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すぎる欲は人を魔に変える。
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この間の作業場のおじさんたちを助けたことであたしを訪ねて診療所にくる人が増えた。
ドクには具体的に何をしたのかってしっかり報告をしたわけじゃ無かったけど、それでも察してくれてるっていうのかな?
「はは。マリカは好きにしてくれればいいさ」
ってそう笑って自由にさせてくれている。
回復魔法が使えることくらいはちゃんと話したほうが良いのかなって思ったりもしたけど、彼はなんていうんだろう、きっとあたしの聖魔法をあてにしてこうして診療所に住まわせてくれているわけでもなさそう。
もしかしたらあたしのこと本当は知っててこうしてお世話してくれるのかな?
もしかしたら聖都で顔見られたことでもあったのかな?
そんな気もしないでもないけれどまあこれは口に出さないほうが良いかもで。
うん。
できればドクには何も知らなかったことにしておいてもらいたい。
聖都から離れた属州とはいえ万一にも総督の耳にあたしの事が伝わらないとも限らない。
追放された聖女の肩書きなんて、知らないでいて貰ったほうがドクのためにもいい。
こんな小さな診療所だけど、ううん、小さな診療所だからこそ。
お偉いさんに目をつけられて理不尽な目に遭うなんて事があったら大変だ。
聞こえてくるのは聖女認定の儀の噂。
こんなところにまで聞こえてくるっていうことは、もう大々的に宣伝をしているんだろう。
シルビアン・マクレーは自分の手で聖女をつくりたいのだろうな。それはわかる。でも。
力を持たない傀儡聖女ではあまり役には立たないかもで。
少しでも素質のある人間を探し出したいのだろうな。
でも。
今のこの世界には加護を持つものが少ない。
本来であれば癒しの加護くらいであれば街の医者の数くらいは居たはずなのだ。
人の心がもう少しクリアであれば、デウスだって加護を与えるのを躊躇ったりはしなかったろうに。
人の魂が内包する魔力量、マナの量はその器の大きさに比例する。
人の体の大きさではなく、心の中の、魂の大きさだ。
この通常空間に存在する物質としての体にはこの空間ではない存在としての魂が付属している。
生命が生まれた瞬間にその生命を保つマナとして大霊より分離した魂はその健全な肉体に宿るのだ。
人がその自分自身として感じているアイデンティティーとしての肉体には本来の自分自身である魂が必ず存在する。
そうしてその魂のゲートからマナを放出し、通常の空間の理に干渉し仕事をすることを魔法、そのエネルギーのことを魔力、そしてそのマナをマギ力に変換しマギアを行使するための触媒が精霊であり、その精霊との親和性が魔力特性値という加護になる。
当然加護のあるなしで同じマナの量、同じ魔力量でも使用できうる魔法の強さは変化する。
いくら同じ魔術(魔法構築式)を使ったとしても引き出せる権能は違うということだ。
人の世が堕落しその欲に執着するようになった時。
神は人々にその加護を与えるのを辞めた。
欲望の増大によって魂が肥大しマナが魔と呼ばれるまでに圧縮され濃度を増し、そうして第二第三の魔王が誕生してしまうことを懸念したというのもあったけれど、
それ以上に人にはコントロール不能なその魔が世界に溢れ多くの人間が魔人へと変化してしまうのを嫌ったのだった。
すぎる欲は人を魔に変える。
そして。
魔人となった人は人であった心を殺してしまう。
そのことに嘆いた神は、そうならないためにあたしをこの世界に使した。
あたしがそれを果たせないのであれば魔王による恐怖を。
それでもダメなら。
この世界そのものを消失させてしまう。
そう神はおっしゃったのだ。
ドクには具体的に何をしたのかってしっかり報告をしたわけじゃ無かったけど、それでも察してくれてるっていうのかな?
「はは。マリカは好きにしてくれればいいさ」
ってそう笑って自由にさせてくれている。
回復魔法が使えることくらいはちゃんと話したほうが良いのかなって思ったりもしたけど、彼はなんていうんだろう、きっとあたしの聖魔法をあてにしてこうして診療所に住まわせてくれているわけでもなさそう。
もしかしたらあたしのこと本当は知っててこうしてお世話してくれるのかな?
もしかしたら聖都で顔見られたことでもあったのかな?
そんな気もしないでもないけれどまあこれは口に出さないほうが良いかもで。
うん。
できればドクには何も知らなかったことにしておいてもらいたい。
聖都から離れた属州とはいえ万一にも総督の耳にあたしの事が伝わらないとも限らない。
追放された聖女の肩書きなんて、知らないでいて貰ったほうがドクのためにもいい。
こんな小さな診療所だけど、ううん、小さな診療所だからこそ。
お偉いさんに目をつけられて理不尽な目に遭うなんて事があったら大変だ。
聞こえてくるのは聖女認定の儀の噂。
こんなところにまで聞こえてくるっていうことは、もう大々的に宣伝をしているんだろう。
シルビアン・マクレーは自分の手で聖女をつくりたいのだろうな。それはわかる。でも。
力を持たない傀儡聖女ではあまり役には立たないかもで。
少しでも素質のある人間を探し出したいのだろうな。
でも。
今のこの世界には加護を持つものが少ない。
本来であれば癒しの加護くらいであれば街の医者の数くらいは居たはずなのだ。
人の心がもう少しクリアであれば、デウスだって加護を与えるのを躊躇ったりはしなかったろうに。
人の魂が内包する魔力量、マナの量はその器の大きさに比例する。
人の体の大きさではなく、心の中の、魂の大きさだ。
この通常空間に存在する物質としての体にはこの空間ではない存在としての魂が付属している。
生命が生まれた瞬間にその生命を保つマナとして大霊より分離した魂はその健全な肉体に宿るのだ。
人がその自分自身として感じているアイデンティティーとしての肉体には本来の自分自身である魂が必ず存在する。
そうしてその魂のゲートからマナを放出し、通常の空間の理に干渉し仕事をすることを魔法、そのエネルギーのことを魔力、そしてそのマナをマギ力に変換しマギアを行使するための触媒が精霊であり、その精霊との親和性が魔力特性値という加護になる。
当然加護のあるなしで同じマナの量、同じ魔力量でも使用できうる魔法の強さは変化する。
いくら同じ魔術(魔法構築式)を使ったとしても引き出せる権能は違うということだ。
人の世が堕落しその欲に執着するようになった時。
神は人々にその加護を与えるのを辞めた。
欲望の増大によって魂が肥大しマナが魔と呼ばれるまでに圧縮され濃度を増し、そうして第二第三の魔王が誕生してしまうことを懸念したというのもあったけれど、
それ以上に人にはコントロール不能なその魔が世界に溢れ多くの人間が魔人へと変化してしまうのを嫌ったのだった。
すぎる欲は人を魔に変える。
そして。
魔人となった人は人であった心を殺してしまう。
そのことに嘆いた神は、そうならないためにあたしをこの世界に使した。
あたしがそれを果たせないのであれば魔王による恐怖を。
それでもダメなら。
この世界そのものを消失させてしまう。
そう神はおっしゃったのだ。
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