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絆
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「ちょ、ちょ、待ってくれ! アンタは一体誰なんだ?」
俺の言葉に返してくれる者はいなかった。
俺は周りを見渡したが人影は見えない。視界に映るのは村と鍛錬所を繋ぐ一本道とその横に広がる草原、そして石像だけだった。どうやら本当に石像が喋ってたらしい。
石像を触ってみるが柔らかいはずもなく、普通に硬かった。
一体どんな原理で口や首、頬が動いてたんだろうか?
非現実的なことが起こり、俺の頭はイマイチ理解できていない。
しかし、ひとつだけ分かったことがある。
それは俺の中に新たな感覚、さっきの石像が言うには『魔力回路』が俺の中にあると言うことだけだ。
「というか、『魔力回路』ってなんなんだ? そんなの俺聞いたことないんだが? アイツは一体何者なんだ?」
俺は王都で行われる入学式のため、一生懸命勉強した。実技試験については敢えて言わないが、筆記試験だけならザックとセレーネに勝てる自信がつくくらいには勉強した。
村に帰ってから一度聞いてみるか。俺が忘れてるだけかもしれないしな。
そうして俺は今度こそ村に帰っていった。
村に戻るとすぐに、ザックとセレーネを見つけた。
何やら2人は大きな声で言い争っていた。
俺も混ぜてもらうか。
「2人とも、戻ってきたぞ!」
俺の声に反応して2人はこちらをみるや否や同時に話しかけてきた。
「なあ、ノルン! どう思う?」
「ノルン! どう思ってるの?」
2人はいつも言い争いをしていて、仲がいいのか悪いのかさっぱり分からない。意見が合う時は仲が良いのだが……。
そして、目先のことに囚われて遠くの事柄が何も見えていない。
今回もそうだ。
「2人とも、まず何について話してるのか言ってくれない?」
それを聞いた2人は、少し落ち着きを取り戻し、ザックが2人を代表して俺に言った。
「そんなの、王都で受ける入学試験についてじゃないか~」
「いや、そんな当たり前のことのように言われても、俺分かんないよ」
「そ、そうか。それは悪かったな。で、どう思う? 入学試験、簡単か、それとも難しいか」
え?まさかそんなことで2人は争っていたのか?まあ、それもいつものことか。
「そ、そうだね。俺は簡単とか難しいとかじゃなくて、今自分にできる事を精一杯出し切る。それが答え、かな?」
それを聞いた2人は顔の前で指を組み、目をキラキラと輝かせていた。
「ノルン! お前っ、なんかカッコいいなっ!」
「ノルン! カッコいいね!」
やっぱり2人は仲が良さそうだ。
でも2人の前で言ってしまうとまた言い争いになってしまいそうだったので俺は心の中に留めておくことにした。
「ああ、ありがとう」
なんだか丸く収まって良かった。
あ、そうだひとつ聞いておきたかった事があったんだ。
「なあ、『魔力回路』って知ってる?」
それを聞いた2人は首を傾げた。
どうやらそんな言葉は知らないらしい。でもあの石像は言っていた。謎が深まるばかりだ。
「分からないなら良いよ」
俺はそう言って家へ帰っていった。
時は流れ、夕食の時間になった。
今日は明日俺たち3人が王都に入学試験を受けに行くという事で村の人達が宴を開いてくれた。本当に優しい人達だ。
俺たち3人は仲良く集まって村の人達が作ってくれた料理を食べていた。
「やっぱ、体を温めるにはスープだよな~」
そう言ってザックは野菜たっぷり栄養満点の鼻腔をくすぐるスープを口に流し込んだ。
それを見て俺とセレーネもスープを口に流し込む。
「「「あーーーーっ、温まる~」」」
俺達3人はお互いに顔を見合わせて、笑い合う。
「おんなじこと言うなよ~」
「たまたま被っただけじゃない!」
「まあまあ、落ち着いて」
俺はふと思った。
もうこの3人で遊べるのも最後なのかもな、と。
小さい頃からいつも一緒に過ごしてきた。だが入学試験後には別々の道を歩む可能性が極めて高い。
しんみりとそんな事を考えているとザックが俺に向かって言った。
「お前、なんか悲しい顔してんな」
どうやら長年過ごしてきた者には分かってしまうらしい。
俺は正直に思っていた事を伝える事にした。
「こうやって、仲良く過ごす事もこれからどんどん少なくなってしまうのかなって思うと、ちょっと悲しくなってね……」
俺がそう言うとザックとセレーネはクスクスと笑う。
「ノルンって、馬鹿なのか?」
「そうよ馬鹿なの?」
なんかからかわれてる気がする。
「いや、2人よりは勉強してきたつもりだけど……」
「そうじゃないってば~。俺達の絆がそう簡単に途絶えるかと思うか?例え学校が別々になろうと俺達の関係は変わらない。3人揃って幼馴染なんだよ、俺達は」
「ザックと意見が合うのは何か気にくわないけど、そうよノルン。私達は3人揃って幼馴染なの」
「なっ、気に食わないってなんだよ!?」
2人にそう言われて俺は雲がかっていた心に1つの光が差し込んだ気がした。
「そ、そうだな。俺達は3人揃って幼馴染。この関係は絶対に変わらない!」
春、というには少し肌寒い季節の寒空の下、そうして俺たちは絆を確かめ合った。
俺の言葉に返してくれる者はいなかった。
俺は周りを見渡したが人影は見えない。視界に映るのは村と鍛錬所を繋ぐ一本道とその横に広がる草原、そして石像だけだった。どうやら本当に石像が喋ってたらしい。
石像を触ってみるが柔らかいはずもなく、普通に硬かった。
一体どんな原理で口や首、頬が動いてたんだろうか?
非現実的なことが起こり、俺の頭はイマイチ理解できていない。
しかし、ひとつだけ分かったことがある。
それは俺の中に新たな感覚、さっきの石像が言うには『魔力回路』が俺の中にあると言うことだけだ。
「というか、『魔力回路』ってなんなんだ? そんなの俺聞いたことないんだが? アイツは一体何者なんだ?」
俺は王都で行われる入学式のため、一生懸命勉強した。実技試験については敢えて言わないが、筆記試験だけならザックとセレーネに勝てる自信がつくくらいには勉強した。
村に帰ってから一度聞いてみるか。俺が忘れてるだけかもしれないしな。
そうして俺は今度こそ村に帰っていった。
村に戻るとすぐに、ザックとセレーネを見つけた。
何やら2人は大きな声で言い争っていた。
俺も混ぜてもらうか。
「2人とも、戻ってきたぞ!」
俺の声に反応して2人はこちらをみるや否や同時に話しかけてきた。
「なあ、ノルン! どう思う?」
「ノルン! どう思ってるの?」
2人はいつも言い争いをしていて、仲がいいのか悪いのかさっぱり分からない。意見が合う時は仲が良いのだが……。
そして、目先のことに囚われて遠くの事柄が何も見えていない。
今回もそうだ。
「2人とも、まず何について話してるのか言ってくれない?」
それを聞いた2人は、少し落ち着きを取り戻し、ザックが2人を代表して俺に言った。
「そんなの、王都で受ける入学試験についてじゃないか~」
「いや、そんな当たり前のことのように言われても、俺分かんないよ」
「そ、そうか。それは悪かったな。で、どう思う? 入学試験、簡単か、それとも難しいか」
え?まさかそんなことで2人は争っていたのか?まあ、それもいつものことか。
「そ、そうだね。俺は簡単とか難しいとかじゃなくて、今自分にできる事を精一杯出し切る。それが答え、かな?」
それを聞いた2人は顔の前で指を組み、目をキラキラと輝かせていた。
「ノルン! お前っ、なんかカッコいいなっ!」
「ノルン! カッコいいね!」
やっぱり2人は仲が良さそうだ。
でも2人の前で言ってしまうとまた言い争いになってしまいそうだったので俺は心の中に留めておくことにした。
「ああ、ありがとう」
なんだか丸く収まって良かった。
あ、そうだひとつ聞いておきたかった事があったんだ。
「なあ、『魔力回路』って知ってる?」
それを聞いた2人は首を傾げた。
どうやらそんな言葉は知らないらしい。でもあの石像は言っていた。謎が深まるばかりだ。
「分からないなら良いよ」
俺はそう言って家へ帰っていった。
時は流れ、夕食の時間になった。
今日は明日俺たち3人が王都に入学試験を受けに行くという事で村の人達が宴を開いてくれた。本当に優しい人達だ。
俺たち3人は仲良く集まって村の人達が作ってくれた料理を食べていた。
「やっぱ、体を温めるにはスープだよな~」
そう言ってザックは野菜たっぷり栄養満点の鼻腔をくすぐるスープを口に流し込んだ。
それを見て俺とセレーネもスープを口に流し込む。
「「「あーーーーっ、温まる~」」」
俺達3人はお互いに顔を見合わせて、笑い合う。
「おんなじこと言うなよ~」
「たまたま被っただけじゃない!」
「まあまあ、落ち着いて」
俺はふと思った。
もうこの3人で遊べるのも最後なのかもな、と。
小さい頃からいつも一緒に過ごしてきた。だが入学試験後には別々の道を歩む可能性が極めて高い。
しんみりとそんな事を考えているとザックが俺に向かって言った。
「お前、なんか悲しい顔してんな」
どうやら長年過ごしてきた者には分かってしまうらしい。
俺は正直に思っていた事を伝える事にした。
「こうやって、仲良く過ごす事もこれからどんどん少なくなってしまうのかなって思うと、ちょっと悲しくなってね……」
俺がそう言うとザックとセレーネはクスクスと笑う。
「ノルンって、馬鹿なのか?」
「そうよ馬鹿なの?」
なんかからかわれてる気がする。
「いや、2人よりは勉強してきたつもりだけど……」
「そうじゃないってば~。俺達の絆がそう簡単に途絶えるかと思うか?例え学校が別々になろうと俺達の関係は変わらない。3人揃って幼馴染なんだよ、俺達は」
「ザックと意見が合うのは何か気にくわないけど、そうよノルン。私達は3人揃って幼馴染なの」
「なっ、気に食わないってなんだよ!?」
2人にそう言われて俺は雲がかっていた心に1つの光が差し込んだ気がした。
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春、というには少し肌寒い季節の寒空の下、そうして俺たちは絆を確かめ合った。
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