始龍の賢者〜生まれた直後に森に捨てられたけど、最強種のドラゴンに拾われ溺愛されて最強になった~

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中

文字の大きさ
2 / 69

第2話 《魔力解放》なんかでりゅ!!!!

しおりを挟む

 ある日のこと、アイリが俺に魔法の使い方を教えてくれるという。
 そしてその前に、まずは俺のこの『魔力ゼロ』状態を解決する方法があるのだという。
 そういえば、毛穴がどうとかって言ってたな。
 魔力の泉にアクセスができないだけで、俺にも潜在魔力が眠っているとか。

「レル、今からお前の魔力栓を解放する」
「それを解放すると、どうなるんだ?」
「お前の身体に眠っている、生命力としての魔力を使えるようになるじゃろう。だが、今まで魔力ゼロだったからな。いきなり魔力を浴びると危険だ」
「そうなのか?」
「ああ、だからこの歳になるまで魔法の話はしなかった。今のレルなら、魔力を制御できるじゃろうと思ったから話したのだ」
「俺って魔力ゼロなんだろ? だったらその魔力栓とやらを解放したところで、微々たる魔力しか得られないんじゃないのか? それなら、そんなに心配することもないだろう」

 俺は思った素朴な疑問を口にする。
 たしかにいきなり魔力を手にしてしまったら、暴走したりする危険性があるっていうのは、なんとなくわかる。
 だけど、アイリも目の前についていることだし、大げさな心配のような気もする。

「なにを言っておる。レル、魔力解放をすれば、お前の魔力はとんでもない量になるんじゃぞ?」
「え……? そ、そうなのか?」

 俺の魔法適正がすごいって話はきいたけど、魔力量まで多いなんてきいてなかったぞ?
 魔力ゼロの俺が、ちょっと蓋を外すだけでそんなことになるものだろうか?

「たしかにもともとのお前の魔力は並みの人間以下じゃった。しかし、レルギアと名付けたのは他ならぬ我じゃ」
「ああ、そうだな。それがどうしたっていうんだ?」

 自分でも、この名前は気に入っている。アイリには本当に感謝していた。
 捨てられた俺を、ここまで育ててくれてるんだからな。

「いいか? 名付けという行為には、特別な意味がある。特に上位種の生物が、下位の生物に名前を与える場合はな。ようは、その名付け親の眷属となるということじゃ」
「っていうことは、俺はアイリの眷属なのか。それで、具体的にはどうなるんだ?」
「眷属となったものは、上位種に進化したりもする。特に、我ほどの高位のドラゴンに名付けられたお前の場合はな。それに伴って、魔力の量なんかも飛躍的に向上しているはずじゃ」
「じゃあ、俺は人間離れした能力が使えるってことか?」
「ていうか、人間ではない」
「は……?」

 速報。俺はもはや人間ではないそうです。
 まあ、人間扱いされずに捨てられた結果今に至るわけですけども。
 そういう意味じゃなく、マジで俺は人間じゃないのか?

「我に名付けられたことで、お前は人間の上位種に進化しているも同義じゃ」
「おぉ……マジか。ドラゴンの眷属ってことは、俺はあれか? 竜人族とかそういうやつなのか?」

 竜人族という種族の話は、俺も前にきいたことがある。
 ドラゴンとゆかりの深い種族で、非常に高い知能と魔力を持つそうだ。

「いや、それも違う。他のドラゴンに名付けられてたらそうじゃったかもしれんが、お前は他でもない我に名付けられておるからの。お前は、『竜王』じゃ」
「りゅ……竜王……!?」

 なんだそれ……。俺は知らぬ間に王を冠する生物になっていたのか……。

「ようは竜人族のさらなる上位種。しかもお前しかいない、ユニーク種じゃ!」
「おお……! なんかすごい。でも俺が王かぁ……。じゃあ、アイリが姫ってことか?」

 俺は何の気なしに、そう言っていた。
 すると、アイリは珍しく頬を赤く染めて、少女のように照れだした。

「な!? わ、わわわ我は姫とかいう柄じゃないわい! おかしなことを言うでない! もう……! レルはとんだマセガキじゃな……! ぷんすか」
「あはは……ごめんごめん」

 アイリは居住まいを正した後、軽く咳ばらいをして話を元に戻す。

「おほん……では気を取り直して。今からお前の体内に魔力を流し込む。それで、無理やり中から魔力栓をこじ開けるのじゃ!」
「おう、たのむ!」

 真剣な顔つきで、アイリが俺に近づいてくる。
 長く一緒に暮らす家族とはいえ、ここまで顔を近づけられると、絶世の美少女なだけあって、さすがに照れる。

「お、おい……なにするんだ」
「いいから、じっとしておれ」

 アイリの吐息が、俺の首筋に当たってぞわぞわする。
 ふわっとしたいい匂いが、鼻先をくすぐる。
 そしてそのまま体を寄せ合って――。
 アイリは俺の首筋にガブリ、と嚙みついた。

「いてぇ……! なにすんだ……!?」
「へっへっへ。これが『龍の噛みあと』じゃぞ? よろこべ、竜の王よ」

 なにやら芝居がかった声色で、アイリが意味深なことを言った。
 すると、その龍の噛みあととやらが、鈍く光を帯びて、俺の身体に紋章となって深く刻み込まれた。
 その紋章から、全身になにかが流れこんできて、あふれ出しそうになる。

「な、なにこれぇ……!?」
「いいから、そのまま身をゆだねるのじゃ!」
「な、なんか来る……!? なんかでりゅううううう!!!!」
「我慢しないで! そのまま出すのじゃ!」
「うわあああああああ!!!!」

 俺の全身から、魔力が噴き出した。
 なぜか意図せずにおねショタ的セリフをやり取りしてしまったが……。ていうかアイリのやつこれがやりたかっただけだろ……。
 とにかく、俺の全身に力がみなぎる。みなぎっていた。
 今までろくに感じたこともなかった魔力が、ありありと感じられる。

「これが……俺の魔力……」

 今まで赤子のとき以来、他の人間に会ってないので基準はわからないが……とにかくこの魔力がすさまじい量だということは、嫌でもわかる。
 森の中の他の生物たちと比べても、明らかに異常な量の魔力だ。
 おそらく普通の人間では、一生かけても到達できないほどの領域。

「ぐへへ、ショタの魔力を開通させるという、かねてからの夢が叶ったわ」
「なんちゅう夢持ってたんだよ……」

 そもそもショタの魔力開通とかいう二ッチすぎる謎概念はいったいどこから受信したんだよ……。
 俺はショタコンドラゴンにあきれながらも、自分の魔力量に恐れおののいていた。
 これほどの力、俺に扱いきれるのだろうか。
 そんな俺の不安な表情を察したのか、アイリは。

「大丈夫じゃよ。これからその制御を、我と学んでいこう」
「はい。よろしくお願いします」
「なんじゃ、畏まりおって」
「いや、一応魔法の師匠だからな。それに、修行するんだろ?」
「ああ、そうじゃな。ビシバシいくからの! ショタをしごけるまたとない機会じゃ!」
「結局それかよ……」

 この日から、アイリによるスパルタ魔法教室が始まった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。 そして夢をみた。 日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。 その顔を見て目が覚めた。 なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。 数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。 幼少期、最初はツラい状況が続きます。 作者都合のゆるふわご都合設定です。 日曜日以外、1日1話更新目指してます。 エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。 お楽しみ頂けたら幸いです。 *************** 2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます! 100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!! 2024年9月9日  お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます! 200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!! 2025年1月6日  お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております! ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします! 2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております! こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!! 2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?! なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!! こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。 どうしよう、欲が出て来た? …ショートショートとか書いてみようかな? 2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?! 欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい… 2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?! どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

処理中です...