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⑴
しおりを挟む「オーランド様!!今日もかっこいいですね!!好きです!!お弁当持ってきました!!」
俺は定番となった告白の言葉と共に、手に持っていたお弁当入りのバスケットを差し出す。
「簡単に好きなど言うものではない。毎日、お弁当すまないな」
毎回、告白は流されるが、バスケットはちゃんと受け取って貰える。それだけで嬉しい!!
「オーランド!!こんなにルイちゃんが好きって言ってるのに何で付き合わないのさ~!!ルイちゃん今日も可愛いね!!」
「いいんです!!俺が好きで勝手に告白してるので!!また明日お弁当持ってきますね!!それじゃぁ!!」
俺、ルイは街の食堂で働いている猫の獣人だ。猫の獣人は皆容姿が麗しい。俺も例外ではない。その容姿から貴族に囲われる事も多く、繁殖力も高いので大人気だ。先程、俺が告白をしていた相手は、騎士団長のオーランド様!!熊の獣人でとにかく大きくて厳つい…でもそれがかっこいいんだよなぁー。そしてなんと言っても先祖返りをして、熊さんが歩いてるみたいなんだ!!鎧の中は素晴らしいもふもふが広がっているはず!!鎧を剥がしたい…抱きしめて欲しい…。もし、そんな事されたら俺はどうなってしまうのか…。いや、普通に興奮し過ぎて鼻血出すか、奇声をあげるな。そして、オーランド様に軽口を叩いて居たのが、狼の獣人のシュロ様!!目鼻立ちのきりっとした美人さんだ!!
食堂の看板を営業中にする。俺の一日はオーランド様にお弁当を渡してから始まる。一人で食堂を切り盛りしているので、夕方には店は閉める。昔は狸の獣人老夫婦と一緒に食堂をしていたが、去年相次いでいなくなり、食堂を譲り受けた。今は俺一人だけ。そんな食堂だが、常連客も居るし、ランチタイムには賑わう。店を閉めてからは買い出しと毎日忙しい日々を送っている。
次の日も同じようにオーランド様に告白してお弁当を渡す。だが、今日はいつもとは違った。お店に帰る途中、パン屋のおじちゃんに呼び止められる。
「ルイちゃん…あいつら来てるよ…」
閉店と書かれた看板前に待ち構える二人組が目に入る。如何にも柄が悪そうで、叩けばホコリが出て来そうな人相をしている。あぁ…ついにこの時がやって来たか…。
「おじちゃんありがとう!!もし…オーランド様がお弁当のバスケット返しに来たら受け取ってくれる?お願いね!!」
なるべく明るく声を出し、問題ないよと伝える。
「ルイちゃん…」
「心配してくれてありがとう!!」
そして俺は待ち構える二人組に近づき、一緒に店の中に入る。この日から、店の看板が閉店から変わる事はなかった。
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