12 / 20
転居 ◯
しおりを挟む
「もしも、の話だけど」
朝食後、いつもなら今度は自分の食事だと言いつつベッドに引きずり込む彼から、唐突に仮定の話をされて戸惑う。
「何?」
「この国を離れることになっても大丈夫?」
不安そうに訊く彼に、ヴィクトワールは思わず笑いそうになった。
「今更すぎるわ。そもそも、この場所がどこかも知らないのに」
「そう言えば教えていなかったね」
迂闊だった、と気まずそうに言う彼に更に笑いが込み上げる。
「私に夢中で頭が回ってなかったのね」
勿論、そんな訳はないということは百も承知だ。単なる餌にそこまで夢中になる筈もない。ただ冗談が言いたかっただけ。
「そうだね、君に夢中だったから」
なのに真顔で肯定されてしまっては反応に困る。
「うわあ、顔が真っ赤。ホントに可愛いなあ、僕のヴィヴィは」
「うるさい」
きまりが悪くて憎まれ口を叩く。それでも笑って抱き上げる彼を前にして、ヴィクトワールにはなす術もない。
せいぜい目を逸らすだけだ。
「話を戻すけど、ここはあの森の中だよ」
抱き上げたまま伝える彼を思わず見つめる。
「実は大して移動してないんだ。人間には認識できない保護魔法をかけているから、君の知り合いに会うことはないけど」
恋しいかと暗に訊かれている気がした。微かに不安を滲ませているような声音に、思わず頬に口付けて微笑む。
「もう戻れなくても平気だって言ったでしょう? 会いたい人もいないわ」
これから先、彼と過ごす時間がどれ程に長いのかを何度も想像してはいる。だけど恐らくそれは正しくないのだろう。まだ十八歳の自分には考えもつかない程の長い時を、彼と生きていく。
ただの人間でしかない自分がそれに耐えられるのか、きっと彼は案じている。紋章を刻まれてから一月が経過したけれど、何を望むのかを前以上に探られているのは気のせいではない筈。
その心遣いが嬉しい。
単に食糧の状態を良好に保つだけではない、と思えるから。単なる思い込みなのかもしれないけれど。
「そっか。じゃあ、そろそろ移動したいんだ」
「なら行きましょう、私のことなら気にしないで」
安堵の色を隠そうともしない彼の頭を撫でてしまい、慌てて引っ込める。遥かに年上の相手にするようなことではない。
なのに「もっとして」と言われ、その微笑みの愛らしさに目が眩む。普通にしていたら本当に天使のようだ。
実態は数百年もの歳月を重ねた、容赦なく人を快楽で攻め立てる魔族なのに。
複雑な気分で頭を撫でるヴィクトワールの鼻先に口付けを落とし瞳を覗き込む彼は、何一つ見落とさないように慎重に問いかける。
「人間は生まれ育った土地には思い入れがあるものじゃないのかなって」
「そういう人は多いでしょうね、でも私は違うわ」
生まれ故郷を長く離れていたら、望郷の念に駆られることもあるだろう。でも数か月ほど森に引きこもっていただけのヴィクトワールには、そのようなものはない。この国を離れて何十年か経ったその時ならともかく。
それを聞き、あからさまに喜んだ顔をする彼。
「良かった。実はお気に入りの場所があるんだ。きっと君も気に入るよ」
だがそこは海を隔てた先の、別の大陸にある場所。だからこそアンブロワーズは躊躇した。慣れ親しんだ国とは全く違う場所で暮らすことを、ヴィクトワールは嫌がるのではないかと。
彼女にはなるべく快適に暮らしてもらいたい。でないと美味しくなくなるから。
でも最近は、それだけではないような気がする。
彼女の悲しそうな顔を見たくない。たとえ自分が満腹の時でも、ほんの少しでも塞ぎ込んだ様子を見ると、嫌だと思う。
何故なのか分からない。最近は自分でも理解できない何かに動かされることが多く、それを普通に受け入れている。
「ヴィヴィ、ねえ、」
そっと彼女を下ろし問いかけ、口を噤む。
「どうしたの?」
「……お腹、空いてない?」
「空いて、ないわよ」
もしも僕が変わってしまっても、一緒にいたいと思ってくれるのだろうか。
その質問を口に出せない。
仮定の話をしたところで、実際にそうなってみないと本当のところは分からないから。
それに、そんな自分を拒絶されたなら、取り返しのつかないことをしてしまいそうな気がする。
しっかりデザートまで平らげた直後にお腹が空いている筈もない。どう見ても様子のおかしいアンブロワーズを何とかしてやりたいと、ヴィクトワールは思った。
「……その、えっと、する?」
「…………え?」
だからと言って、これはないと恥ずかしくなった。彼が困惑して言葉を失っているのが、それに拍車をかける。
だけど自分たちには、それしかない。寝て食べて身体を繋げるだけ。
それでも彼の気分を引き立てる方法を艶事以外に思いつかないなんて。あまりの情けなさに身を翻して部屋を出ようとした瞬間、後ろから抱き寄せられた。
「僕たちって変なところで似てるよね。相手に差し出そうとするものが同じだなんて」
「全然違うじゃない」
「僕にとっては食事でしょ?」
君とのそれは、もう食事の枠を超えてしまっているけどね。
耳に囁きながら身体を撫でる手に身体を震わせ、確かにそうだとヴィクトワールは納得した。
「君から誘ってくれるなんて光栄だけど、それは後のお楽しみにとっておくよ」
彼女から誘われただけで不思議と満たされている。それと同時に、早く気に入った場所で彼女を堪能したくなった。
「今すぐに引っ越そうか?」
「良いわね」
それで彼の憂いが晴れるのかは分からない。でも環境を変えるのは良いきっかけになると思う。
何より、ヴィクトワール自身が早くこの国を出てしまいたい。今の彼女が望むことはそれだけだ。
アンブロワーズ程の魔力があれば、ここと移動先の住居間の転移はすぐに終わる。彼一人なら望めばいつでも行き来できた。
でも一瞬たりともヴィクトワールから離れ、別の大陸になど行きたくなかった。
「今の君なら、転移魔法にも耐えられるからね」
すっかり自分の魔力にも馴染んで、もはや眷属と言っても過言ではない。
本当はもっと早くても大丈夫だったとは思う。だが僅かながらでも不安要素があるうちは避けたかった。
ほんの少しでも、つらい思いをさせたくない。彼女にそれを言うと、閨事で虐めておきながら今更だと嗤われるだろうが。
「覚悟はいい?」
朝食後、いつもなら今度は自分の食事だと言いつつベッドに引きずり込む彼から、唐突に仮定の話をされて戸惑う。
「何?」
「この国を離れることになっても大丈夫?」
不安そうに訊く彼に、ヴィクトワールは思わず笑いそうになった。
「今更すぎるわ。そもそも、この場所がどこかも知らないのに」
「そう言えば教えていなかったね」
迂闊だった、と気まずそうに言う彼に更に笑いが込み上げる。
「私に夢中で頭が回ってなかったのね」
勿論、そんな訳はないということは百も承知だ。単なる餌にそこまで夢中になる筈もない。ただ冗談が言いたかっただけ。
「そうだね、君に夢中だったから」
なのに真顔で肯定されてしまっては反応に困る。
「うわあ、顔が真っ赤。ホントに可愛いなあ、僕のヴィヴィは」
「うるさい」
きまりが悪くて憎まれ口を叩く。それでも笑って抱き上げる彼を前にして、ヴィクトワールにはなす術もない。
せいぜい目を逸らすだけだ。
「話を戻すけど、ここはあの森の中だよ」
抱き上げたまま伝える彼を思わず見つめる。
「実は大して移動してないんだ。人間には認識できない保護魔法をかけているから、君の知り合いに会うことはないけど」
恋しいかと暗に訊かれている気がした。微かに不安を滲ませているような声音に、思わず頬に口付けて微笑む。
「もう戻れなくても平気だって言ったでしょう? 会いたい人もいないわ」
これから先、彼と過ごす時間がどれ程に長いのかを何度も想像してはいる。だけど恐らくそれは正しくないのだろう。まだ十八歳の自分には考えもつかない程の長い時を、彼と生きていく。
ただの人間でしかない自分がそれに耐えられるのか、きっと彼は案じている。紋章を刻まれてから一月が経過したけれど、何を望むのかを前以上に探られているのは気のせいではない筈。
その心遣いが嬉しい。
単に食糧の状態を良好に保つだけではない、と思えるから。単なる思い込みなのかもしれないけれど。
「そっか。じゃあ、そろそろ移動したいんだ」
「なら行きましょう、私のことなら気にしないで」
安堵の色を隠そうともしない彼の頭を撫でてしまい、慌てて引っ込める。遥かに年上の相手にするようなことではない。
なのに「もっとして」と言われ、その微笑みの愛らしさに目が眩む。普通にしていたら本当に天使のようだ。
実態は数百年もの歳月を重ねた、容赦なく人を快楽で攻め立てる魔族なのに。
複雑な気分で頭を撫でるヴィクトワールの鼻先に口付けを落とし瞳を覗き込む彼は、何一つ見落とさないように慎重に問いかける。
「人間は生まれ育った土地には思い入れがあるものじゃないのかなって」
「そういう人は多いでしょうね、でも私は違うわ」
生まれ故郷を長く離れていたら、望郷の念に駆られることもあるだろう。でも数か月ほど森に引きこもっていただけのヴィクトワールには、そのようなものはない。この国を離れて何十年か経ったその時ならともかく。
それを聞き、あからさまに喜んだ顔をする彼。
「良かった。実はお気に入りの場所があるんだ。きっと君も気に入るよ」
だがそこは海を隔てた先の、別の大陸にある場所。だからこそアンブロワーズは躊躇した。慣れ親しんだ国とは全く違う場所で暮らすことを、ヴィクトワールは嫌がるのではないかと。
彼女にはなるべく快適に暮らしてもらいたい。でないと美味しくなくなるから。
でも最近は、それだけではないような気がする。
彼女の悲しそうな顔を見たくない。たとえ自分が満腹の時でも、ほんの少しでも塞ぎ込んだ様子を見ると、嫌だと思う。
何故なのか分からない。最近は自分でも理解できない何かに動かされることが多く、それを普通に受け入れている。
「ヴィヴィ、ねえ、」
そっと彼女を下ろし問いかけ、口を噤む。
「どうしたの?」
「……お腹、空いてない?」
「空いて、ないわよ」
もしも僕が変わってしまっても、一緒にいたいと思ってくれるのだろうか。
その質問を口に出せない。
仮定の話をしたところで、実際にそうなってみないと本当のところは分からないから。
それに、そんな自分を拒絶されたなら、取り返しのつかないことをしてしまいそうな気がする。
しっかりデザートまで平らげた直後にお腹が空いている筈もない。どう見ても様子のおかしいアンブロワーズを何とかしてやりたいと、ヴィクトワールは思った。
「……その、えっと、する?」
「…………え?」
だからと言って、これはないと恥ずかしくなった。彼が困惑して言葉を失っているのが、それに拍車をかける。
だけど自分たちには、それしかない。寝て食べて身体を繋げるだけ。
それでも彼の気分を引き立てる方法を艶事以外に思いつかないなんて。あまりの情けなさに身を翻して部屋を出ようとした瞬間、後ろから抱き寄せられた。
「僕たちって変なところで似てるよね。相手に差し出そうとするものが同じだなんて」
「全然違うじゃない」
「僕にとっては食事でしょ?」
君とのそれは、もう食事の枠を超えてしまっているけどね。
耳に囁きながら身体を撫でる手に身体を震わせ、確かにそうだとヴィクトワールは納得した。
「君から誘ってくれるなんて光栄だけど、それは後のお楽しみにとっておくよ」
彼女から誘われただけで不思議と満たされている。それと同時に、早く気に入った場所で彼女を堪能したくなった。
「今すぐに引っ越そうか?」
「良いわね」
それで彼の憂いが晴れるのかは分からない。でも環境を変えるのは良いきっかけになると思う。
何より、ヴィクトワール自身が早くこの国を出てしまいたい。今の彼女が望むことはそれだけだ。
アンブロワーズ程の魔力があれば、ここと移動先の住居間の転移はすぐに終わる。彼一人なら望めばいつでも行き来できた。
でも一瞬たりともヴィクトワールから離れ、別の大陸になど行きたくなかった。
「今の君なら、転移魔法にも耐えられるからね」
すっかり自分の魔力にも馴染んで、もはや眷属と言っても過言ではない。
本当はもっと早くても大丈夫だったとは思う。だが僅かながらでも不安要素があるうちは避けたかった。
ほんの少しでも、つらい思いをさせたくない。彼女にそれを言うと、閨事で虐めておきながら今更だと嗤われるだろうが。
「覚悟はいい?」
5
あなたにおすすめの小説
男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました
春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。
名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。
誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。
ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、
あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。
「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」
「……もう限界だ」
私は知らなかった。
宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて――
ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
【完結】お父様(悪人顔・強面)似のウブな辺境伯令嬢は白い?結婚を望みます。
カヨワイさつき
恋愛
魔物討伐で功績を上げた男勝りの辺境伯の5女は、"子だねがない"とウワサがある王子と政略結婚結婚する事になってしまった。"3年間子ども出来なければ離縁出来る・白い結婚・夜の夫婦生活はダメ"と悪人顔で強面の父(愛妻家で子煩悩)と約束した。だが婚姻後、初夜で……。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件
水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」
結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。
出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。
愛を期待されないのなら、失望させることもない。
契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。
ただ「役に立ちたい」という一心だった。
――その瞬間。
冷酷騎士の情緒が崩壊した。
「君は、自分の価値を分かっていない」
開始一分で愛さない宣言は撤回。
無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。
以後、
寝室は強制統合
常時抱っこ移動
一秒ごとに更新される溺愛
妻を傷つける者には容赦なし宣言
甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。
さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――?
自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。
溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる