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大聖女サンドラ。
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「失敗……、ですか……」
——そうでしょう? 確かに感情を封じ込める、彼の憎しみを封じた事で魔王としての猛威は減ったと思いますけど、それでもね?
「それでももうわたくしにはこれしか方法が思い浮かばなかったのです……」
——わたしの時のように、器に魔王石を取り込んでしまおうとは考えなかったの? レティーナは貴女が用意した器だったのでしょう? わたしの時のように……。
「ええ。ごめんなさいアリシア。確かにわたくしはあなたを犠牲にしようとしました。結果的にそうはならなかっただけで……。あの時のわたくしはこの世界を救う為にはその方法しか無いと思っていたのです。真の魔王を誕生させ、そしてその魔王石をもってこの世界の円環とする。そうしないとこの世界は崩壊する所でしたから……」
——そうね。不完全だったこの世界はわたしの中に出来た真の魔王の魔王石をレヴィアが解放した事で救われた。それは事実ですもの。
「一旦は貴女が吸収した筈のバルカが、まさかその後魔王として蘇るとはその時は考えても居ませんでした……」
——レヴィア=カエサルが大気に溶けたとき、バルカの魂《レイス》はそこから脱出していたのね。魔王のキオク、チカラを持ったまま……。
「千年前の戦いでバルカを封じた後。わたくしは今度こそバルカを浄化するために、自分が器に転生するつもりだったのです。その為に用意した筈の身体が今のレティーナだったんです」
え? あたしの身体? サンドラさまが転生するつもりだったの? 嘘? じゃぁどうして?
「ふふ。ごめんなさいねレティーナ。あなたはあなただから。確かにわたくしはあなたをわたくしの転生するための身体として用意したのは間違いない事実です。でも、あなたはあなたとして産まれてきた……」
あたし、邪魔者、だったの? 間違って産まれてきたの? 悲しい。悲しくて悲しくて。どうしようもなく心が乱れる……。
あたしさえ産まれてこなければ良かったってこと? そんなの……。
「いいえ。そうじゃないわ。ほんとあなたは千五百年前からぜんぜん変わらない……。あの時もそうだった。わたくしが転生する為に用意してた皇女サーラの身体にわたしくしより先に転生して。ねえ、瑠璃。あなたは覚えていないのかもしれないけど、あなたの魂の色をわたくしが見間違える事なんて無い。わたくしの大好きなサーラ、ううん、瑠璃。あなたを犠牲にすることだけは、わたくしには出来なかったの」
暗闇の中。あたしの頭を撫でる大聖女さまを感じて。
子供のように泣きじゃくっていたあたしの心に温かいものが流れ込んできた——
——そうでしょう? 確かに感情を封じ込める、彼の憎しみを封じた事で魔王としての猛威は減ったと思いますけど、それでもね?
「それでももうわたくしにはこれしか方法が思い浮かばなかったのです……」
——わたしの時のように、器に魔王石を取り込んでしまおうとは考えなかったの? レティーナは貴女が用意した器だったのでしょう? わたしの時のように……。
「ええ。ごめんなさいアリシア。確かにわたくしはあなたを犠牲にしようとしました。結果的にそうはならなかっただけで……。あの時のわたくしはこの世界を救う為にはその方法しか無いと思っていたのです。真の魔王を誕生させ、そしてその魔王石をもってこの世界の円環とする。そうしないとこの世界は崩壊する所でしたから……」
——そうね。不完全だったこの世界はわたしの中に出来た真の魔王の魔王石をレヴィアが解放した事で救われた。それは事実ですもの。
「一旦は貴女が吸収した筈のバルカが、まさかその後魔王として蘇るとはその時は考えても居ませんでした……」
——レヴィア=カエサルが大気に溶けたとき、バルカの魂《レイス》はそこから脱出していたのね。魔王のキオク、チカラを持ったまま……。
「千年前の戦いでバルカを封じた後。わたくしは今度こそバルカを浄化するために、自分が器に転生するつもりだったのです。その為に用意した筈の身体が今のレティーナだったんです」
え? あたしの身体? サンドラさまが転生するつもりだったの? 嘘? じゃぁどうして?
「ふふ。ごめんなさいねレティーナ。あなたはあなただから。確かにわたくしはあなたをわたくしの転生するための身体として用意したのは間違いない事実です。でも、あなたはあなたとして産まれてきた……」
あたし、邪魔者、だったの? 間違って産まれてきたの? 悲しい。悲しくて悲しくて。どうしようもなく心が乱れる……。
あたしさえ産まれてこなければ良かったってこと? そんなの……。
「いいえ。そうじゃないわ。ほんとあなたは千五百年前からぜんぜん変わらない……。あの時もそうだった。わたくしが転生する為に用意してた皇女サーラの身体にわたしくしより先に転生して。ねえ、瑠璃。あなたは覚えていないのかもしれないけど、あなたの魂の色をわたくしが見間違える事なんて無い。わたくしの大好きなサーラ、ううん、瑠璃。あなたを犠牲にすることだけは、わたくしには出来なかったの」
暗闇の中。あたしの頭を撫でる大聖女さまを感じて。
子供のように泣きじゃくっていたあたしの心に温かいものが流れ込んできた——
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