7 / 10
episode6
しおりを挟む
フラーと屋敷を出た後、数名の部下と合流し馬車を置いていた宿へ向かった。
謎の魔法士の妨害を予想していたが、無かったので良かった。だが、報復に来るかもしれない可能性があるので、街に滞在する事は襲撃のリスクを高める。なので早々と南都の公爵領へと帰路へついた。
ハルト子爵の領地から南都まではおよそ半日といったところだ。夜道は道路脇の街灯の灯りがポツポツとあるが、それでも暗い。
「レイン様、横に座ってもいいですか?」
フラーニャはなんだか少し震えている。
「ん? いいぞ」
そうして俺は右横の席を手でさした。フラーニャはその瞬間、俺の右横に移動して俺の右手を掴んできた。
「フラーニャ、もしかして怖いのか?」
「……怖くなんてないです」
「強がるな。身体が震えている」
「頭を撫でてやろう」
そう言って俺は太腿にフラーニャの頭をのせて優しく撫でた。
「れ、レイン様。無理にそんなことをなさらなくてもいいんですよ?」
「構わん。俺がしたくてそうしている。なんたってフラーニャは俺の専属メイドなんだからな」
フラーニャは小さく呟いた。
「こういう事を平気でできるくせに。レイン様のばか」
「ん? なんか言ったか?」
「いえ何も。もっと続けてください」
たまにはこういうのもいいかもしれんな。
しばらく撫で続けているとフラーニャは寝息を立て始めた。
夜は眠くなるのも当然か。起こすのはよしておこう。
少し眠くなってきたので俺は眠気に逆らわず静かに目を閉じて意識を手放した。
◇
数時間後。
無事に南都に着いた俺は父上に今回の一件を報告するため、執務室の前にいた。
ドアをノックしてしばらくすると中から入れと声が返ってくる。
俺は指示に従い、中に入り執務室の机の前まで歩を進めた。
「ただいま戻りました」
「無事戻ってきて何よりだ。してゼロス、どうであった?」
そうして俺は今回起きた事を話した。
一つ目はハルト子爵の暗殺任務のこと。溺死させたことなど詳細に語った。
二つ目は謎の魔法士のこと。これについては今後の起こりうる可能性について話した。
謎の魔法士の暴走により南都が火の海になる可能性。
新たな者と手を組み帝国を揺るがす事件を起こす可能性など、考えられるものを全て話した。
「なるほどな。任務は子爵の暗殺だった。謎の魔法士は正体がこちらでも掴めない以上、少しでも手がかりがほしいが仕方がない。今回は与えられた情報が少なかったにも関わらずよくやった。帝国のためにこれからも頑張ってくれ」
「はい、ありがとうございます」
「後もう一ついうことがある。レイン」
さっきまで怖かった父上の顔が急に緩んだ。呼び方も変わっていることから組織とは関係のないことなのだろう。
「お前は一週間後から帝都にある学院に行くことになっている。公爵家の顔に泥を塗るような行為は許されない。そこでだ。帝都へ行くまで公爵家筆頭メイド長であるフランカに最低限の礼節を学べ。お前は親父に剣だけを仕込まれてそういうのはからっきしだろ?」
確かに言われてみれば俺は爺と剣での打ち合いに明け暮れていた。公爵家は力が強いだけでなく、心を律する事も重要なのだ。
「ええ、しかし一週間でと言われても無理があるのではないでしょうか?」
「やれるな?」
ニコニコと笑って俺の方を向きながら言ってきた。
どうやら拒否権はないらしい。
「やれます。いえやります!」
こうして俺の向こう一週間の予定が決まってしまった。
謎の魔法士の妨害を予想していたが、無かったので良かった。だが、報復に来るかもしれない可能性があるので、街に滞在する事は襲撃のリスクを高める。なので早々と南都の公爵領へと帰路へついた。
ハルト子爵の領地から南都まではおよそ半日といったところだ。夜道は道路脇の街灯の灯りがポツポツとあるが、それでも暗い。
「レイン様、横に座ってもいいですか?」
フラーニャはなんだか少し震えている。
「ん? いいぞ」
そうして俺は右横の席を手でさした。フラーニャはその瞬間、俺の右横に移動して俺の右手を掴んできた。
「フラーニャ、もしかして怖いのか?」
「……怖くなんてないです」
「強がるな。身体が震えている」
「頭を撫でてやろう」
そう言って俺は太腿にフラーニャの頭をのせて優しく撫でた。
「れ、レイン様。無理にそんなことをなさらなくてもいいんですよ?」
「構わん。俺がしたくてそうしている。なんたってフラーニャは俺の専属メイドなんだからな」
フラーニャは小さく呟いた。
「こういう事を平気でできるくせに。レイン様のばか」
「ん? なんか言ったか?」
「いえ何も。もっと続けてください」
たまにはこういうのもいいかもしれんな。
しばらく撫で続けているとフラーニャは寝息を立て始めた。
夜は眠くなるのも当然か。起こすのはよしておこう。
少し眠くなってきたので俺は眠気に逆らわず静かに目を閉じて意識を手放した。
◇
数時間後。
無事に南都に着いた俺は父上に今回の一件を報告するため、執務室の前にいた。
ドアをノックしてしばらくすると中から入れと声が返ってくる。
俺は指示に従い、中に入り執務室の机の前まで歩を進めた。
「ただいま戻りました」
「無事戻ってきて何よりだ。してゼロス、どうであった?」
そうして俺は今回起きた事を話した。
一つ目はハルト子爵の暗殺任務のこと。溺死させたことなど詳細に語った。
二つ目は謎の魔法士のこと。これについては今後の起こりうる可能性について話した。
謎の魔法士の暴走により南都が火の海になる可能性。
新たな者と手を組み帝国を揺るがす事件を起こす可能性など、考えられるものを全て話した。
「なるほどな。任務は子爵の暗殺だった。謎の魔法士は正体がこちらでも掴めない以上、少しでも手がかりがほしいが仕方がない。今回は与えられた情報が少なかったにも関わらずよくやった。帝国のためにこれからも頑張ってくれ」
「はい、ありがとうございます」
「後もう一ついうことがある。レイン」
さっきまで怖かった父上の顔が急に緩んだ。呼び方も変わっていることから組織とは関係のないことなのだろう。
「お前は一週間後から帝都にある学院に行くことになっている。公爵家の顔に泥を塗るような行為は許されない。そこでだ。帝都へ行くまで公爵家筆頭メイド長であるフランカに最低限の礼節を学べ。お前は親父に剣だけを仕込まれてそういうのはからっきしだろ?」
確かに言われてみれば俺は爺と剣での打ち合いに明け暮れていた。公爵家は力が強いだけでなく、心を律する事も重要なのだ。
「ええ、しかし一週間でと言われても無理があるのではないでしょうか?」
「やれるな?」
ニコニコと笑って俺の方を向きながら言ってきた。
どうやら拒否権はないらしい。
「やれます。いえやります!」
こうして俺の向こう一週間の予定が決まってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
追放された最強令嬢は、新たな人生を自由に生きる
灯乃
ファンタジー
旧題:魔眼の守護者 ~用なし令嬢は踊らない~
幼い頃から、スウィングラー辺境伯家の後継者として厳しい教育を受けてきたアレクシア。だがある日、両親の離縁と再婚により、後継者の地位を腹違いの兄に奪われる。彼女は、たったひとりの従者とともに、追い出されるように家を出た。
「……っ、自由だーーーーーーっっ!!」
「そうですね、アレクシアさま。とりあえずあなたは、世間の一般常識を身につけるところからはじめましょうか」
最高の淑女教育と最強の兵士教育を施されたアレクシアと、そんな彼女の従者兼護衛として育てられたウィルフレッド。ふたりにとって、『学校』というのは思いもよらない刺激に満ちた場所のようで……?
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる