Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組

瑞多美音

文字の大きさ
37 / 85

37 材料を手に入れよう その2

しおりを挟む

 結果的に言うとエルダートレントはドロップ品を残し消えた。あ、ちなみにNPCがモンスターを倒した時はドロップ品はその場に残る仕様みたいだよ……でも拾わずに長時間放置すると消えて無くなっちゃうらしい。
 ……ただ倒すだけなら弓とかで火をつけてやれば、よわよわなわたしでも倒せる可能性がある(可能性であって倒せるとは言ってない)ってルミエルさんは言っていたんだけど今回はそれをするとドロップ品の品質に影響があるってことでそれはできなかった。

 事の顛末はこうだ。
 まず、わたしがエルダートレントから一撃を食らって案山子さんに守られているとルミエルさんがどこからか(多分、マジックバッグね)弓を取り出したのを見て……やっぱりエルフって弓使うんだーって呑気に思ってたらそれも魔道具化してあるらしく威力が段違いだったよ。
 うん、ビュンッ!って音とともに一直線に飛んで行った矢……ルミエルさんのその一発でエルダートレントの大きな枝がいくつか吹っ飛んでた……そしてその隙に素早く動き回り着実にダメージを与えていったグランツさんとバーバラさん。
 案山子さんもぐるぐるパンチを繰り出しつつ攻撃に加わってる。え?わたしを守りつつどうやって攻撃してるかって?
 なんと、ぴょーんと飛んでパンチ!ぴょーんと飛んでわたしの元へって言う荒技だったよね……知らなかったけど案山子さんの跳躍力半端ないことが判明した……あの広い畑を守る方法を垣間見た気がする。
 みんながエルダートレントを相手にしているあいだ、わたしは死に戻らないように必死ですよ……とか言ってほぼ案山子さんに守られてるうちにエルダートレントは倒されてたけどねっ!ただこれだけは言っておこう!瞑想のために動かないように必死だったとっ!

ピコン!
 〈スキル:瞑想がレベルアップしました〉

ピコン!
 〈スキル:隠密がレベルアップしました〉

 わーい、わーい!レベルアップしたぞー!うんうん、必死に隠密と瞑想したおかげだね!

 「なんだか、あっけなかったわね」
 「うむ、そうじゃな」
 「うーん……もっと弓の威力を試したかったのに!」
 「ミンナブジデヨカッタ」
 「お疲れ様でした!ドロップ品はきちんと回収しましたから!」

 こら、そこ!それしかしてないとか言わない!地味に散らばってて大変だったんだぞ!

 「うむ。案山子もなかなかだったのではないか?」
 「む!そうだな!改造しがいがあるというものだな!」
 「そうね。案山子ちゃん、しっかりリリーちゃん守ってたし合格点よ」
 「ワーイ、アリガトウ」

 案山子さんは強いけど、やっぱり火には弱いみたいでモンスターによっては注意が必要なんだって……でも、その時は魔物避けをオンにすればいいらしい。あれ?案山子さんって最強じゃないですかー!


ピコン!
 〈種族がレベルアップしました。ステータスポイント5ポイント獲得しました〉

 「やったー!ようやく種族レベルが上がったー!」

 ふむふむ……どうやら種族レベルが上がるたびにHP、MPのステータスの数値が+5、ステータスポイント5ポイントゲットできるらしい!すばらしい!

 「うむ、よかったな」
 「まぁ、おめでとう」
 「リリー、オメデト」
 「む?娘、ちなみにレベルはいくつになったのだ?」
 「はい!Lv2になりました!」
 「む……それはそこらの幼子と変わらないではないかっ!いくら異界の旅人だからって無理させすぎてしまったようだな」

 え……幼子って……

 「リリーちゃん安心なさい。ルミエルの言う幼子はリリーちゃんの思うよりずっと年上よ」

 あー……寿命が違うからかー。だってエルフの間じゃ、ルミエルさんもまだまだ若輩者って言ってたし……グランツさんやバーバラさんもまだまだ若者扱いなんだもんねー。

 「そ、そうなんですね。よかったです」

ピコン!
 〈クエスト:ルミエル・エンドロースと共に案山子1号の材料を手に入れよう!を達成しました〉

 「む、では早速帰って1号をグレードアップさせるぞ!」
 「ワーイ」

 帰りはルミエルさんが張り切りすぎて休憩なし……うん、わたしだけ死に戻った方が早かったんしゃないですかね……

 畑についてすぐにドロップ品を渡す……その間も急かされたことは言うまでもない。

 「しばし待っていろ!行くぞ1号!」
 「ワカッター」

 ルミエルさんが案山子さんを改造している間に畑の世話や販売所チェック……今回は群生地が見つからなかったので魔力草や体力草は出品しないことにした。ミニトマトを出品しようか悩んだけどギルドもあるしやめておく。

 「できたぞ!」
 「ミテミテー」

 悩んでるあいだに結構な時間が経っていたみたいだ。

 「うむ、だいぶ変わったの」
 「そうね」
 「ですねー」

 案山子さんバージョン2は腕の関節部分が球体になり可動域が大幅に広がりアッパーとかフックが放てるようになったらしい。あと、手のひらを握ったり開いたりできるようになったんだって。

 「今回は材料が足りなかったのでな!1号の希望しか叶えられなかったのだ!」
 「案山子さんの希望が叶えられたら十分なんじゃ……」
 「む?何を言っているのだ!せっかくならばいろいろ試してみたくなるだろう?」
 「あ、はい……」

 この辺りにはエルダートレントが少ないみたいなので材料を冒険者ギルドに依頼するらしい。

 「1号よ!しっかりデータを残しておくんだぞ!」
 「ウン、ワカッター」
 「データの細かさによって次回の改造に変化がでるからな!改善希望もしっかりメモるんだ!いいな、娘!」
 「ウン」
 「え?わたしがメモするんですか?」
 「当たり前だろう!いくら1号が物をつかめるようになったとはいえ文字はまだ書けんぞ」
 「ウン、リリーヨロシクネ!」
 「あ、わかったよ……」

 なんだか日課が増えたようですね……早速メモすることはないかと案山子さんの腕をルミエルさんみたいにじっくり観察してたら……

ピコン!
 〈スキル:観察力が取得可能になりました〉

 あら、らっきー!

 「む!やる気があるようだな!娘にはこれをやろう」
 「わーい、ありがとうございます」

 ルミエルさんから手渡されたのは……棍棒かな?

 「1号の材料にするには中途半端に余ったからな!」

 ルミエルさん的には足も作りたかったらしいけど材料不足で今回は断念したらしい……てか、案山子さん的には足はぴょんぴょんするので全く問題ないらしい。高く飛べるし、ぐるぐるできるしそれはそれで便利だから一本足がいいみたい。うん、アイデンティティーにも関わるしね。

 それにしても棍棒かー……使うかなぁ?

 「む?ただの棍棒ではないぞ!」
 「え、そうなんですか」

 早速、鑑定してみると……

*****

 名称:エルダートレントの棍棒
 レア度:R 品質:★6 耐久:100
 説明:職人によって作られた棍棒。殴ったときに倍の威力になる。
 製作者:ルミエル・エンドロース

*****

 「おおー……」
 「ふん!これくらいルミエル様にかかれば簡単なものだ!」
 「ありがとうございます」

 うん、でもわたし力無いから効果は薄いんだよね……ありがたく携帯はしますけどね!まぁ、多分アイテムボックスの肥やしになるでしょうけど……だって手に持ってたら荷物になるし……え?ロープでくくりつけろって?仕方ないのでロープをベルトがわりに腰に巻いてそこにぶら下げることにした。

 結局、ドロップ品のほとんどがルミエルさんの手にわたり魔核はグランツさんたちにということに。うん、わたしは棍棒とレベルアップで十分なので!

 「ふむ!また近いうちに来るからなっ!しっかりメモるんだぞっ!」
 「ハーイ、ガンバルヨ!」
 「あ、はい……」
 「うむ、またな」
 「気をつけてね」

 ルミエルさんにとっての近いうちっていつなんだろうか……しっかりメモらないと怒られそうだし頑張ってメモしよーっと!


◆ ◆ ◆

名前:リリー
種族:人間
性別:女性
状態:正常
種族レベル:Lv1→ Lv2
HP:28/40(+5)→45/45(+5)
MP:40/40(+5)→45/45(+5)
STR:5(+2)
VIT:5(+5)
INT:5
AGI:5
DEX:80
LUC:777(固定)
ステータスポイント:20ポイント
職業:農家見習い  Lv4
スキル:鑑定Lv2、裁縫Lv2、採取Lv2、栽培Lv2、投擲Lv3、毒耐性Lv4、麻痺耐性Lv4、気配察知Lv2、隠密Lv2→ Lv3、地図 Lv3、成長促進 Lv3、瞑想Lv1→ Lv2、水魔法Lv1
スキルポイント:28ポイント
取得可能スキル:挑発、武器回収、工作、観察力
称号:遅咲きのラッキースター、挑戦者、方向音痴、天籟の鐘を初めて鳴らした者
所持金:677G(預金:9900G)
装備:麦わら帽子、軍手、見習いのシャツ、見習いのズボン、見習いのブーツ、初心者用投擲ナイフ×3、どんぐりネックレス、花柄エプロン、エルダートレントの棍棒
持ち物:初級ハイポーション×5、初級マナポーション×5、初心者用裁縫セット、水袋、火打ち石、ギルドカード(F)→(E)、葉っぱ×6、小石×22、木ノ実×8、体力草×8、魔力草×12、メモ紙、ペン、きゅうり×3、ミニトマト×20、ハニービーの毒針×5、ハニービーの羽×40、はちみつ3瓶、ローヤルゼリー1瓶、軍手(予備)、収穫用ハサミ
販売所(0/10):(金庫:8100G)

◆ ◆ ◆



しおりを挟む
感想 106

あなたにおすすめの小説

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

俺の職業は【トラップ・マスター】。ダンジョンを経験値工場に作り変えたら、俺一人のせいでサーバー全体のレベルがインフレした件

夏見ナイ
SF
現実世界でシステムエンジニアとして働く神代蓮。彼が効率を求めVRMMORPG「エリュシオン・オンライン」で選んだのは、誰にも見向きもされない不遇職【トラップ・マスター】だった。 周囲の冷笑をよそに、蓮はプログラミング知識を応用してトラップを自動連携させる画期的な戦術を開発。さらに誰も見向きもしないダンジョンを丸ごと買い取り、24時間稼働の「全自動経験値工場」へと作り変えてしまう。 結果、彼のレベルと資産は異常な速度で膨れ上がり、サーバーの経済とランキングをたった一人で崩壊させた。この事態を危険視した最強ギルドは、彼のダンジョンに狙いを定める。これは、知恵と工夫で世界の常識を覆す、一人の男の伝説の始まり。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...