15 / 20
気付き ◯
しおりを挟む
「いらっしゃい! ゆっくりしていってね」
「ゆっくりする気はないよ」
「お招きいただきありがたく存じますわ」
約束通り弟夫妻の元に来たのだが、予想とは違うその様相にヴィクトワールは戸惑っている。
陽光を反射する白亜の城。
明るく美しい外観は、何となく思い描いていた魔王の居城のイメージを覆すものだ。山の上にあるから少しばかり気温は低い筈なのだが、色とりどりの花が咲き乱れる様はそれを感じさせない。
「驚いた? 凄く綺麗でしょ」
「ええ、本当に」
でも美しい兄弟が育った場所としては違和感はない。と考えて、この城はそこまで古いのだろうかと疑問を覚えた。
「この城は、いつから?」
「僕はここで生まれ育ったよ」
ヴィクトワールの疑問を的確に読みとってくれたアンブロワーズの返答に驚かされる。あまりにも保存状態が良い。
「まだ新しく見えるのに」
「そんなのは魔法で何とでもなるよね」
ごく微弱な魔力しか持たず、契約に利用するのが関の山な人間には無理な話だ。
案内された庭園は肌寒さを全く感じない気温で、ここも何らかの魔法で管理されているのが分かる。
「お茶もお菓子も凄く美味しいのよ。ここで作られるものは、食が充実していた国から来た私でも満足できるものなの」
「普通の食事、あるんですね」
一緒に暮らしている間、アンブロワーズがヴィクトワール以外の食事をとるのを見たことがない。
「食べなくても生きていけるけど、アンちゃん以外の人たちは普通に食べるのよ」
美味しいものを食べるのも楽しみの一つだから。そう言われて、アンブロワーズは自分との営み以外にも興味を持つべきではないかと考える。
「僕は君だけで満足だから」
見透かすように言われ、腰を撫でられ肩が跳ねた。抗議しようとしたらすぐに悪戯をやめてくれたが、油断も隙もない。
「よく来てくれたな」
お茶を飲んでしばらくするとユーゴーがやって来て、当然のように智香を抱きしめ口付けを落とす。少し驚かされたが、これが魔族の普通なら、昨日のアンブロワーズの振る舞いも納得できる。
「私が生まれ育った国でも、人前でこんなことをする人は少ないから、最初は嫌がったのよ」
笑いながら智香が言うには、魔族は心から愛する者しか伴侶にしない。そして、そういう相手と共にいると触れ合いたいという気持ちを抑えるのは難しく、人前だろうと口付けるのは至って普通のことだとか。
でも自分は餌だから、単に彼が空腹だっただけ。同じように見えて全然違う。そう思い顔を曇らせるヴィクトワールを見て、少し困った表情を浮かべた智香が気分を変えるように話しかけた。
「ヴィクトワールちゃん、って長いなぁ。ヴィーちゃんって呼んで良い?」
「えっ?」
「嫌?」
「そんなことは」
少し眉尻を下げて訊かれると罪悪感が込み上げる。血の繋がりはない筈なのに、アンブロワーズに通じるものを感じるのは何故だろう。
「アンタ、悲しそうな顔をされたら嫌と言えないんだろう?」
ユーゴーに言われ驚く。意識していなかったが、思い返すと確かにそうだ。
「人の懐に入り込むのが上手いヤツらは、そこを突くんだ。気にしないで嫌なことは嫌だと言えよ」
「ちょっとユーちゃん、余計なこと言わないでよ」
「全くだよ」
揃って嫌そうな顔をする二人は、やはりどこか似ている。
「俺たちが結婚して百年以上になるからな。この二人、人の弱みを突くのが上手いところが元から似てたけど、それが悪化したんだよ」
「悪化って、酷い!」
「百年、以上?」
どう見ても若い女性にしか見えない智香は、やはり夫と同じ時を刻んでいるのだろうか。
「私たちが同じ時を生きられるように、アンちゃんが新しい魔法を考えてくれたの」
元から人間以外の種族が相手の場合は、婚姻したら寿命が長い方に合わせて身体が変わっていたらしい。だが魔力が皆無に近い人間だけはどうしようもなかった。
弟夫妻が共に過ごせる時間のあまりの短さを不憫に思ったアンブロワーズが試行錯誤の末に編み出したのが、例の紋章らしい。
「今は僕も利用しているから、結局は自分のためになったけどね」
そう言いながらヴィクトワールを見つめる瞳に宿る熱を見て、二人揃って何故これに気付かないのかと呆れて顔を見合わせる夫妻。
このままでも時間が解決するとは思うが、ヴィクトワールの憂いに満ちた表情を見ていると放っておけない。自分たちの子供より若い彼女に、いわば孫を見守るような目線になる智香は、何とかしようと考えた。
「ねえ、ヴィーちゃん。せっかくだから女同士、二人きりでお話しない?」
「え?」
「ちょっと、何勝手に」
戸惑うヴィクトワールと、あからさまに難色を示すアンブロワーズ。予想通りの反応を見せる二人に笑いながら智香は言葉を重ねる。
「良いじゃない、私なら変なコトする心配もないでしょ?」
「いいや、トモカは綺麗で可愛い女の子に目がないから信用できない」
そう言いながらヴィクトワールを抱き上げ、膝に乗せて腕で囲い込む様子は嫉妬深いどころではない。
「兄貴、俺の妻は不貞を働くような女じゃない。相手の性別に関わらず、な」
「そうよ。可愛い子を絵に描いたり着飾らせたりして愛でるのは好きだけど、別に欲情するワケじゃないから」
「よく……!」
明け透けな言い方に赤くなるヴィクトワールを見て可愛いと喜ぶ智香と、ますます警戒して見るなと牽制するアンブロワーズ。
それを見て馬鹿らしくなったユーゴーが突っ込む。
「兄貴、好きな女が心配なのは分かるが、この先ずっと閉じこめておくワケにもいかないだろう」
「好きな……女?」
「まだ気付かないとか、大丈夫か? 今の兄貴、どう見ても番を抱え込む雄だぞ」
言われて腕の中のヴィクトワールに目をやった。
ユーゴーの言葉に違う、私は餌だからと反論する彼女に言いようのない不快感が募る。苛立ち、悲しみ、虚しさなどが綯い交ぜになった、抱えるには嬉しくない感情。
昨日感じたものと同種のそれを自覚し、弟の言葉を素直に受け入れる。
「年をとると頑固になるって、本当なんだね。思い込みがなかなか抜けないや」
考えるまでもない。彼女と出会ってからの半年近くを振り返り、少し客観的にみれば明らかだった。
「そっか。僕、もうずっと君のことが好きだったんだ」
「ゆっくりする気はないよ」
「お招きいただきありがたく存じますわ」
約束通り弟夫妻の元に来たのだが、予想とは違うその様相にヴィクトワールは戸惑っている。
陽光を反射する白亜の城。
明るく美しい外観は、何となく思い描いていた魔王の居城のイメージを覆すものだ。山の上にあるから少しばかり気温は低い筈なのだが、色とりどりの花が咲き乱れる様はそれを感じさせない。
「驚いた? 凄く綺麗でしょ」
「ええ、本当に」
でも美しい兄弟が育った場所としては違和感はない。と考えて、この城はそこまで古いのだろうかと疑問を覚えた。
「この城は、いつから?」
「僕はここで生まれ育ったよ」
ヴィクトワールの疑問を的確に読みとってくれたアンブロワーズの返答に驚かされる。あまりにも保存状態が良い。
「まだ新しく見えるのに」
「そんなのは魔法で何とでもなるよね」
ごく微弱な魔力しか持たず、契約に利用するのが関の山な人間には無理な話だ。
案内された庭園は肌寒さを全く感じない気温で、ここも何らかの魔法で管理されているのが分かる。
「お茶もお菓子も凄く美味しいのよ。ここで作られるものは、食が充実していた国から来た私でも満足できるものなの」
「普通の食事、あるんですね」
一緒に暮らしている間、アンブロワーズがヴィクトワール以外の食事をとるのを見たことがない。
「食べなくても生きていけるけど、アンちゃん以外の人たちは普通に食べるのよ」
美味しいものを食べるのも楽しみの一つだから。そう言われて、アンブロワーズは自分との営み以外にも興味を持つべきではないかと考える。
「僕は君だけで満足だから」
見透かすように言われ、腰を撫でられ肩が跳ねた。抗議しようとしたらすぐに悪戯をやめてくれたが、油断も隙もない。
「よく来てくれたな」
お茶を飲んでしばらくするとユーゴーがやって来て、当然のように智香を抱きしめ口付けを落とす。少し驚かされたが、これが魔族の普通なら、昨日のアンブロワーズの振る舞いも納得できる。
「私が生まれ育った国でも、人前でこんなことをする人は少ないから、最初は嫌がったのよ」
笑いながら智香が言うには、魔族は心から愛する者しか伴侶にしない。そして、そういう相手と共にいると触れ合いたいという気持ちを抑えるのは難しく、人前だろうと口付けるのは至って普通のことだとか。
でも自分は餌だから、単に彼が空腹だっただけ。同じように見えて全然違う。そう思い顔を曇らせるヴィクトワールを見て、少し困った表情を浮かべた智香が気分を変えるように話しかけた。
「ヴィクトワールちゃん、って長いなぁ。ヴィーちゃんって呼んで良い?」
「えっ?」
「嫌?」
「そんなことは」
少し眉尻を下げて訊かれると罪悪感が込み上げる。血の繋がりはない筈なのに、アンブロワーズに通じるものを感じるのは何故だろう。
「アンタ、悲しそうな顔をされたら嫌と言えないんだろう?」
ユーゴーに言われ驚く。意識していなかったが、思い返すと確かにそうだ。
「人の懐に入り込むのが上手いヤツらは、そこを突くんだ。気にしないで嫌なことは嫌だと言えよ」
「ちょっとユーちゃん、余計なこと言わないでよ」
「全くだよ」
揃って嫌そうな顔をする二人は、やはりどこか似ている。
「俺たちが結婚して百年以上になるからな。この二人、人の弱みを突くのが上手いところが元から似てたけど、それが悪化したんだよ」
「悪化って、酷い!」
「百年、以上?」
どう見ても若い女性にしか見えない智香は、やはり夫と同じ時を刻んでいるのだろうか。
「私たちが同じ時を生きられるように、アンちゃんが新しい魔法を考えてくれたの」
元から人間以外の種族が相手の場合は、婚姻したら寿命が長い方に合わせて身体が変わっていたらしい。だが魔力が皆無に近い人間だけはどうしようもなかった。
弟夫妻が共に過ごせる時間のあまりの短さを不憫に思ったアンブロワーズが試行錯誤の末に編み出したのが、例の紋章らしい。
「今は僕も利用しているから、結局は自分のためになったけどね」
そう言いながらヴィクトワールを見つめる瞳に宿る熱を見て、二人揃って何故これに気付かないのかと呆れて顔を見合わせる夫妻。
このままでも時間が解決するとは思うが、ヴィクトワールの憂いに満ちた表情を見ていると放っておけない。自分たちの子供より若い彼女に、いわば孫を見守るような目線になる智香は、何とかしようと考えた。
「ねえ、ヴィーちゃん。せっかくだから女同士、二人きりでお話しない?」
「え?」
「ちょっと、何勝手に」
戸惑うヴィクトワールと、あからさまに難色を示すアンブロワーズ。予想通りの反応を見せる二人に笑いながら智香は言葉を重ねる。
「良いじゃない、私なら変なコトする心配もないでしょ?」
「いいや、トモカは綺麗で可愛い女の子に目がないから信用できない」
そう言いながらヴィクトワールを抱き上げ、膝に乗せて腕で囲い込む様子は嫉妬深いどころではない。
「兄貴、俺の妻は不貞を働くような女じゃない。相手の性別に関わらず、な」
「そうよ。可愛い子を絵に描いたり着飾らせたりして愛でるのは好きだけど、別に欲情するワケじゃないから」
「よく……!」
明け透けな言い方に赤くなるヴィクトワールを見て可愛いと喜ぶ智香と、ますます警戒して見るなと牽制するアンブロワーズ。
それを見て馬鹿らしくなったユーゴーが突っ込む。
「兄貴、好きな女が心配なのは分かるが、この先ずっと閉じこめておくワケにもいかないだろう」
「好きな……女?」
「まだ気付かないとか、大丈夫か? 今の兄貴、どう見ても番を抱え込む雄だぞ」
言われて腕の中のヴィクトワールに目をやった。
ユーゴーの言葉に違う、私は餌だからと反論する彼女に言いようのない不快感が募る。苛立ち、悲しみ、虚しさなどが綯い交ぜになった、抱えるには嬉しくない感情。
昨日感じたものと同種のそれを自覚し、弟の言葉を素直に受け入れる。
「年をとると頑固になるって、本当なんだね。思い込みがなかなか抜けないや」
考えるまでもない。彼女と出会ってからの半年近くを振り返り、少し客観的にみれば明らかだった。
「そっか。僕、もうずっと君のことが好きだったんだ」
1
あなたにおすすめの小説
身代わりにと差し出された悪役令嬢は上主である、公爵様に可愛がられて~私は貴方のモノにはなれません~
一ノ瀬 彩音
恋愛
フィルドール子爵家に生まれた私事ミラ・フィルドールには、憧れの存在で、ずっとお慕い申していた、片思いのお相手がいるのです。
そのお方の名前は、公爵・ル・フォード・レリオ様、通称『レリオ公爵様』と人気の名高い彼はその若さで20と言う若さで、お父上の後を継ぎ公爵と成ったのですが、中々に冷たいお方で、営業スマイルを絶やさぬ表の顔と、常日頃から、社交辞令では分からない、裏の顔が存在されていて、そんな中、私は初めて出たお披露目の舞踏会で、なんと、レリオ公爵様とダンスをするという大役に抜擢されて、ダンスがうまくできればご褒美を下さると言うのだけれど?
私、一体どうなってしまうの?!
燻らせた想いは口付けで蕩かして~睦言は蜜毒のように甘く~
二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
北西の国オルデランタの王妃アリーズは、国王ローデンヴェイクに愛されたいがために、本心を隠して日々を過ごしていた。 しかしある晩、情事の最中「猫かぶりはいい加減にしろ」と彼に言われてしまう。
夫に嫌われたくないが、自分に自信が持てないため涙するアリーズ。だがローデンヴェイクもまた、言いたいことを上手く伝えられないもどかしさを密かに抱えていた。
気持ちを伝え合った二人は、本音しか口にしない、隠し立てをしないという約束を交わし、身体を重ねるが……?
「こんな本性どこに隠してたんだか」
「構って欲しい人だったなんて、思いませんでしたわ」
さてさて、互いの本性を知った夫婦の行く末やいかに。
+ムーンライトノベルズにも掲載しております。
【完結】夢見たものは…
伽羅
恋愛
公爵令嬢であるリリアーナは王太子アロイスが好きだったが、彼は恋愛関係にあった伯爵令嬢ルイーズを選んだ。
アロイスを諦めきれないまま、家の為に何処かに嫁がされるのを覚悟していたが、何故か父親はそれをしなかった。
そんな父親を訝しく思っていたが、アロイスの結婚から三年後、父親がある行動に出た。
「みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る」で出てきたガヴェニャック王国の国王の側妃リリアーナの話を掘り下げてみました。
ハッピーエンドではありません。
愛さないと言うけれど、婚家の跡継ぎは産みます
基本二度寝
恋愛
「君と結婚はするよ。愛することは無理だけどね」
婚約者はミレーユに恋人の存在を告げた。
愛する女は彼女だけとのことらしい。
相手から、侯爵家から望まれた婚約だった。
真面目で誠実な侯爵当主が、息子の嫁にミレーユを是非にと望んだ。
だから、娘を溺愛する父も認めた婚約だった。
「父も知っている。寧ろ好きにしろって言われたからね。でも、ミレーユとの婚姻だけは好きにはできなかった。どうせなら愛する女を妻に持ちたかったのに」
彼はミレーユを愛していない。愛する気もない。
しかし、結婚はするという。
結婚さえすれば、これまで通り好きに生きていいと言われているらしい。
あの侯爵がこんなに息子に甘かったなんて。
「無能な妻」と蔑まれた令嬢は、離婚後に隣国の王子に溺愛されました。
腐ったバナナ
恋愛
公爵令嬢アリアンナは、魔力を持たないという理由で、夫である侯爵エドガーから無能な妻と蔑まれる日々を送っていた。
魔力至上主義の貴族社会で価値を見いだされないことに絶望したアリアンナは、ついに離婚を決断。
多額の慰謝料と引き換えに、無能な妻という足枷を捨て、自由な平民として辺境へと旅立つ。
お飾り王妃だって幸せを望んでも構わないでしょう?
基本二度寝
恋愛
王太子だったベアディスは結婚し即位した。
彼の妻となった王妃サリーシアは今日もため息を吐いている。
仕事は有能でも、ベアディスとサリーシアは性格が合わないのだ。
王は今日も愛妾のもとへ通う。
妃はそれは構わないと思っている。
元々学園時代に、今の愛妾である男爵令嬢リリネーゼと結ばれたいがために王はサリーシアに婚約破棄を突きつけた。
しかし、実際サリーシアが居なくなれば教育もままなっていないリリネーゼが彼女同様の公務が行えるはずもなく。
廃嫡を回避するために、ベアディスは恥知らずにもサリーシアにお飾り妃となれと命じた。
王家の臣下にしかなかった公爵家がそれを拒むこともできず、サリーシアはお飾り王妃となった。
しかし、彼女は自身が幸せになる事を諦めたわけではない。
虎視眈々と、離縁を計画していたのであった。
※初っ端から乳弄られてます
真面目な王子様と私の話
谷絵 ちぐり
恋愛
婚約者として王子と顔合わせをした時に自分が小説の世界に転生したと気づいたエレーナ。
小説の中での自分の役どころは、婚約解消されてしまう台詞がたった一言の令嬢だった。
真面目で堅物と評される王子に小説通り婚約解消されることを信じて可もなく不可もなくな関係をエレーナは築こうとするが…。
※Rシーンはあっさりです。
※別サイトにも掲載しています。
離宮に隠されるお妃様
agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか?
侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。
「何故呼ばれたか・・・わかるな?」
「何故・・・理由は存じませんが」
「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」
ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。
『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』
愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる