私ですか?聖女やらせてもらってますけど……え?そちらが本物の聖女だから私は用済みですか?

瑞多美音

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出発準備 編

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 「あ、ちょっとそこの雑貨屋さんに行きたいな。寄ってもいい?」
 「ええ、いいわよ」

 服屋さんの2軒隣が雑貨屋さんだったのでのぞいてみる。
 外からでも分かるほど商品の種類が多そう。おしゃれな雑貨屋さんというよりここにくれば何でも揃う!という雰囲気のお店だ。

  「らっしゃい」

 店内は見渡すかぎり商品がところ狭しと並んでいる……そして、店の奥には小さなカウンターがあり年配の店主さんが座っていた。

 「なにか目当てのものがあるの?」
 「うん……とりあえず欲しいと思ってるのはポーション瓶かなー」

 道中でポーションを作って旅費(おやつ代)にするとしても薬草は現地で手に入るけど、ポーション瓶はたまに道端に捨ててあるくらいだもんね……

 きょろきょろしつつもポーション瓶や調合セットなどがおいてあるコーナーを見つけた。あれ、なんか種類がいっぱいあるっ!

 「うーん、どれにしたらいいのかなー」

 今までは神殿にあるものを使ってたから、ポーション瓶にこんなに種類があるなんて思わなかったんだよね……
 光があたったガラスってなんでこんなにきれいなんだろう。神殿にも過去の落ち人の知識から作られたステンドグラスがあった。
 貴重なステンドグラスで作られた女神様のモチーフはいつまでも眺めていられたっけ……時々、女神様がウインクする謎仕様だったけれど。見れると1日がいい日になると幸運の証として人気だった。

 「ねぇねぇ、お母さん。ポーションをギルドに売るときってポーションの瓶によって買取価格が上下したりするの?」
 「どうかしら?ポーション自体ギルドでそんなに売ったことないからわからないわ。店主はご存じかしら?」
 「へい、ポーション瓶は決まった規格があるため内容量はどの瓶を選んでも同じです。ギルドでは内容量と質さえきちんとしてりゃあ、瓶の違いで買取価格が変わることはねぇと思います」
 「へぇ……」
 「そうなのね」

 職人さんによってはポーション瓶に柄がついていたりするみたい。
 結構凝ってるものもあるなーって眺めていたら……

 「ポーションは封をした状態ならそこそこの期間持つので、ポーションを買うときに好きな柄やおしゃれな瓶を選んで家に飾るってひとも多いんです……余裕のある錬金術師は柄つきの瓶を結構買っていきやす」
 「へえ……」
 

 そういえば神殿で使っていたポーション瓶、神殿のモチーフがついていたものだった気がする。あれは神殿専用に作ってたものだったかぁ……

 「自分のオリジナルの瓶を用意する錬金術師もいるそうです」
 「自分のブランドにするとメリットもあるけどデメリットも多いわよね」

 有象無象のポーションなら不味くても効果が低くても直接文句を言われることはないけれど、誰が作ったか分かっていたら苦情を入れるひともいるだろう……
 神殿では品質が低く効果が保証できないものは神殿で無料で配っている。
 候補者たちの訓練にもなり薬草の無駄にもならないし、品質が低いといっても神殿基準のため人気らしい。ただし、転売されたりしないようにその場で使用することが条件だ。瓶も回収している。

 「うーん……じゃあ、売れ残ってるポーション瓶をくださいな」
 「あ、ありがとうございますっ!……量はいかほどで?」
 「えっと、どのくらいありますか?」
 「少々、お待ちをっ!確認してまいります!」
 「はーい、ごゆっくりー」

 店主さんが奥の部屋に確認にいっている間、店内をゆっくり見てみる……ところ狭しと並んでいるとはいえきっちり区分けされているから探しやすい。

  おっ、この大きめな桶いいかもしれないな?からだを拭くときにも使えるし、洗濯やポーション作りにも利用できそう。
 お風呂に入れないときは浄化や生活魔法のクリーンできれいにしてるんだけど、時々はからだを拭いたりしたいんだよね……気分的に。

 こっちには旅に便利なものが集められた棚みたい。
 うーん、冒険者ギルドで買った『内容が豪華すぎる野営セット』に入ってるものはいらないし……あ、これは必要じゃないかな?聖女として移動するときにも使ってたと思うけど。

 「お母さん、この魔除け香って必要だよね?冒険者ギルドで買わなかったよね」
 「あー、それいらないわ。もっといいの持ってるから」
 「そうなんだ」
 「そうそう、効果抜群だから安心して」
 
 魔除け香より効果抜群かぁ……ダンジョンで何か見つけたのかな。じゃあ、いらないかー。

 「お待たせいたしやしたっ!こちらです」
 「ありがとうございます」

 店主さんがいくつか木箱を抱えて持ってきていて、木箱に入った瓶を見せてくれる。

 「へい。こっちの少し形のいびつな瓶は見習い職人の作でして……」
 「もちろん内容量とかの規格はクリアしてるのよね?」
 「それは問題ございません。で、こちらがリサイクル瓶ですが……」
 「えっと、リサイクル瓶……って何ですか?」

 マジックバッグのときに聞いたリサイクルとどう違うんだろ?

 「へい。リサイクル瓶とは1度使用された瓶でして……それを洗浄、乾燥したものです」
 「へえ……」
 「使用後のポーション瓶を買い取ったのかしら?あまり聞いたことがないけど」
 「へい。少し前から始まった制度ですが、持ち込まれた瓶のチェックや洗浄、乾燥に手間がかかるもんであんまりやってるとこがねぇんです」
 「そうなのね」
 「そうなんだ……」

 だいたい一般的なポーション瓶が10本セット銅貨8枚で、見習い職人のポーション瓶10本セット銅貨6枚、リサイクルポーション瓶が10本セット銅貨5枚ぐらいで売っているんだって……あ、神殿で回収した瓶もリサイクルして候補者の訓練用に使ってるのかも?

 安いものは錬金術師の見習いや懐に余裕のない錬金術師くらいしか買わないため売れ残っていたんだとか……そうか、私も錬金術師のフリすれば目立たずにすむのか。

 ちなみにポーション瓶は1本からでも売ってるけど割高になるため10本単位で購入するのが基本らしい。
 
 手にとって見せてもらったけど見習い職人さんの瓶は少し形がいびつなだけで問題なさそうだし、なかにはあともう少し!惜しい!という瓶もあった。
 リサイクル瓶は形は一般的なもの、柄付きなど様々だ。ひびも傷もないみたいでちゃんと蓋は新品をつけてくれているから問題ないね。

 見習い職人さんのポーション瓶を60本、リサイクル瓶を50本買っていくことにする。数本余ってしまったけど割高だっていうから……ね?

 「ありがとうございますっ!配達も行っておりますがいいがなさいましょう?」
 「このまま持ち帰るから結構よ」
 「かしこまりました。瓶は木箱ごとお持ちください」
 「はーい」

 あと……いくら食べ歩きの旅とはいえ移動時には野営もするし、万一を考え干し肉とナッツ類とパンも買おうかな……お祭りセールだったから思わず手に取ってしまった。

 飲み物は魔法で水が出せるけど、水筒っていう魔道具で可愛いものがあったので買っちゃった。
 水筒とは入れたものの温度が半日くらい変化しにくいらしい。一瞬、これがあれば日持ちしないものもたくさん買えるかと思ったけど、時間停止する訳じゃないからダメだってさー……ざんねん。
 でも、お茶を入れておけばいつでも簡単に温かいまま飲めるっていうからやってみようかな?

 お会計を済ませ、こちらもお母さんのマジックバッグに入れてもらった。
 手持ちのお金では足りなかったのでポーションを販売後にお母さんに返す予定……が、受け取ってくれなさそうなのでポーションで返すかも。

 大きめの桶やポーション瓶の木箱だけでかなりかさばってたから、少し心配したけど無事に入った。
 店主さんは一瞬ギョッとしていたけど、お母さんの余計なことは言うなオーラで問題なし。


 雑貨屋さんを出るといつの間にかお腹が空いていたのでお昼ごはんにすることになった。
 ……え?さっきあんなに揚げもの食べただろうって?だってお腹空いてるんだもんっ。きっと歩き回っている間に消化したんだね!

 「私のおすすめのご飯屋に行きましょ!」
 「うん、楽しみっ!」
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