嫌われ悪役王子は死にたくない!!《本編完結済》

えの

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ガイの部屋の前に到着すると、‪またお迎えに上がりますと告げヘラは去ろうとする。えっ、内心焦りまくる俺。ガイと2人っきりになるとか想定外だよ!!繋いだ手に力を込め無意識に引き止めてしまう。


ヘラを困らせるつもりなど無かったのに…。ゆっくりと離される手に無意識に顔が強ばった。しかし、去り際にされた頭をポンポンに俺は瞬時に心を鷲掴みにされた。ぐっ、苦しい…。胸を抑え悶える。何あの可愛い子は!!クールフェイスであんな事されたら、ときめかないはずがないだろ!!ヘラはモテる。絶対にモテる部類だ。


スーハーと大きく深呼吸をし心を落ち着け、改めて扉の前に向き直った。俺は出来る、やれば出来る子!!自分に言い聞かせる様に気持ちを奮い立たせた。


コンコン


「シオンです」


まぁ、緊張から敬語になってしまったのは仕方ないよね。だって好きな子の部屋に呼ばれたんだもん。誰だって緊張するし、淡くエロい事を期待しちゃうもんでしょ。ましてや二人っきりなんて…。少し間が開き返事が返ってきた。


「入れ」


短いセリフでもわかる低音イケボにブワッと鳥肌が立つ。あーダメだ。扉越しなのに体がゾクゾクしちゃう。はぁ…ヤバいよ…本当やばい。ベットでこの声に攻められた日には…あーんな事も、こーんな事も全部受け入れちゃいそう!!


たかが「入れ」のセリフだけなのに妄想に突入するのは簡単過ぎた。エロい事を考えると自然と体は反応してしまうものだ。その少しの膨らみを見て現実に引き戻された。何やってんの俺…。


 なんて恥ずかしい。物事をすぐにエロに直結させるのは止めよう。中心部を隠すようにしゃがみこむ。興奮を収める為に大きく息を吸い込み、ギュッと30秒ほど息を止めた。あー苦しいくるしいぐるじぃ。っぷはぁ、はぁ、はぁ、苦しすぎて少し涙目になっちゃったけど、まぁ、興奮は治まったわ。


仕切り直して、今からもう一度ノックをしよう、さっきのノックで聞いた「入れ」は聞こえなかったって事で。片膝を床につき、立ち上がろうとした時、ガチャりと扉の開く音と共にガイが現れた。恐らく中々入ってこない俺を不思議に思ったのだろう。タイミング悪す!!ガイと俺の視線が絡む。


「あぁ~、こんにちは?」


「そんな所で蹲って何をしている?」


「いやー、ちょっとね…」


何故か俺の顔を見て少し不機嫌そうな顔をし、延びてきたガイの手に痛みが伴う程ぐいと腕を引かれた。いきなりの出来事にあけっけにとられる。だか瞬時に思考を切り替えた。俺にガイが触れている!!正確には掴まれているんだけど…こんな強引なガイも素敵!!部屋の中に連れ込まれ何をされるの?!と期待したが、そのまま突っ立った状態でガイは俺を見詰めていた。


「シオン。泣いていたのか?何があった?」


ガイが落ち着いた声でゆっくりと話す。だか目は早く説明しろと言っている。俺は腕を掴まれたまま、ガイを見上げ質問の意味を考える。泣いている…俺が?あっ、さっきの萎えさせる行為のせいね。思い出させないでよ。


「いや、泣いてねーし」


非常に気まづく目を逸らしながら答えた。ゴシゴシと服の裾で目を擦り溜まった涙を拭っていると、その腕を更に掴まれた。まさかの両腕をガイに掴まれるというドキドキするシチュエーションに目がオロオロ泳ぐ。何がどうなってんの?!このままガイの頭がとち狂って押し倒してくれないかな!!


「嘘をつくな。それとも俺には言えないのか?」


今度は少し脅すような言い方に俺のドキドキの性質が変化した。少し鼻に皺が寄っているせいで、チラリと歯が見えている。なんか…ちょっと怒ってますやん!!何があったと聞かれれば、ガイの声でエロい妄想に浸ってましたとしか答えようがない。そんな事言えるはずもない。俺はオープンエロタイプではないのだ。ふむ…ここは…キースよ俺の為に犠牲になってくれ!!


俺は先程の道中で起きた出来事を掻い摘んで話した。キースには少しだけ悪い気がするけど、この場を乗り切る為には仕方がない事だ。許せ。


最後にヘラが、頬っペに手を添えてくれた事、頭ポンポンしてくれた事が何よりも嬉しかったと笑顔で伝えた。すると何やから考え込んだ様子を見せたあと、ガイはパッと俺の腕を解放した。


自由になった腕は薄らと赤く掴み後が残っている。擦りながらガイは人間に対しての力加減が分からないのでは?と疑問が浮かぶ。そして俺の疑問は確信に変わった。


バシバシッ!!突然ガイに頭を強く叩かれた。からの両手で頬っぺを挟んでむにゅー。これは添えるなんてレベルじゃねーぞ!!俺の唇がとんがってるじゃんか。手は添えるって話したでしょうが!!


普通はこのんな風にされたら、そのまま流れで甘い雰囲気になって、優しいキスをして…とエロ展開に突入するんだよ!!まぁ、多分だが、ガイなりにヘラの真似をして慰めてくれているのだろうが…。


ガイの太い両腕を掴み、スポンッとプレス呪縛から頬っぺを解き放った。しかし、俺の心配をしてくれる程には気にかけてくれてるって事だよな…。


「ガイ、ありがとう。もう平気だから」


俺の返事に目を細め満足そうに頷くとガイ自らお茶の準備を始めた。ガイに給仕紛いの事をさせるなどダメだ。本当は俺が代わろうかと提案しなければいけないのだが、何せ絵面が可愛すぎて無理。あんな小さなティーカップにお茶を注いでるなんて…手が大きすぎてティーカップがおもちゃに見える。ガイがおままごとをしているみたいで本当可愛いわ。


香りの良い紅茶を飲みながら、ガイと話す時間は楽しすぎて時間を忘れるぐらいだった。最後にガイから素晴らしい提案をして貰う。なんと学園が終わると夕方には部屋に戻っているそうだ。ゲームでは寮に住んでいたはずだが…。エロゲなのにエロ要素減ってるよ!!


まぁ、そのおかげで夕方にガイの部屋を許可なく訪れる事を許してもらった訳だけど。これで、いつでも小説の続き読めるし、ガイにも会えるし万々歳だ。ガイに抱かれるって夢にも近づいたんじゃね?!



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