猫ばっかり構ってるからと宮廷を追放された聖女のあたし。戻ってきてと言われてももう遅いのです。守護結界用の魔力はもう別のところで使ってます!

友坂 悠

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千年、ずっと?

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 ——それよりも。ねえレティーナ。ちょっと身体貸してくれないかないかな?

 え? どういうこと?

 ——わたし、ちょっとこの王様と話がしたいの。たぶんあなたに話して通訳してもらうのは難しいから。

 はうあう。それは、まあ、たぶん。

 っていうかアリシア、あなた、あたしの身体動かせるの?

 ——まあね。そのためにはほんの少しレイスを接続させて貰うけど。いい?

 うん。少しなら……。

 ——ありがとうレティーナ。大好きよ!

 そう聞こえた瞬間だった。まるでスイッチが切れたようにあたしは真っ白な空間に落ちていった。それまで、意識だけで潜っていたレイスの海に身体ごと落ちたようなそんな感覚。

 あ、呼吸! できない?

 そう思ったのはほんの最初の一瞬だった。

 まるで異空間? に紛れ込んだかのように身体が白い空間に浮かんでいるのを自覚して。

 ——ごめんねレティーナ。接続を切り替えたの。今はわたしが身体の方に繋がってるから。

 そう言うと目の前で手が振られた。って、え? これあたしの手?

 この空間にいるあたしと現実世界にいるあたしの視覚は微妙にちゃんと繋がってるからなのか、外の様子も見えるんだけど。

 あたしの目の前であたしの意思と関係なく振られるあたしの手……。

 なんだかシュールな光景だ。

「すまないレティーナ。こちらの話が少し長引いた」

 そう優しい声が聞こえる。王様の声。ほんとは魔王のことで大変なのにあたしにこんなに優しくしてくれる王様。なんだか、申し訳なくて、それでもってなんだかあたたかい気持ちが浮かんでくる。

「クラウディウス様。魔王バルカのことであなたにおはなししたい事があります」

 あたしの声でそう切り出したアリシア。王様の顔がちょっとびっくりしたような表情になって。「レティーナでは、無いな?」と、そう言った。

「察しがよくて助かります。突然で失礼いたします。わたしは今このレティーナのレイスの中に居ますが、千年前にあなたたちのご先祖と共に魔王バルカと戦ったレヴィア、と、申します。いえ、あなたたちには『魔王アリシア』と名乗った方が通りがいいでしょうか?」

「あなたが、魔王アリシア……」

 クラウディウス王、目を細めてあたし、ううん、アリシアを見る。その目は今までの優しい瞳と違い、驚愕と警戒心が現れた鋭い目つきで。

「魔王バルカの封印は解けました。いいえ、サンドラが居なくなったことでこの封印そのものが消えて無くなって居ました。わたしがグランウッドの周囲にはった結界はそれほど持ちませんでしたが、まあそれでもです。サンドラは何処に居るのです? 千年の間バルカを封印し続けていた彼女は、いったい何処に行ってしまったのでしょうか?」

 え?

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 千年? ずっと? 生きていらっしゃったの?
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