあえず、これで逃げた罪をチャラにしてくれ!!そんな願いを込めて言い訳を述べる事にした。

「悪い…。俺、1人が長いからさ、誰かとこんなに長い時間一緒に過ごす事なくて。身分差あると一緒には居られないだろ?だからさ…」

俺を森に帰して下さい!!お家に帰して!!しっぽを胸に抱き締め目を伏せる。心做しかデュオの雰囲気が和らいだように思えた。もしや…帰れるのでは…?そんな期待を持ち、薄らと目を開けると蕩けるような笑顔のデュオが目に映った。

「ミルル…私の気が焦ってしまったようだね。もっと順を追って説明した方が良かった。気を負わせてすまない」

今度はデュオから謝罪されてしまった。おぉーい!!簡単に王様が頭を下げるんじゃない!!ないないないない!!ヤバイ!!誰も見てないだろうな?!こんな場面を見られたら…しっぽをムギュっと握りオロオロと辺りを見渡すが、デュオ以外に人間の姿は見えなかった。

ふぅー。そーいや、俺、結構足の速さに自信あったんだけど、デュオは何故追いつけたんだ…。人間という生き物は謎だ。ちょっと探りを入れてみるか。

「なぁ、俺の結構足の速さには自信あったんだけど…デュオも結構速いんだな。まぁ俺には及ばないけどッ!!」

ふんっ、と鼻を鳴らし気づく。あっ、王様だと言う事を忘れて何時もの様に威張ってしまった…侮辱罪が追加されたかもしれん…くっそー!!俺の馬鹿ー!!しっぽを握り締めた手に更に力が籠る。しっぽから悲鳴が聞こえてきそうだ。

「ふふふ。びっくりしたかい?私達王族は他の人よりも魔力が多いからね。身体能力を上げることも可能なんだよ。だからミルルを見つける事も出来たし、感謝しないとダメだね」

握り締めすぎて色の変わりだした手に、デュオの大きな手が被さった。自然とその手に目線が動く。
魔力持ち…。しかも魔力が多いだと?!俺の居た世界で魔力を持つものは極意一部の獣人だけだ。俺の様な猫獣人は希少種なので、魔力もあるがそれでも微力。俺なんて少しの怪我を治癒する事しか出来ない…。

人間は皆…魔力を持っている…つまり、お前なんか簡単に捕まえられるんだぞ?逃げるんじゃねぇぞ?!って意味か…!!つまり、俺は…俺には森で生きて行く他に道はない!!

俺は森の小さなあの家が好きだ。何だかんだ思い出だって詰まってるし。それにベッドが変わると眠れない体質なんだよ…。選びに選び抜いて最終的に巡り会えた。奇跡のベッド。アイツじゃないと無理。寝れない。よってお家に帰ります。


「俺…アイツ(ベッド)じゃなきゃダメなんだ!!」


「あ゛ぁ?!」


地を這うようなデュオの声に、俺のアイツじゃないと眠れないんだ!と続くはずだった言葉は遮られた。えっ、怖ッ。怒りの沸点謎すぎ。人間マジで怖い。


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