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第25話 祝福樹が咲いたよ!

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 ベアトリスやシュシュ、ポンタと修行しながら、アリシアと森で過ごす幸せな日々が続いていた。
 そんな中、ついに今年も【祝福樹しゅくふくじゅ】の花が咲いたのだ。
 祝福樹の花は年に一度しか咲かない、ふしぎな花で、咲くと幸福が訪れるといわれている。
 その花が咲くと、年に一度の【もふもふ祭り】が開催されるのだ。

「今年はアリシアもいっしょよぉ」

 メリーが嬉しそうに言う。
 
「なら、アリシアの歓迎会も含めて、今年は盛大に盛り上がりましょう!」

 ラビィはさっそく準備にとりかかっている。
 アリシアはなにが起こっているのかわからない感じで、僕に尋ねる。

「ねえ、みんな何を言っているの?」
「ああ、もふもふ祭りのことだよ」
「もふもふ祭り……? なにそれ」
「もふもふに纏わるいろんなことをするイベントさ。きっと楽しいよ」
「なんだか楽しそう……! 私も手伝うわ……!」

 ウルとの再戦の日が近いけど、この日ばかりは一時休戦。
 僕もウルも、いまからもふもふ祭りが楽しみで仕方なかった。

 僕たちはその日の午前中は、メリーと一緒に花飾りを作るのを手伝った。
 もふもふ祭りで使う花飾りには、森に咲いている【もふもふ草】の花を使う。
 もふもふ草は毎年この時期になると、もふもふした花を咲かせるのだ。

「くちゅん……!」

 花飾りを作っていたアリシアがきゅうにくしゃみをした。

「どうしたのアリシア、大丈夫?」
「うん、ちょっともふもふの毛が鼻に入っちゃったみたいで……」
「くちゅん……!」

 すると、僕もアリシアのくしゃみがうつったのか、くしゃみをしてしまう。

「リュカも……大丈夫?」
「うん……僕ももふもふが……」
「くちゅん……!」

 すると今度はメリーまでもがくしゃみをした。
 僕らは三人で笑いあう。

「あはは……メリーまで……。メリーももふもふなのにね」
「それは関係ないわよぉ……もう」
「あはは」

 そんなほのぼのとした穏やかな時間をすごしていると、ウルと戦うことなんて忘れそうになるけど……。
 でも、もふもふ祭りが終ったら、いよいよ対決のときだ。
 僕は作業をしながらも、頭のかたすみで、どこか戦いのことを忘れられずにいた。





 お昼くらいから、森の広場の中央では、何軒か屋台が出始める。
 もふもふたちは木を組み合わせたりして、簡単な屋台くらいならすぐに作れてしまうのだ。
 ただの獣とあなどるなかれ、神獣にはちゃんとした文明がある。
 
「ベアトリス。モチモチを二つもらえるかな?」
「あいさ! 50もふもふもらうね」
「はーい」

 僕はベアトリスの屋台でモチモチを二つ注文する。
 50もふもふ……というのはこの森で、この日だけ使える通貨みたいなもののこと。
 なにかもふもふ感のあるものを渡せばそれでいい。
 50というのも、だいたいの数字で、50もふもふくらいの価値があるものを渡せばいいのだった。
 森の中では通貨の基準もそのくらい曖昧だ。
 僕はさっき作ったもふもふの花飾りをいくつかベアトリスに手渡した。

「ねえ、モチモチってなんなの?」

 アリシアが尋ねる。

「ベアトリスのつくる特別なお菓子だよ。この日しか食べられないんだ。モチモチしていて美味しいんだ」
「へぇ……どんな味なのかしら……」
「それは、食べてみてのお楽しみだね。はい」

 僕はベアトリスから受け取ったモチモチを、アリシアに手渡す。
 モチモチは、その名の通りモチっとしたお菓子だ。
 お芋やモチモチ草で出来ていて、ほんのり甘い味がする。

「うん、美味しいわ……! こんなお菓子、王宮でも食べたことない……!」
「でしょ! よかった。気に入ってもらえて……」

 ベアトリスは誇らしげだ。

「でも、びっくりしたわ……。動物たちって、こんなに器用なのね。なんでも作れちゃう……」
「神獣だからね。たぶん僕より器用だよ」

 まあでも、基本彼らはのんびり屋さんだから、森のなかに大した建物やお店なんかはないんだけどね。
 森の中の暮らしは、基本は森にあるもので済ませるのがここでの決まりだ。




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