暗躍貴族〜表は学生、裏は帝国暗部の期待のルーキーの俺が色々する話〜

ピョンきち

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 ケイオス帝国。

 それは大陸一の超大国。人口、産業、経済、魔法技術、その全てが他の国と比べて突出していた。

 だが、そんな帝国の繁栄の裏には帝国暗部の存在があった。

 周辺諸国の上層部は口々に言う。

「帝国には手を出すな」

「手を出したら最後。倍返しどころではすまないだろう」

「帝国の暗部には化け物がいる」

と。


 そんな事を言われているとは露知らず、今日も暗部は帝国のために尽くす。









 フォイエル公爵家。

 それは帝国暗部の一つである暗部組織シーカーをまとめる大貴族。帝国の南方の地方であるフォイエル領を皇帝家から預かり、治めている。領都は南都。自然豊かで、年中暖かい。帝国帝都フォーレンに次ぐ第二の都市でもある。年中暖かいせいなのか領民性は比較的活発な者が多い。

 そんな例に漏れる事なく、公爵家の敷地内にある訓練場で一人の少年が老人と木剣で激しく打ち合っていた。
 少年の方は必死に老人の攻撃を防ぐのが手一杯のように感じる。逆に老人は楽々と剣を振り回し少年に攻撃をさせる暇を与えていない。
 剣の打ち合いを初めて見た者でも十人中満場一致で老人の方が圧倒的だと答えるだろう。

 剣の打ち合いに一区切りついたのか両者剣を下ろした。

「剣の腕前もかなり上達したのではないか?」

 そう話し始めたのは、先程まで剣を打ち合っていたのにも関わらず息を切らしていない老人だった。

「爺こそ。魔力を使っていない打ち合いとはいえ、あんなに激しい動きをしているのに息ひとつ切らしていないのは誰なんだい?」

 息を荒くしながらも楽しそうな顔で答えたのは少年だった。

「はっはっはっ! 伊達に生きてきてはいないと言う事だ。お前ももうすぐ帝都の学園に入る頃だろう。最後にこてんぱんにしてやろうと思っておったが、思い通りにはいかんもんよな」

「ははっ、でもまあこれぐらい普通にこなせないとダメだよね。学園に入って優秀な成績を収めることも重要だけど、俺にはもっと大切なものがあるから」

 少年は確かな意思のもと、その言葉を発した。

「ああ、そうだ。お前には帝国の暗部でこれからも活躍してもらわねば困る」

「爺も、引退したとはいえ、まだまだ現役みたいなものでしょ?」

「いつ何があっても、ことにあたる。それがわしの信条じゃ。そのためには努力をしなければならないということだ。帝都に行っても訓練を怠るなよ」

「もちろんだよ。爺」

 そう話していると訓練場に一人のメイドがやってきた。

「訓練中申し訳ございません。レイン様、御当主様がお呼びです。至急執務室にお越し下さい」

 少年の名前はレイン=フォイエルというらしい。

「ああ、分かった。今いくよ。そんなわけで爺、行ってくるよ」

 そう言って、足早に訓練場を出ていった。

 一人残された老人はどこか微笑ましく呟いた。

「魔力を使っていたらお前の方が勝っていただろうよ。これからの活躍を期待しているぞ、我が孫よ」




_________________________


次から一人称になるのでここで一旦切らしていただきます。
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