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奇跡
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「先生! いるか? 悪い! 急患だ!」
ガランと診療所のドアが開き、屈強な猟師風な男性が飛び込んできた。
「患者さんは!?」
「お、姉ちゃん、先生はいないのか?」
「ちょっと出かけてるけどあたしが診るから」
「でもな」
「つべこべ言わない! 急患なんでしょ? とっとと案内して!」
マリカの迫力に負けた男性、
「おお、こっちだ、きてくれ」
と、外に出る。
「マキナ、あなたの手も借りなきゃかもだからお願い、ついてきて」
そういうとそのまま二人は男性の後をついていった。
走る男性の後を急いでついていく二人。
「こっちだ、そこの角」
指をさし示しながら急ぐそこ、土木工事の最中なのか大きな柱が倒れていた。
「おい! てこをもってこい」
「おお」
「待ってな、すぐどけてやるからな」
「いてえよ、いてえ」
「情けない声出すな! すぐ先生も来てくださる!」
ざわざわ大声をあげる大勢の人だかりの中に、柱の下敷きになっている男性と、その男性を助けようとしている男たちがいた。
「どうだ!? 医者、つれてきたぞ!」
「ああ、アッシュ。ありがてえ。もう柱がどく」
「よし! デューイを引っ張り出すぞ」
「おーし」
なんとか怪我人を簡易な担架にのせ、広い場所に連れてくる人々。
マリカは人混みを抜けその怪我人の前まで出ると、そのままその彼の様子を確認した。
「怪我人はそこの台にゆっくり降ろして! 下半身がかなりひどいわ。出血も多い。これは……」
「姉ちゃん、どうなんだ、デューイは助かるのか!?」
「もう普通の治療じゃ無理だけど、いいわ、あたしが助けるから!」
「ちょっと、マリカ?」
「もう、しょうがないわ。マキナ。こんな大怪我見てられないもの」
そういうと彼女はその患者、デューイの身体の上に両手をかざした。
そして。
「エクストラヒール!」
彼女のその澄んだ声が響き渡る。
金の粒子が両手から溢れ出し患者の身体全体を覆うと、そのまま光の粒がその傷口という傷口から体内に入り込み。
いつしか、患者の流血はおさまり、そして。
その肉体はまるで何事もなかったかのように綺麗に回復していたのだった。
「あ、れ? 痛くねえや。俺、死んじまった? ここは、天国か? ああ、女神様が見えやがる……」
「ばっかやろう! デューイ! てめえはまだおっちんじゃねえよ! ほんとこのやろう、心配かけやがって……」
ぽかんと素っ頓狂なことを口走るデューイにアッシュがそう声をかける。
その瞬間、それまでマリカ(マリアンヌ)の奇跡を神妙な顔で見つめていた周囲の男達から一斉に歓声があがった。
「おー!!」
「助かったのか!」
「信じられねえ!!」
「これが奇跡か!!」
「おー、女神様か!!」
大声で叫ぶその男達の顔は皆驚愕と喜びに満ちて。
「さ、これで治療は終わり。お代は診療所まで持ってきてね」
と、さっと振り向き帰ろうとするマリカに。
「待ってくれ姉ちゃん、いや、あんたはデューイの命の恩人だ。金なんざに変えられねえ。どうか何かお礼をさせてくれ!」
そう引き止めるアッシュ。
他の男達も「そうだそうだ」と興奮が冷めやらぬ様子で。
「お礼なら、そうね。美味しい果物でも診療所に持ってきて。早く帰らないと留守を任されてるのに怒られちゃう」
そうマリカ。
ニコニコと笑顔で男達を振り切り。
「じゃぁね!」
と、足早に帰っていった。
(もう、こんなに騒ぎになって。知らないよ?)
結局ただ見ているだけしかできなかったマキナ、仏頂面のまま彼女の後を追いかけて。
(ふう。でも。俺が守らないと。彼女のことはなんとしても)
そう、これから訪れるかもしれない厄介への対処を思案していた。
ガランと診療所のドアが開き、屈強な猟師風な男性が飛び込んできた。
「患者さんは!?」
「お、姉ちゃん、先生はいないのか?」
「ちょっと出かけてるけどあたしが診るから」
「でもな」
「つべこべ言わない! 急患なんでしょ? とっとと案内して!」
マリカの迫力に負けた男性、
「おお、こっちだ、きてくれ」
と、外に出る。
「マキナ、あなたの手も借りなきゃかもだからお願い、ついてきて」
そういうとそのまま二人は男性の後をついていった。
走る男性の後を急いでついていく二人。
「こっちだ、そこの角」
指をさし示しながら急ぐそこ、土木工事の最中なのか大きな柱が倒れていた。
「おい! てこをもってこい」
「おお」
「待ってな、すぐどけてやるからな」
「いてえよ、いてえ」
「情けない声出すな! すぐ先生も来てくださる!」
ざわざわ大声をあげる大勢の人だかりの中に、柱の下敷きになっている男性と、その男性を助けようとしている男たちがいた。
「どうだ!? 医者、つれてきたぞ!」
「ああ、アッシュ。ありがてえ。もう柱がどく」
「よし! デューイを引っ張り出すぞ」
「おーし」
なんとか怪我人を簡易な担架にのせ、広い場所に連れてくる人々。
マリカは人混みを抜けその怪我人の前まで出ると、そのままその彼の様子を確認した。
「怪我人はそこの台にゆっくり降ろして! 下半身がかなりひどいわ。出血も多い。これは……」
「姉ちゃん、どうなんだ、デューイは助かるのか!?」
「もう普通の治療じゃ無理だけど、いいわ、あたしが助けるから!」
「ちょっと、マリカ?」
「もう、しょうがないわ。マキナ。こんな大怪我見てられないもの」
そういうと彼女はその患者、デューイの身体の上に両手をかざした。
そして。
「エクストラヒール!」
彼女のその澄んだ声が響き渡る。
金の粒子が両手から溢れ出し患者の身体全体を覆うと、そのまま光の粒がその傷口という傷口から体内に入り込み。
いつしか、患者の流血はおさまり、そして。
その肉体はまるで何事もなかったかのように綺麗に回復していたのだった。
「あ、れ? 痛くねえや。俺、死んじまった? ここは、天国か? ああ、女神様が見えやがる……」
「ばっかやろう! デューイ! てめえはまだおっちんじゃねえよ! ほんとこのやろう、心配かけやがって……」
ぽかんと素っ頓狂なことを口走るデューイにアッシュがそう声をかける。
その瞬間、それまでマリカ(マリアンヌ)の奇跡を神妙な顔で見つめていた周囲の男達から一斉に歓声があがった。
「おー!!」
「助かったのか!」
「信じられねえ!!」
「これが奇跡か!!」
「おー、女神様か!!」
大声で叫ぶその男達の顔は皆驚愕と喜びに満ちて。
「さ、これで治療は終わり。お代は診療所まで持ってきてね」
と、さっと振り向き帰ろうとするマリカに。
「待ってくれ姉ちゃん、いや、あんたはデューイの命の恩人だ。金なんざに変えられねえ。どうか何かお礼をさせてくれ!」
そう引き止めるアッシュ。
他の男達も「そうだそうだ」と興奮が冷めやらぬ様子で。
「お礼なら、そうね。美味しい果物でも診療所に持ってきて。早く帰らないと留守を任されてるのに怒られちゃう」
そうマリカ。
ニコニコと笑顔で男達を振り切り。
「じゃぁね!」
と、足早に帰っていった。
(もう、こんなに騒ぎになって。知らないよ?)
結局ただ見ているだけしかできなかったマキナ、仏頂面のまま彼女の後を追いかけて。
(ふう。でも。俺が守らないと。彼女のことはなんとしても)
そう、これから訪れるかもしれない厄介への対処を思案していた。
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