暗躍貴族〜表は学生、裏は帝国暗部の期待のルーキーの俺が色々する話〜

ピョンきち

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episode 2

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 俺はフォイエル現公爵家当主である父に呼び出され、急いで執務室へ駆けつけた。 
 息を整えてから執務室のドアをノックすると、中から入れと声が聞こえてきた。
 指示に従い俺はドアを開けて父が座っている執務机の前まで歩いて立ち止まる。

「父上、私をお呼びとはどういったご用件でしょうか?」

 俺は取り敢えずなぜ呼ばれたのかというごく一般的な問いを投げかけた。

「ああ、ちょっとこれを見てくれ」

 そうして父は俺に一枚の紙を渡してきた。俺は渡された紙の内容に一通り目を通した。

「……この紙に書いてある内容は本当ですか? 正気とは思えません」

 そこに書いてあったのはこんなものだった。

-------------------------
~帝国暗部 暗部組織シーカー~

帝国南方の南都を火の海にするという計画あり。
首謀者は南方帝国貴族子爵であるハルト子爵と謎の魔法士。
動機は自分の力を示して爵位を上げてもらいたいという欲望。

読んだ後はこの紙を燃やすように

-------------------------


「ああ、本当だ。どうやらシーカーの末端がなんらかの形で子爵と紙に書いてある謎の魔法士との会話を盗み聞きしたのだろう」

「しかしこの情報は信用出来るのでしょうか?」

「今は信用できるできないの話ではない。この情報がある以上、我々シーカーはことに当たらねばならない。特に南都は人口が多い。子爵の我欲のために領民を危険な目に合わせるのは領主としても許せるものではない」

 そこで父は一拍置いてからもう一度口を開いた。

「そこでだ、ゼロス。お前にはハルト子爵暗殺の任務を与える。皇帝陛下からもこの任務を遂行せよとのことだ。帝国に弓引くものはたとえ貴族であっても許されるものではない」

 ゼロスとは俺の暗部組織でのコードネームみたいなものだ。暗部組織のことは領民達は知らない。知っているのはごく少数の帝国上層部とスパイを送り込んできた周辺諸国の上層部くらいだろう。だからこそ俺が暗部組織に所属していることがバレてしまうと世間的にも公爵家の地位が失墜してしまう恐れがある。それは誰も望まないのでこうしてコードネームを使っているわけだ。


 今、父は公爵家当主ではなく、暗部組織シーカーをまとめるリーダーとして俺に命令を下している。組織の一員として主の命令は絶対服従。

「任務を承りました。速やかにことにあたり対処します」

そうして一礼した後、俺は執務室から出ていった。









 執務室から出た後、俺は自室に向かった。
 
 歩きながら情報を整理する。

 ターゲットは南方帝国貴族、ハルト子爵。ハルト子爵はフォイエル領のさらに南方の一部の帝国領を皇帝家から預かっている貴族である。
 問題はどう暗殺するか、なのだがその情報が一つもない。恐らく父は自分がどれだけ出来るのか見ているに違いない。そうでなければ急に暗殺任務など回ってこないのだから。昔、暗殺任務が来たときは必要な情報は全て揃っていた。

「自分で情報収集しろということか」

 と呟いていると、ふと俺の専属メイドで同い年である赤髪ロングヘアのフラーニャが目に入った。控えめに言って美少女である。二年前のある一件から俺の専属メイドになったのだ。

「フラーニャ、少し頼みたい事があるんだけど、いいか?」

 フラーニャは嬉しそうに近づいてきた。

「レイン様! ついに私を頼る時が来たのですね! ええいいですとも! なんでも私に言ってください!」

 なぜかとてもグイグイくるのだがまあいい。

「ああ、あまり人目につくのは嫌だから俺の部屋まで来てくれないか?」

 途端、急に言葉がたどたどしくなった。

「え、えっとレイン様。そういうものは順序があってですね、あ、でも、レイン様が望まれるのであれば構いませんけど……」

「ああ、俺が望んでいる。ついてきてくれ」

「……はい」



 そうして数分後、自室に入ったのはいいのだが、中々フラーニャが目を合わせてくれない。手と手を合わせてもじもじしている。

「フラーニャ、大事な話なんだけど、大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。覚悟は出来ています」

 そう言われたので安心して言える。俺の専属メイドであるフラーニャは暗部組織シーカーのことを知っている。そうして俺はゆっくりと話し始めた。

「実は暗部組織シーカーに関わる事なんだが南方帝国貴族のハルト子爵の情報を集めてくれないだろうか?」

 そう俺が言った瞬間、フラーニャが固まった。
 と思ったら震え出した。

「レイン様のばかっ!」

 そう言って部屋を出て行こうとする。慌てて止めようと思い声を出した。

「おい、フラーニャ待て!」

しかしその言葉を聞いても止まることはなく、去り際に

「分かりましたよっ! もうっ!」

という怒っているのか、俺のお願いを聞いてくれたのかどっちか分からなかった。

「一体、俺が何をしたっていうんだよ……」
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