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第40話とある10分休みの雑談
「この間、凄い探索者を見たの……」
授業のあとマッタリしていると、そんなセリフがどこからか聞こえて来た。
それはうちのクラスのトップグループの4人組で、その中の女の子が何やら思い悩んでいる様子だった。
「私……この間ダンジョンでランダムエンカウントに遭遇したの」
相談役は同じパーティの仲間らしい。
突然の仲間が遭遇した洒落にならない危機の話に、全員ずいぶん驚いていた。
「大丈夫だったのかそれ?」
「死ぬところだったわ。でも食べられる寸前、誰かが飛び出してきて、襲って来たモンスターを倒してくれたのよ」
「へー。それはなんというか……危なかったな。助けたのはどこのパーティだ? 後で礼を言いたいな」
「たぶんソロの探索者。相手はポイズンスパイダー。5階のモンスターよ」
「「「!」」」
それは彼らをして苦戦するモンスターだったようだ。
教室なので、盗み聞きしている生徒は多い。
やべーと言う空気が、なんとなく漂った。
「私は魔力切れだったんだけど、手も足も出なかった。そんなモンスターを一撃でバラバラにしていたの……ポーションまでもらったわ。お礼を言いたかったんだけど、そんな暇もなくて」
そう言ってポーションの空瓶を取り出すと、彼女の仲間達は首をかしげてウームと唸っていた。
「貴重なポーションをこうもポンとくれるという事は、だいぶんレベルの高い探索者だね」
「一撃で仕留めたんだろう? 攻撃力も並みじゃない」
「なんかドラマみたいでいいね! もっと覚えてる特徴無いの?」
パーティメンバーの別の女子が目を輝かせて聞くと、相談している女生徒は眉間にしわを寄せて答えた。
「頭が……燃えてたわ」
「「「モンスター?」」」
「……たぶん人間……だと思うんだけど」
まさかの人型モンスターの疑惑に、戸惑いの空気が漂った。
僕はちょっと吹き出しそうになってしまったが、カモフラージュが成功したことは喜ばしい。
「ほ、他には? そう……例えば武器とか! 使ってる武器がわかれば誰だったか特定出来るんじゃない?」
完全に好奇心に突き動かされている女生徒の言葉に何かを思い出した相談している女子は非常にマズイ情報を出してきた。
「……たぶんハンマーじゃないかと思う」
「ハンマー?……そんなの使ってる探索者なんて……」
トップグループの視線と野次馬の視線がチラッと僕を見るのを感じる。
とんだ飛び火である。勘弁してほしい。
僕は素知らぬ顔をしたが、背中はヒヤッと汗まみれになった。
ただ、すぐに好奇心旺盛な女子は鼻で笑ったのが見えた。
「……アレはないわね」
セーフ。これバレないわ。
野次馬の空気もまぁないわなって空気と、ちょっと気の毒って空気が混ざって漂っていた。
それでだいたいの生徒は僕に興味をなくしたみたいだった。
「……そうね」
相談していた女子が同意したことで、結局特定不能という結論になり、その場はお開きになったようだ。
おおう……面倒なのに目を付けられなくてよかったと思う一方で、物申したい自分がいるのが実に厄介である。
というようなことを放課後に話のネタすると、仲間内から爆笑されてしまった。
「あっはっはっ! それでモンスター疑惑は仕方ないわー。超燃えてるもんあれ!」
「いやー確かに初見では完全にモンスターでござるしなぁ」
「笑い事じゃないよー。心臓に悪い」
助けたことに後悔はないが、今更何かアプローチされたところで上手く対応出来る気がしなかった。
「名乗り出ちゃえばよかったのに、案外うまく行っちゃうかもよ?」
完全に面白がっている浦島先輩だが、僕は渋面を作って見せた。
「冗談は勘弁ですよ。ガチ勢に巻き込まれていいことあります?」
「まぁ……ないかなぁ? いやでも、今のワタヌキ後輩なら十分やってけるんじゃない?」
「ガチ勢のアタックは過酷と言うでござるからなぁ。ワタヌキ君には合わないかもでござるな」
「それな。あんなにピリついてたら、息が詰まるよ」
だいたいボクの強みは情報なのに、あの中に混じって主張出来る気がしない。
今、この同好会で自由にダンジョンアタック出来ているのは、僕の一見すると無謀な提案に仲間が乗ってくれているからという事を忘れてはならない。
まぁモンスター疑惑は、部室での雑談に役立ってくれたのは良かったけど、今後あのフォームは深層限定にしておこうかなって軽く決めておいた。
授業のあとマッタリしていると、そんなセリフがどこからか聞こえて来た。
それはうちのクラスのトップグループの4人組で、その中の女の子が何やら思い悩んでいる様子だった。
「私……この間ダンジョンでランダムエンカウントに遭遇したの」
相談役は同じパーティの仲間らしい。
突然の仲間が遭遇した洒落にならない危機の話に、全員ずいぶん驚いていた。
「大丈夫だったのかそれ?」
「死ぬところだったわ。でも食べられる寸前、誰かが飛び出してきて、襲って来たモンスターを倒してくれたのよ」
「へー。それはなんというか……危なかったな。助けたのはどこのパーティだ? 後で礼を言いたいな」
「たぶんソロの探索者。相手はポイズンスパイダー。5階のモンスターよ」
「「「!」」」
それは彼らをして苦戦するモンスターだったようだ。
教室なので、盗み聞きしている生徒は多い。
やべーと言う空気が、なんとなく漂った。
「私は魔力切れだったんだけど、手も足も出なかった。そんなモンスターを一撃でバラバラにしていたの……ポーションまでもらったわ。お礼を言いたかったんだけど、そんな暇もなくて」
そう言ってポーションの空瓶を取り出すと、彼女の仲間達は首をかしげてウームと唸っていた。
「貴重なポーションをこうもポンとくれるという事は、だいぶんレベルの高い探索者だね」
「一撃で仕留めたんだろう? 攻撃力も並みじゃない」
「なんかドラマみたいでいいね! もっと覚えてる特徴無いの?」
パーティメンバーの別の女子が目を輝かせて聞くと、相談している女生徒は眉間にしわを寄せて答えた。
「頭が……燃えてたわ」
「「「モンスター?」」」
「……たぶん人間……だと思うんだけど」
まさかの人型モンスターの疑惑に、戸惑いの空気が漂った。
僕はちょっと吹き出しそうになってしまったが、カモフラージュが成功したことは喜ばしい。
「ほ、他には? そう……例えば武器とか! 使ってる武器がわかれば誰だったか特定出来るんじゃない?」
完全に好奇心に突き動かされている女生徒の言葉に何かを思い出した相談している女子は非常にマズイ情報を出してきた。
「……たぶんハンマーじゃないかと思う」
「ハンマー?……そんなの使ってる探索者なんて……」
トップグループの視線と野次馬の視線がチラッと僕を見るのを感じる。
とんだ飛び火である。勘弁してほしい。
僕は素知らぬ顔をしたが、背中はヒヤッと汗まみれになった。
ただ、すぐに好奇心旺盛な女子は鼻で笑ったのが見えた。
「……アレはないわね」
セーフ。これバレないわ。
野次馬の空気もまぁないわなって空気と、ちょっと気の毒って空気が混ざって漂っていた。
それでだいたいの生徒は僕に興味をなくしたみたいだった。
「……そうね」
相談していた女子が同意したことで、結局特定不能という結論になり、その場はお開きになったようだ。
おおう……面倒なのに目を付けられなくてよかったと思う一方で、物申したい自分がいるのが実に厄介である。
というようなことを放課後に話のネタすると、仲間内から爆笑されてしまった。
「あっはっはっ! それでモンスター疑惑は仕方ないわー。超燃えてるもんあれ!」
「いやー確かに初見では完全にモンスターでござるしなぁ」
「笑い事じゃないよー。心臓に悪い」
助けたことに後悔はないが、今更何かアプローチされたところで上手く対応出来る気がしなかった。
「名乗り出ちゃえばよかったのに、案外うまく行っちゃうかもよ?」
完全に面白がっている浦島先輩だが、僕は渋面を作って見せた。
「冗談は勘弁ですよ。ガチ勢に巻き込まれていいことあります?」
「まぁ……ないかなぁ? いやでも、今のワタヌキ後輩なら十分やってけるんじゃない?」
「ガチ勢のアタックは過酷と言うでござるからなぁ。ワタヌキ君には合わないかもでござるな」
「それな。あんなにピリついてたら、息が詰まるよ」
だいたいボクの強みは情報なのに、あの中に混じって主張出来る気がしない。
今、この同好会で自由にダンジョンアタック出来ているのは、僕の一見すると無謀な提案に仲間が乗ってくれているからという事を忘れてはならない。
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