宇宙の果てで謎の種を拾いました

くずもち

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第45話森のお家

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「見て! ここが森の家だよ!」

「おお……素敵なお家だ。まさしくそんな感じ」

 レンガで組まれた煙突付きの家は、どこか童話に出てきそうな外観だった。

 古風だがかわいらしさも備えていて、簡易的な家とは思えなかった。

「いいでしょ? こういう絵本見たことあるんだ!」

 周囲の最近生え始めたとは思えないほど立派な樹木も合わさって、森の中の小さなお家というのがピッタリくる。

 そこにバサバサと精霊の青い鳥君がやってきて、お手製と思われる止まり木に止まれば、完全にメルヘンの世界である。

「お帰りルリ」

 名前を呼ばれ鳥の精霊はバサリと翼を広げて返事をしていた。

「名前を付けてあげたんだね」

「うん。ルリだよ。かわいいでしょう? 私の探索を手伝ってくれてるんだ」

「へぇー。すごいなぁ」

「見たことない植物を見つけたら持って来てくれたり、教えてくれたりするんだよ。精霊ってとっても頭がいいみたい」

 それは確かにそう思う。

 見た目通りの頭の良さではないんだろうなと感じることは一緒に過ごしていれば僕にも多々あった。

「家具がベットとテーブルとイス。あとは机があるくらいなんだけど。ティータイムにはもってこいかな」

「ああ、いいね。森でティータイムなんて、すごく贅沢だ」

「でしょ? ああでも、襲ってくるやつもいるから一人で森に入る時は気を付けて」

「襲ってくるやつ? 猛獣でもいた?」

 肉キメラの悪夢再び?

 また僕の知らない間にシュウマツさんがなにか作ったのだろうか? そう思ったがどうやらそういうわけでもないらしい。

「そういうのはまだこの森にはいないけど……普通に植物が襲ってくるんだよね。出来ればアウターを着て来た方がいいよ。私も“アーネラ”は持って来るようにしてるし」

「なるほど……いまいちピンとこないけど」

 というかあまり理解したくない僕だったが、突然鳥君が耳を劈くような鳴き声を上げ、僕らは顔を上げた。

 クエー!

「え? ちょうど連れて来たって?」

「え?」

 何をと疑問に思う暇すらなかった。

 地面をメリメリ割って、根っこが林から飛び出してきたのは、この後すぐである。

 僕は普通に驚いたが、一方でフーさんは慣れた様子で好戦的に笑っていた。

「そう言えば。装甲なくっていいとこ思いついたよ!」

「え??」

「乗り降りが楽!」

「ハッチすらないからね!」

 そう言う意味では、これ以上乗り込みやすい機体はそうはない。

 ひょいと遠隔操作で飛んできた自分のアウターにフーさんは乗り込み、ホバリングしながら根の槍を避けてゆく。

 しかし彼女の動きは明らかに重力下の動きではない。

 ブースターの他にも何か別の力が働いているのは、修理した僕から見たら一目瞭然だった。

 その軽やかな動きに僕は感心したが、同時に思った。

 うん。あれは僕じゃ串刺しだわ。

 このコロニーもいつの間にかおっそろしいところになったものだった。

「伏せといて!」

 そう叫んだフーさんが両腕を突き出すのに合わせて、彼女の背中に羽根の模様が浮かび上がったのが見える。

 すると強力なつむじ風が巻き起こり、木の怪物を根っこごと引っこ抜いて空高く放り投げた。

「おー……」

「上に気を付けてね」

 ズズンと地面に落っこちて来た大木が転がって、ウネウネ動くがもう力はないらしい。

 注意深く観察しながら大木に近づいたフーさんと鳥の精霊はカメラを取り出して僕に手渡した。

「よし! 引き抜くと安全! 写真撮るよー」

「魔法うまくなったね……」

「でしょう! 頑張ったんだ! よく使うから、シール落ちない仕様に出来ないかな?」

「それこそ油性ペンでもできそうなことだし、魔法で出来ないことはないんじゃない?」

「だよね! 後で聞いてみようかな?」

 フーさんは魔法のシールが消えない方法を考え始めたが、僕はビチビチ動く生きのいい木が気になって仕方がなかった。

「それにしても、なんで倒してしまわないの?」

 割と楽勝に見えたが、フーさんにはこの危険な植物を仕留める気配が感じられない。

 するとフーさんはニッコリ笑って言った。

「翻訳使うと意思疎通できるから。言い聞かせて迷路になる森を作ろうと思って!」

「メルヘンだ……」

「いやぁ……うん。せっかくだから。そ、そうだ、これも持って行って!」 

 フーさんはごまかすように、家から持ってきた瓶を僕に差し出す。

 それは調味料を入れる小瓶で、沢山のハーブが入っているのが僕にも分かった。

「はい! 異世界のハーブだって! シュウマツさんに確認したから食べて大丈夫なやつ!」

「おお! ありがとう! これで一層カップ麺がおいしくなる……」

「台無しじゃない!?」

「そんなことはない。チョイ足しは不滅の文化だとも。チャーシューも作ったんだけどいる?」

「カップ麺のこととなると一切譲らないなぁ……まぁいいけど。後でもらいに行くね」

 それではカメラでパシャリと一枚。

 データは僕の端末にも送っておこう。

 しかし何という適応力と発想力。

 フーさんもシュウマツさんもこだわりがすごいけれど、森に近づいたらうっかり死にそうだなって僕は思った。
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