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魔王 ◯
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「覚悟はいい?」
そう問いかけておきながら、駄目だと言っても待たないのがアンブロワーズだ。ヴィクトワールも、彼自身も分かっている。
それを二人で笑いながらその場から消えた。
「到着」
「本当に一瞬なのね」
そっと下ろされたソファーの上から、ヴィクトワールは周りを見渡す。
横抱きにされたのは出会った時と先ほどだけ。いつもは縦抱きだったせいか、背中が心許ない気がして落ち着かなかった。
流石に落とされるとは思わなかったが、やはり慣れない体勢は戸惑う。すぐに下ろされて良かったと安心する。
「この家はどの部屋も気に入ってるから、色々な場所で楽しもうね」
「何を言って」
「だって、もう期待してるでしょ?」
そう言いながら身体を這い回る手を拒めない。少しずつ、確実に身体の熱が高められる。
「お盛んだねえ」
「きゃっ?!」
「遠慮してよ、トモカ」
情欲が漂うこの場の空気を吹き飛ばすような、からかいを含んだ声。それに戸惑うヴィクトワールとは違い、アンブロワーズは声の主をうんざりした顔で見やる。
「留守の間は私がここの管理をしてるんだから、こうなることは予測できたでしょ?
それも忘れるくらい、夢中になれる相手ができたみたいね」
良かったと微笑む彼女は、漆黒の髪に黒曜石の瞳を持つ女性だ。少し見慣れない顔立ちではあるが、綺麗な人だと思う。
年の頃は二十歳くらいに見える。アンブロワーズとは一体どういう関係なのだろうか。
「あ、心配しないで。私には愛するダーリンがいるから。アンちゃんは命の恩人なの」
「その呼び名、いい加減にやめてくれない?」
「えー? ピッタリだと思うよ。アンちゃん、そこらの女の子より可愛いし」
うんざりした顔で首を振る彼。それでも強く制止しない様子から、その呼び名を許しているのだろう。
これ程に気を許せる相手が彼にいたのかと思っていると、急に表れた男性が彼の頭を小突いた。
「惚れた女を不安にさせてんじゃねーぞ、兄貴」
「兄貴?」
「僕、お前の愛妻に余計なことをした覚えはないよ?」
二人の分かっていない様子を見て「マジかよ」と頭を抱える彼は、二十代の半ば程に見える。魔族は見た目で判断できないと、つくづく思い知らされた。
「あー、俺、ユーゴー。コイツの実弟だ。しかし、弟がいるってのも言ってないのか」
「ユーちゃんは私の旦那様なの! 素敵でしょ? あげないけどね」
腕に抱きつくトモカを優しく抱きしめるユーゴーの顔は幸せそうで、そんな二人を見て何故か胸が痛む。
「彼女はヴィクトワール。僕のだから、触れたらお前でも殺すよ」
笑顔で物騒なことを言うアンブロワーズに思わず顔が引きつるヴィクトワールは、先ほどの意味不明な痛みも忘れてしまった。
だが、そんな言葉をかけられたユーゴーもトモカも何故か嬉しそうだ。この二人はアンブロワーズ以上に理解できないような気がする。
気をとり直して彼らを見比べると、アンブロワーズとユーゴーは揃って銀の髪と赤い瞳の持ち主だ。
ユーゴーの方が大柄で精悍な顔立ちではあるものの、恐ろしい程に整っているのは兄と同じ。兄弟の立場を逆転させたら、素直に納得できる。
「残念ながら俺の強さは兄貴の足元にも及ばないけどな」
「それでも魔王として立派にお仕事してるんだから凄いよ」
「魔王?!」
冷酷無情、悪逆無道な人間の敵だと教えられていた相手。それがこんなにも普通の人に見える男性だとは。
「魔王って言っても、ただの雑用係みたいなモンだ」
本来、魔族は人族や精霊族に手出しをしないらしい。
強い魔力を有し、かつ精霊とは違う理で生きる複数の種族が、一纏めに魔族として暮らしている。そのせいか、小さな諍いは日常茶飯事。争いを好む性質の彼らが最も満たされるのが、魔族の生息地だ。
ただ、何事にも例外はある。
気まぐれに、あるいは魔族同士の争闘に敗れた腹いせに人間や精霊を害する者がいるようだ。当然ながら、人や精霊の報復を招くその行為は禁じられている。
決まりに背いた者に制裁を下す。魔王の仕事は殆どがそれだと言う。
それ以外だと力の弱い種族の保護。そして侵略を試みる人間を討伐する仕事もあるが、ごく僅からしい。
「あとは間違って入り込んだ人間の保護ね」
「トモは兄貴が先に見つけたから、俺は何もしてないが」
少し悔しそうに言うユーゴーは、自分が先に出会って保護したかったのだろう。彼女への溢れる愛情を隠そうともしない様子は微笑ましい。
どう見ても普通の愛妻家だ。
アンブロワーズとの生活でも感じていたことだが、魔族は邪悪な存在ではない。ヴィクトワールは自分の受けた教育が間違いだったのではないかと改めて思った。
「ふーん、流石だな」
「え?」
「自分が信じていた常識が間違いだったと認めるのは難しい。程度の差はあるが、世界がひっくり返るようなものだからな」
そういう性質だからこそ、兄貴も気に入ったんだろうと納得した様子の彼に、買いかぶり過ぎだとヴィクトワールは言いたくなった。自分はたまたま彼の好む食糧だっただけ。
そんな彼女を見て呆れたように溜め息をつくユーゴーに、余計なことを言うなと目で制したトモカがしみじみ呟く。
「私もこの世界に来た時は戸惑ったの」
事情を知らないヴィクトワールに彼女が教えてくれたのは、元いた世界の話。
魔法がない代わりに、科学というものを利用して高度な文明社会を築いていたらしい。
「最初はアニメもゲームもない世界で生きるなんて無理だって思ったの。でも、ここって、まんま二次元の世界みたいだから、妄想のネタに事欠かなかったのよね」
彼女の話す内容は理解できないけれど、悪い人ではないとヴィクトワールは思った。
「私のいた国では、お兄さんのことを『兄ちゃん』と呼ぶ人もいたのよ。そういう意味でも、アンちゃんって呼び名はピッタリだと思わない?」
彼女から見たらアンブロワーズは義兄だ。確かに言いえて妙だと思う。
「やめて。君にまで女の子みたいな呼び名が似合うなんて言われたくない」
トモカに同意しようとした瞬間、アンブロワーズが抗議する。
「二人とも、明日にでも会いに行くから今日は帰って」
「え? まだお会いしたばかり、んんっ」
問答無用で侵入する舌に翻弄されているうちに、客人たちは消えていた。
そう問いかけておきながら、駄目だと言っても待たないのがアンブロワーズだ。ヴィクトワールも、彼自身も分かっている。
それを二人で笑いながらその場から消えた。
「到着」
「本当に一瞬なのね」
そっと下ろされたソファーの上から、ヴィクトワールは周りを見渡す。
横抱きにされたのは出会った時と先ほどだけ。いつもは縦抱きだったせいか、背中が心許ない気がして落ち着かなかった。
流石に落とされるとは思わなかったが、やはり慣れない体勢は戸惑う。すぐに下ろされて良かったと安心する。
「この家はどの部屋も気に入ってるから、色々な場所で楽しもうね」
「何を言って」
「だって、もう期待してるでしょ?」
そう言いながら身体を這い回る手を拒めない。少しずつ、確実に身体の熱が高められる。
「お盛んだねえ」
「きゃっ?!」
「遠慮してよ、トモカ」
情欲が漂うこの場の空気を吹き飛ばすような、からかいを含んだ声。それに戸惑うヴィクトワールとは違い、アンブロワーズは声の主をうんざりした顔で見やる。
「留守の間は私がここの管理をしてるんだから、こうなることは予測できたでしょ?
それも忘れるくらい、夢中になれる相手ができたみたいね」
良かったと微笑む彼女は、漆黒の髪に黒曜石の瞳を持つ女性だ。少し見慣れない顔立ちではあるが、綺麗な人だと思う。
年の頃は二十歳くらいに見える。アンブロワーズとは一体どういう関係なのだろうか。
「あ、心配しないで。私には愛するダーリンがいるから。アンちゃんは命の恩人なの」
「その呼び名、いい加減にやめてくれない?」
「えー? ピッタリだと思うよ。アンちゃん、そこらの女の子より可愛いし」
うんざりした顔で首を振る彼。それでも強く制止しない様子から、その呼び名を許しているのだろう。
これ程に気を許せる相手が彼にいたのかと思っていると、急に表れた男性が彼の頭を小突いた。
「惚れた女を不安にさせてんじゃねーぞ、兄貴」
「兄貴?」
「僕、お前の愛妻に余計なことをした覚えはないよ?」
二人の分かっていない様子を見て「マジかよ」と頭を抱える彼は、二十代の半ば程に見える。魔族は見た目で判断できないと、つくづく思い知らされた。
「あー、俺、ユーゴー。コイツの実弟だ。しかし、弟がいるってのも言ってないのか」
「ユーちゃんは私の旦那様なの! 素敵でしょ? あげないけどね」
腕に抱きつくトモカを優しく抱きしめるユーゴーの顔は幸せそうで、そんな二人を見て何故か胸が痛む。
「彼女はヴィクトワール。僕のだから、触れたらお前でも殺すよ」
笑顔で物騒なことを言うアンブロワーズに思わず顔が引きつるヴィクトワールは、先ほどの意味不明な痛みも忘れてしまった。
だが、そんな言葉をかけられたユーゴーもトモカも何故か嬉しそうだ。この二人はアンブロワーズ以上に理解できないような気がする。
気をとり直して彼らを見比べると、アンブロワーズとユーゴーは揃って銀の髪と赤い瞳の持ち主だ。
ユーゴーの方が大柄で精悍な顔立ちではあるものの、恐ろしい程に整っているのは兄と同じ。兄弟の立場を逆転させたら、素直に納得できる。
「残念ながら俺の強さは兄貴の足元にも及ばないけどな」
「それでも魔王として立派にお仕事してるんだから凄いよ」
「魔王?!」
冷酷無情、悪逆無道な人間の敵だと教えられていた相手。それがこんなにも普通の人に見える男性だとは。
「魔王って言っても、ただの雑用係みたいなモンだ」
本来、魔族は人族や精霊族に手出しをしないらしい。
強い魔力を有し、かつ精霊とは違う理で生きる複数の種族が、一纏めに魔族として暮らしている。そのせいか、小さな諍いは日常茶飯事。争いを好む性質の彼らが最も満たされるのが、魔族の生息地だ。
ただ、何事にも例外はある。
気まぐれに、あるいは魔族同士の争闘に敗れた腹いせに人間や精霊を害する者がいるようだ。当然ながら、人や精霊の報復を招くその行為は禁じられている。
決まりに背いた者に制裁を下す。魔王の仕事は殆どがそれだと言う。
それ以外だと力の弱い種族の保護。そして侵略を試みる人間を討伐する仕事もあるが、ごく僅からしい。
「あとは間違って入り込んだ人間の保護ね」
「トモは兄貴が先に見つけたから、俺は何もしてないが」
少し悔しそうに言うユーゴーは、自分が先に出会って保護したかったのだろう。彼女への溢れる愛情を隠そうともしない様子は微笑ましい。
どう見ても普通の愛妻家だ。
アンブロワーズとの生活でも感じていたことだが、魔族は邪悪な存在ではない。ヴィクトワールは自分の受けた教育が間違いだったのではないかと改めて思った。
「ふーん、流石だな」
「え?」
「自分が信じていた常識が間違いだったと認めるのは難しい。程度の差はあるが、世界がひっくり返るようなものだからな」
そういう性質だからこそ、兄貴も気に入ったんだろうと納得した様子の彼に、買いかぶり過ぎだとヴィクトワールは言いたくなった。自分はたまたま彼の好む食糧だっただけ。
そんな彼女を見て呆れたように溜め息をつくユーゴーに、余計なことを言うなと目で制したトモカがしみじみ呟く。
「私もこの世界に来た時は戸惑ったの」
事情を知らないヴィクトワールに彼女が教えてくれたのは、元いた世界の話。
魔法がない代わりに、科学というものを利用して高度な文明社会を築いていたらしい。
「最初はアニメもゲームもない世界で生きるなんて無理だって思ったの。でも、ここって、まんま二次元の世界みたいだから、妄想のネタに事欠かなかったのよね」
彼女の話す内容は理解できないけれど、悪い人ではないとヴィクトワールは思った。
「私のいた国では、お兄さんのことを『兄ちゃん』と呼ぶ人もいたのよ。そういう意味でも、アンちゃんって呼び名はピッタリだと思わない?」
彼女から見たらアンブロワーズは義兄だ。確かに言いえて妙だと思う。
「やめて。君にまで女の子みたいな呼び名が似合うなんて言われたくない」
トモカに同意しようとした瞬間、アンブロワーズが抗議する。
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