宇宙の果てで謎の種を拾いました

くずもち

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第38話普通のコロニーも十分変なところ

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 本日の作業場は、僕の職場跡地、研究船残骸である。

 白熊さんとフーさんも交えて、スペーススーツでやって来た僕らは改めてそれを眺めた。

 派手にねじれた宇宙船を見て、白熊さんは青ざめていた。

「うわぁ。なにこれ……船体のほとんどがなくなってるじゃないか。ひょっとしなくても一歩間違えばボクもこうなってた?」

「……幸運を喜ぼう」

「うへぇ……。でもすごいな。結構大きな船じゃないか。流石コロニーって感じだ」

「うん。実験も大規模だよね。私達のやつはもっとこじんまりしてたよ?」

 思い思いの感想を口にする白熊さんとフーさんだったが、そんないい物ではなかった。

「まぁねー。ワープに関しては、結果を見る限り結構無謀なことを考えてたのかも。それこそ失敗したら大事故じゃすまないレベルだから遠くでやったんだろうなぁ。いや遠くでやっても地球にまで影響が出てるんだから。笑えないね」

 未だに遭難者が出ているのだからとんでもない話である。

 空間の歪みとやらは収まっては来ているようなのだが、まだ事故の影響は大きい。

 磁場は乱れ通信途絶。

 シュウマツさんの話では異世界にも一時的に繋がった穴なんて時空が乱れて当然なんだとか、驚きの説明をされた。

 船が大破している以上、わかっていても救助は来ないだろうし。救助ではなく探索が目的ならこの宙域に人が来るのはもう少し先になるだろうと僕は考えていた。

 雑談しながら作業を進めていると、フーさんが突然こんなことを言い始めた。

「ねぇねぇ、実はニライカナイコロニーって、コロニーの新技術実験場だったりしない?」

 ただほとんど即答気味に僕はきっぱりとそれを否定した。

「違うよ。このニライカナイコロニーは、コロニーの中に疑似的にシュウマツさんの世界の環境を再現することを目指してるだけ」

 白熊さんは驚いてはいたが、すぐにそれはそうだと笑っていた。

「あ……うん、確かにここは異世界だ。ボクもそう思う」

 魔法に満ちたニライカナイコロニーは非常識だと一目瞭然だと思っていた僕だったが、しかしフーさんはそうかーと思っても見なかったことを言った。

「シュウマツさんの世界かー。私が知らないだけで、実はちょっとコロニーではこれが普通だったらどうしようって思っちゃった」

「いや、全然違うんだよ? 本当に勘違いしないでね?」

 当然納得すると思っていたが、フーさんと白熊さんは以外にも自信のない曖昧な声色だった。

「ふーん。でもコロニーってなんかこう……すごい進んでるイメージあるんだよね」

「あ、それはボクもそうかも。なんかすごい宇宙の資源を加工して、売りに来る人ってイメージ」

「あーまあ……そういうところはあるかもしれない」

 確かに、高度な技術力はコロニーの強みの一つだ。

 それでこんな非常識なスペースコロニーが普通と受け入れられかねない土壌になっているんだとしたら、それはある意味誇るべきことなのだろう。

 宇宙で発掘された資源を、加工して地球や月に輸出するのは大きな産業だ。

 コロニー自体かなり高度な技術の賜物なので、僕にすら技術に関して拘りはあった。

「魔法ほどすごくはないかもしれないけれど、色々と珍しい物はあるかもしれない。最近特にすごいのは……AI人種の開発かなぁ。アレでだいぶん生活が変わった」

「何それ?」

「聞いたことない」

 結構有名どころを上げたつもりだったが、二人の反応は芳しくない。

 慌てた僕は少しだけ情報を補足してみた。

「え? AI人種……知らない? すごく人間っぽいAIなんだ。僕らは地球人と月人に並ぶ新しい知性体って呼ぶこともあるんだけど……」

 僕の言葉に白熊さんとフーさんは思い当たったことがあったらしいのだが……少し困惑していた。

「あー……」

「アレはどうなの?」

「いやーまぁ僕らの中じゃ、正式な人類なんだけどね」

 冷静に考えると結構にツッコミどころが多い話ではあるのだが、実際コロニーではよく聞く呼び名だった。

「……まぁ呼び方はともかく、すごく高性能なAIだから。僕らをサポートして、すごく生活水準上がったんだよ。人種って言っても人型の方が少ないくらいだから会ってもわからないかもしれないけれどね」

 僕の乗って来たこの宇宙船にもいただろうけど、数が少なかったから残念ながら一つ残らず消えてしまった。

 一人でも残っていたら、もう少し何かが出来たんじゃないかと思うくらいには優秀な彼らだが、ここにいる限りはもう会うこともないかもしれないのは残念だ。

 仕方がないよねと地道な探索に励んでいると、その時シュウマツさんの声が僕らの頭に届いて、全員が顔を上げた。

「緊急事態だ。また時空振だよ。君らがいるところ辺りだから気を付けてくれ」

「ああ、うん。こっちでも確認した。視認できるね」

「そうか。うーむ……いよいよあの“穴”をどうにかしたいところだがなぁ」

「“穴”か……実験の結果だよね。どこかでワープするたびにここに繋がりやすくなってるなら厄介だ」

 グンニャリと空間の歪みが目で見える。

 普段は確認もできない現象だが、何かが跳んできたということはどこかでワープの実験が行われたのかもしれない。

 僕は念のため、全員に避難を促した。

「ちょっと大きいな。いったん退避しようか」

「ちょっと待って。……救難信号だ。私が回収するよ」

 フーさんがすぐに指示を飛ばして、現れた何かを回収し始める。

 これは大変だ。すぐに蘇生の準備をしないと。

 僕らは調査をいったん切り上げて救助活動を開始した。
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