猫が崇拝される人間の世界で猫獣人の俺って…

えの

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混乱が治まらないまま、あれよあれよとディオとエールのお家に到着。帰りたい?言えるわけないだろーが!甲冑まみれの人達に囲まれてる上に、ディオががっちりホールドしてやがる!絶対に逃がさない気だ!そして極めつけは…目の前にそびえるバカでかい城…。

「えっ…家…これが…」

想像とかけ離れた目の前の光景に言葉が続かない。人間は城が家なのか?では俺が住んでいたあの家は?果たして家と呼べるのか…?ってか…エール…お前よくあの小さな家で我慢出来たな…。

人間という生き物は俺の想像を遥かに上回る行動を取る事は理解していたが…ここまでくるとちょっと…。

「家って…ココか?」

首をこてんと傾げ指を刺し一応確認してみた。そうだよ、ミルル、と優しく答えてくれたディオだが…俺は見た!!上っ面には騙されん!!甘いマスクで隠しているつもりかしらんが、質問をした途端にディオの目が獣になる様を俺は確認しました!!

しっぽの毛が逆立つ。おお可哀想に…俺のしっぽよ…。胸に抱き締めヨシヨシ怖かったなと、自分のしっぽを自分で慰める。目線はしっぽに固定。ビシビシ視線を感じるけど無視。今ディオを視界に入れるのは危険な気がする…。ってか怖すぎ…。お家に帰りたい…。そんな俺の心も知らず、

「ミルルー!今日からはずっと一緒だね!!」

と天使の様な笑顔向けて話しかけてくるエール。毎日一緒に寝ようね、何して遊ぼうか、ミルルの手作りお菓子が毎日食べれるだのなんだと、矢継ぎ早に語り出す。

一つ一つセリフが胸にグサグサ刺さって痛い…。わざとじゃないよね?!子供とは時に残酷な生き物だ。無邪気な笑顔で心を抉るとは…。
俺は、あぁ、そうだな、と言いながら口の端をひくつかせた。なんなら白目剥いてたかもしれない。

ゆっくりと御一行が城の中に歩みを進め出す。この中に入ったら外には出られないんじゃないか?と一抹の不安がよぎり身震いした。俺の直感は当たるんだよ…。どうか今回ばかりは外れてくれ!!だが、俺の直感力は素晴らしかった…。

城の中に着いて通された部屋は、あまりにも豪華過ぎて居心地が悪い。なんだこのフカフカなソファは?!めっちゃ体が沈む!おまけに机の上に置かれた香しい匂いを放つ見たことも無いお菓子!! 

目を爛々と輝かせ見つめていると、幸せな気分を打ち砕く衝撃の事実が語られた。それは…ディオが王様でエールが王子様って事…。

あぁ…なんだか耳鳴りがする。俺の可愛いらしいお耳は機能を停止したようだ。数々の無礼、非礼を思い出し気が遠くなってきた。

つ、ま、り、豪華な差し入れは俺を逃がさない為の餌。食料なけりゃ死ぬでしょ?的な。頻繁に自分で食料を持って来ていたのも、逃げてないよな?エールに危害加えてないだろうな?と確認する為。


俺を投獄するつもりなのか?逃がすつもりはないとの意味を込め最後のがっちりホールド…。なるほど、なるほど、納得!!情報処理を諦めた俺の頭はバグりだす。


自分でも自覚している可愛い容姿だ。投獄なんてされたら…。色んな人間にあんな事や…そんな事…。こんな所で逞しい想像力が幸をそうした。
イヤ──────────ッ!!そして俺は全力で逃げ出した。おぞましい未来から逃げる為に!!獣人様の身体能力を嘗めるなよ!!


闇雲に走りまくり中庭らしき場所に到着した。そこは綺麗な花々が咲き、木々も綺麗に切り揃えられていた。流石、城内。手入れが行き届いているなー。

綺麗だな、癒される…。森生活が長い俺は自然が大好きだ。非常事態だと分かっているのに吸い寄せられる様に花に顔を近づけクンクンと匂いを嗅ぐ。甘い匂いがツーンと奥に広がり幸せな気分になる。


もうひと嗅ぎしようとした時、腕が痛くなるほど、後ろからがっちりホールドされた。グヘッ。突然の事に思わず変な声が出た。ギ、ギ、ギ、と壊れたおもちゃのように振り向くと、額に青筋を浮かせ、頬をピクピクと器用に動かすディオの顔がすぐ近くにあった。


イケメンって怒っててもイケメンなのな。おれはどーでもいい事を考え現実から目を逸らした。






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