宇宙の果てで謎の種を拾いました

くずもち

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第62話本質的な欲求を開放できる場所(極端)

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「イヤッホー!」

「うあああああ!」

「「「「「ムナー!」」」」」

 僕らは全力で逃げ、後をどこからともなく現れたとんでもない数のキジムナー達が、押し寄せてくる。

 僕は必死だったが、鮮やかに飛ぶ白熊さんはとても輝く笑顔だった。

 路面に着地し、ブースターで加速したが、追手の勢いは止まらない。

 一塊になり、数頼りで押し寄せるキジムナー君は危険極まりなく、聳え立っていたビルも構わず粉砕するロボと炎の津波だった。

「すっごいな! あれだけ小さくても数をそろえれば圧巻だ! でもこれ訓練になる? 何を想定してるんだろう?」

「そんなこと言ってる場合じゃないよね! どうすんのアレ!」

「とりあえず無視でいいでしょ! そういう趣旨なのは間違いないよ! だってあいつら退路を無くすように動いてる!」

「えぇ!」

 言われてみれば入口からどんどん遠ざかっている。

 そしてキジムナー達は僕らに進んでもらいたい道があるようだ。

 それで建物まで倒すのはどうかと思うが、狙いを感じさせないほどの物量攻撃は狙いがどうとか言っていられない恐ろしさがあった。

 少なくとも僕はそれどころではなかったし。

「目指すのは中心の城だったよね! せっかくだ! この悪ノリに乗ってみよう!」

 乗り込む気満々の白熊さんに正直僕は帰りたいと言いたいわけだが、予想外に協力を申し出たのはシュウマツさんである。

「ふむ……そういうことなら、もう一つ魔法を掛けておこうか?」

「いいね! やろう!」

「ムナー!」

 立ちふさがるキジムナー達は今度は妙な乗り物に乗って突っ込んで来た。

 ライオン、虎、ゴリラを模した乗り物にまたがったキジムナー達は一見すると可愛いが、乗り物のスピードと数はかわいくない。

 ファンシー暴走族な彼らは、道を遮る迷惑集団と化していた。

「ははっ! ずいぶん激しい子供の遊びだ! でも失格だね! 白熊がいない!」

「そういう問題!?」

「大問題だ! このコロニーの人類三分の一のニーズに応えていない!」

 白熊さんは迫りくるキジムナー達に槍を力任せに振り回した。

 軽々と大槍が振るわれ、容易くキジムナー君動物部隊は吹っ飛んで行くが―――しかし吹き飛んだ数は思ったよりも遥かに多かった。

 槍が当たっただけではこうはならない、生まれた衝撃の波は破壊力を伴っている。

 道を真っすぐまさしく開いた一撃に、当人の白熊さんすら驚いていた。

「お? すごいなこれ! シュウマツさんの仕業だよね?」

「無論」

 解説するのはもちろん魔法を掛けたシュウマツさんである。

「衝撃の魔法だ。君の有り余る力を飛ばせるようにしておいた。難しい手順はいらないよ。君はどう吹き飛ばしたいかイメージしておけばいい」

「シンプルでいいじゃないか!」

「ひゃああああ!」

 後はもう押し寄せるキジムナー達に衝撃波の嵐が襲いかかる一方的な展開である。

 僕は巻き込まれないように白熊さんの後を必死について行ったが、敵をなぎ倒し続ける白熊さんの進撃は苛烈を極めていた。

「シュウマツさん! なんで火に油を注ぐ様な真似を! っていうか白熊さんなんだかおかしくなってない? もうすでに狂戦士? さもなきゃ変な魔法掛けたでしょ!?」

「いいや。まだ狂戦士ではないね。これは彼女が生まれ持った性質というものだよ」

「そういうのは、解呪で消えたんじゃなかったっけ!」

「ふむ。解呪にだって消せないものはあるのさ。彼女の高い闘争本能は、長い歴史の中で彼女の形にたどり着くまでに育まれたものだろう。向き合うべき彼女の一側面だとも」

「……そんなもの?」

「そんなものさ。すべてを消し去ってしまうようなものをいい魔法とは呼ばないよ。事実楽しんでいるだろう? 私達も楽しもうじゃないか」

「……なんかシュウマツさんもおかしくなってない?」

「おかしいとも。遊びは羽目を外して楽しくやるものなのだろう? 今ここはそういう場所の様だ。いい仕事をしているよオペ子のくせに」

 珍しくシュウマツさんがオペ子さんを褒めていたが……なるほど。

 彼らは彼らなりにコミュニケーションをしっかりとって相互理解を深めているのは間違いなさそうだった。

「……シュウマツさんは、微妙にオペ子さんには仲の良さそうな毒を吐くよね」

「訂正しておこう。仲良くはないね」

 ああ、でも確かにこの空間の……いや、トラップのコンセプトは遊園地の様だ。

 さもなければ、巨大観覧車が真っすぐこちらに転がってきたりはしない。

「おお! なんだあれ! ねぇカノー! ここでなら銃器を使っても大丈夫なんじゃない? 後でオペ子に聞いてみようよ!」

「そうだね!」

 致命的に楽しませ方を間違えているとは思ったけれど、少なくともこの催しは白熊さんの中の何かを満足させることには成功しているようだった。
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