宇宙の果てで謎の種を拾いました

くずもち

文字の大きさ
61 / 108

第61話おいでませ!ニライカナイアンダーグラウンドへ!

しおりを挟む
「なにこれ?」

「ロボット?……いや、それにしては……僕も見たことない型だ」

 一見するとおもちゃのようにも見える彼らは、しかしこちらに反応して挨拶してきた。

 周囲を見ても誰もいないので、ひとまず僕はそのロボットへ話しかけてみた。

「オペ子さんが作ったんだよね? 君、オペ子さんどこにいるか知らない?」

「ムナーーーーーー!」

「うわ!」

 一声鳴いたロボットは、頭がいきなりボンと燃え始めた。

 頭の上でユラユラと揺らめく炎は青白く、ただの炎ではないようである。

 その炎はしかし、オペ子さんに譲渡されたものとあまりにも似通っていた。

「え? なに? どうした?」

「ムナー」

「ムナー」

「ムナー」

 そして次から次に飛び出してきたロボットは、どんどん増えていって僕らの前にずらりと並ぶ。

 彼らの頭は一斉にやっぱりボンと燃え出して、炎は一つに纏まって人の形に変化してゆく。

「あの炎は……」

「あれって……人? いや! アレは!」

「皆様……お待ちしておりました」

 炎の中に映し出された姿はとんでもなく巨大だったが、僕らはその姿をよく知っていた。

「オペ子じゃないか」

「オペ子さんダメだよ? 定期連絡には顔を出さないと」

「それは申し訳ない。ですが今回はあえて定期連絡はお休みさせていただきました。それにしても……反応が淡泊すぎでは?」

 だってオペ子さんだし。

 炎で出来た巨大オペ子さんにビックリはしたけれど、僕にはやはり一定の信頼があった。

 オペ子さんはどこか物足りなさそうだったが、まぁ良しと炎の体で頷いていた。

「ですが成功しました。狙い通りあなた方はここに現れた。せっかくの初お披露目をお楽しみください」

「初お披露目って……この場所の事だよね?」

「その通り―――」

 白熊さんがメタリックな都市を眺めて言うと、炎オペ子さんは不敵に笑い、歓迎するように丁寧に頭を下げた。

「ようこそ、ニライカナイアンダーグラウンドへ。ワタクシはあなた方を歓迎します」

「ニライカナイアンダーグラウンド?」

「はい。ここはコロニーの底。『ニライカナイアンダーグラウンド』。命と鋼の楽園です」

「「「ムナー!!!」」」

 パンパパンと、ロボットから上がる花火で暗い世界が照らされた。

「あ、ちなみに彼らは当園のスタッフ『キジムナー』君です」

「ムナー!」

 飛び跳ねるキジムナー君達に僕はつい挨拶していた。

「あ、よろしく」

「スタッフなんだこれ」

「はい。ワタクシが用意したボディに魂を少々詰めています。ボディが壊れると、契約満了なので、バカスカ壊してくださいね」

「壊すってアリなの? 仲よくじゃなくって?」

「大いにアリかと。キジムナー君はスタッフであり、この世界を守るガードマンでもある鋼の戦士達です。本日お招きしたのは、他でもありません。実はここでひと暴れしてもらおうかと思いまして」 

 しかしどうにも話の方向が物騒になってきて、僕は眉間に皺を寄せた。

「……なんで?」

 尋ねる僕にオペ子さんは炎で様々なモンスターを作って見せながら解説を始めた。

「はい。当園はアウター操作の基礎技能訓練を主な目的にしてはどうかと考えています。そのテストをお願いしたいのです。居住区が謎植物に覆われ、危険生命体が跋扈するようになって久しいです。自衛のための訓練と冥界の円滑な運営のため頑張ってください」

「それがニライカナイアンダーグラウンド?」

「その通りです。冥界というものはそこにあるだけで意味があるモノの様で、完成してしまえば特にやることがないのです。でもそれではやりがいがありませんのでなにか出来ないかなと。御覧の通り冥界のポテンシャルは、本来の役目以上のものだと自負しています。ご期待に添えるよう骨太なアトラクションを用意していますので、ぜひぜひ奮ってご参加ください」

 僕は戦闘要員じゃないからお断りできないモノだろうかと真剣に考えていたが、その前に僕には聞いておかなければならないことがあった。

「そう言えばフーさんを知らない? 彼女も食事会に来ていなかったんだけど?」

 だがその質問を待っていたかのように、オペ子さんはどこか邪悪に微笑んでいた。

「フー様には先立って、このニライカナイアンダーグラウンドのテストにご協力いただいています。……後はわかりますね?」

「……」

 後は分かりますねと言われても。

 しかし今一乗り切れない僕と違って、白熊さんの方は少々目の色が変わってきたようだった。

「へぇ……それは人質のつもり?」

「ご自由に解釈いただければ。それでは、フー様と会いたければ中央の城までお越しください。スタッフ一同心よりお待ちしております」

 説明を終えると、炎オペ子さんは霧散する。

 どうしてこんなことになったのか意味が分からないが、僕にもオペ子さんがなんとなくよからぬことを考えているのは、感じ取れた。

 白熊さんは槍と剣を構えて僕に尋ねた。

「……どこまで本気だと思う?」

「僕としては全部冗談だと思いたいけれど……」

 そう答えたが話し合う時間もなく、僕はキジムナー君達が目をチカチカと輝かせているのを見た。

「少なくともキジムナー君達は本気っぽいんだよなぁ」

 そして彼らが一斉に武器を構え始めたのを見て、僕は一歩後ずさりした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。 ※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。

処理中です...