俺だけもらえるベーシックインカム~異世界ニートな俺が、働かなくてもいい理由~人生疲れて生きる意味を見失っていたけど、異世界行ったら余裕でした
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
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19話 初めてのクエスト
しおりを挟むテイマーとして冒険者登録を終えた俺は、さっそくクエストに出かけることにした。
まずは手ごろなクエストがいいな。
俺がクエストボードから選んだのは、ゴブリン討伐のクエストだ。
「まあ、まずは雑魚モンスターからだろ」
ゲームでもゴブリンってのは結構な雑魚として設定されてることが多い。
まあスライムでもよかったがそれだとちょっと弱すぎるからな。
「あの、このクエストをお願いします」
クエストシートをカウンターへともっていく。
すると、受付嬢さんからは意外な返答が帰ってきた。
「え……!? あの、ショウキチさんはこれが初めてのクエストですよね?」
「ええ、そうですけど」
「だったら、他のクエストをお勧めします」
「大丈夫ですよ。俺は魔法も使えるので、これで」
それに、シロという相棒もいるしな。
まあ、シロはただの犬だし、戦いの面で期待なんかしていないけど。
それでも、犬は鼻もきくし、いざとなればスライムくらいなら追い払ってもくれそうだ。
「そ、それは失礼しました……! で、でも……ゴブリンですよ? わかってますか?」
「なにか問題があるんですか?」
「い、いえ。別に問題があるというわけではないのですが……その、ゴブリンは結構な危険なモンスターです。知能も高く、集団で行動するので……」
「うーん、そうなんですか……。でも、とりあえず他によさそうなクエストもないのでこれでいいです。いざとなれば、逃げるので大丈夫です」
「そ、そうですか……。わかりました。くれぐれも、気を付けていってきてくださいね」
「はい……!」
受付嬢のお姉さんも心配性だなぁ。
相手はゴブリンなんだから、そこまで心配することもないだろうに。
まあ、これはゲームとは違って、命も一回しかない本物の人生だ。
だからそれだけ念を押して注意するのは、当たり前といえば当たり前かもしれないな。
俺も油断せずに、くれぐれもいのちだいじにでいこう。
俺はシロを連れて、ゴブリンの生息地である森林地帯に向かった。
◇
【side:受付嬢】
「うう……大丈夫でしょうか……」
ショウキチが去ったあと、受付嬢は心配した表情でギルドの出入口を眺めていた。
見かねた同僚が、話しかける。
「どうしたの……?」
「それが、さっきの初心者さん、ゴブリン狩りに行ってしまって……。少しゴブリンをなめている気がしたので心配です……」
「ああ、たしかにそれは心配ね……。ほとんどの初心者冒険者の死因はゴブリンだものね」
「いちおう、念を押して注意はしました。それから、テイマーでしかも魔法も使えるという有望な初心者さんだったので、許可をしてしまいましたが……大丈夫だったのでしょうか……」
「テイマーで魔法も使えるねぇ……だったら大丈夫なんじゃない?」
「だといいのです……」
そう、ショウキチが思い浮かべるゴブリンはあくまで、ゲームなどに出てくる架空の存在だ。
実際のゴブリンがどれほどのものかは、まだ知らない。
そして彼はその見込みが甘かったことを、この後で嫌というほど思い知るのだった。
「あ……! そういえば……!」
「え……!? なんですか……!?」
「あんた、言い忘れてたんだけど、森林には今、タイラントオークも出没してるって! ちゃんとあの冒険者さんに伝えた……!?」
「え……!? そ、そうだったんですか!? 私、言い忘れてました……どうしましょう……」
「まあ、彼の幸運を信じるしかないわね……。一応、近隣に行く冒険者には伝えておくから、それでなんとかなるといいのだけど……」
そしてさらなる脅威が、ショウキチを待ち受けているのだった――。
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