上 下
53 / 64
第一章 幼少期編

51.スキルレベル①

しおりを挟む
 ライムが母さんにトラウマを植え付けてから二か月程が経過した。
 気温もかなり上がってきており、日差しの下では中々過ごしにくい気候になってきた。

 ここテイルフィラー領にも四季が存在する。
 一年は三百六十日で、十二か月。
 そしてひと月三十日の計算らしい。
 一日の長さは二十四時間だ。

 なんでもダンジョンからカレンダーの様な魔道具や時計の魔道具も産出されるらしく、それを基に暦を刻んでいる様だ。
 ダンジョンから産出される魔道具、便利過ぎだろう。
 何故そのような物がダンジョンから産出されるのか、いつか調べてみたい。
 
 経験値説が証明され、ライムの新たな能力が発覚してから、俺たちは時折林に向かっては経験値稼ぎに勤しんでいる。
 ただ余り倒し過ぎると数が減り過ぎてしまうため、余り回数は重ねられていない。
 もっと深い場所まで行ければいいのだが、日帰りで行ける所となると、どうしても場所が限られてしまうのだ。

 魔物の発生にはいくつか方法がある。
 一つは自然繁殖。
 動物と同様で、繁殖によって数を増やす。

 二つ目はダンジョンから発せられる魔力による発生。
 ダンジョンという場所は、漂っている魔力がとても濃いらしく、その魔力が集まることで魔物が発生すると言われている。
 過去にダンジョンで滞在し続けた結果、魔物が発生する瞬間を発見した者たち何人もいるそうだ。

 ダンジョンで発生した魔物は、発生場所から離れることは少ない。
 というのも、魔力が薄い場所では身体を維持することが出来ないそうだ。
 またそのダンジョン産の魔物を倒すと、魔石だけを残して体は霧散してしまうらしい。
 ライム壱号達が魔力切れでゲル状スライムに変化してしまうのと、少し似ているかもしれない。

 しかしダンジョン産の魔物でも、時を経ると死後でも肉体を残すようになるらしい。
 その状態の魔物を成熟体と呼ぶようだが、成熟体になった魔物は、発生した場所を離れて生活出来るようになる。
 成熟体は、身体を維持するために魔力だけではなく食事を必要とする。
 そのため、食料を求めて周囲に這い出てくるようなのだ。

 能力の高い魔物程成熟体になるのに必要な魔力が多いため、時間をかなり要するらしい。
 そのため、能力の高い魔物が成熟体になることは少ないようだ。

 俺たちがいつも訓練をする林はダンジョンからもかなり離れており、また生息するのはほとんど自然繁殖している魔物ばかりだ。
 流石にダンジョンに入るのは勘弁願いたいが、もう少し奥に進めるようになりたいなぁ。

 そんなことを考えながら、俺は今日もステータス画面を眺める。
 すると――

「……あれ?」

 ステータスに変化が起こっていることに気がついた。



 アルフォンス=テイルフィラー
  言語理解2 ステータス2 契約魔法1

  主従契約者 
   ライム 消化吸収1 変身1 分裂1
  
  契約者 
   マリアンヌ=テイルフィラー     光魔法3
   フィリップ=テイルフィラー     魔力消費軽減3
   フォルコ              暗殺術3
   ミリー               暗視2
   ……
   ピア                調理2
   …… 
   リドリアーヌ=リスパーダ      光魔法3
   ヒルデガンド=リスパーダ=ブリオン 魔力付与2
   ジャックス             超回復2
   ソフィーネ             魔力視3
   マクセル=ガーディン        土魔法4
   ダリン=ダヴィンロード       風魔法2




「スキルに数字が付いてる……これ、もしかしてスキルのレベル……か?」

 いきなりの変化に動揺しつつも、俺はステータスの詳細を開いた。



 ステータス2
  己と契約対象のスキルについてより深く理解する
  スキルのレベルと己のスキル熟練度を表示
  効果は練度を高めることにより増大
  熟練度 1,001/10,000
 


「おぉー……内容が増えてる」

 やはりこの数字はスキルレベルの様だ。
 しかも、自分のスキルの熟練度まで表示されるようになっている。
 
「多分この熟練度に達したら、次のレベルに上がるんだろうけど……次は一万か……」

 十倍か……中々大変そうだ。
 俺は熟練度が増加するか確かめるため、一度ステータスを消し再度表示し直してみる。
 しかし、熟練度に変化は見られない。
 
「うーん、なんでだろう……」

 俺は試しにと、ライムを一体分裂させてから再度ステータスを開く。
 すると、ステータスにライム壱の記載が追加され、熟練度もひとつだけ上がっていた。

「なるほど、表示が変われば練度も追加されるのか」

 俺はそれからライムを分裂させるたびにステータスを開き、ライムが二十体になり分裂出来なくなったところでやめた。
 すると、やはり熟練度も二十上がっている様だ。

「ライムを元に戻してからステータスを見ても、練度は上がらない、か。千も熟練度が溜まっていることを考えると、多分一日ごとにリセットされるんだろうな」

 普段から気が付いた時にステータスは確認していたが、毎日欠かさず見ていたわけではない。
 生まれてから三年半。まぁ大体計算も合う気がする。

「他のスキルはどうだろう」




 言語理解2
  あらゆる言語を聞き取り、読み取ることで理解可能
  効果は練度を高めることにより増大
  熟練度 2,301/10,000




「あれ? レベルは上がってるけど、内容は変わっていない……スキルによって、効果が追加されないものもあるのか?」

 だとしたら、なんだか損をした気分になってしまう。
 言語理解のレベルが上がった感覚は無かったから、これはおそらく徐々に効果が上がるだけなのかもしれない。
 もっと熟練度を上げれば、ライムの言葉も理解出来る様になるのだろうか?
 それから契約魔法の方は――
 

 契約魔法1
  契約魔法の魔力消費を減らし効率よく行う
  理を理解することにより更に効果上昇
  契約書作成により、己以外の者同士も契約可能
  主従契約は己よりも下位の者に対してのみ発動可能
  主従契約数は練度を高めることにより増大
  効果は練度を高めることにより増大
  熟練度 703/1,000


 
 契約魔法の熟練度は七百ちょっと。
 次のレベルまではまだ少し足りないみたいだ。
 レベルが上がればきっと主従契約数は増えると思うのだが、他にも何か効果が増えたりするのだろうか?

「他の人のスキルはどうだろうーー」 



しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...