16 / 66
心がほぐれて。
しおりを挟む
「どうしてマクギリウスがここにいるの!!?」
「どうしてって、ひどいな。お嬢に会いたくてやっとこさここまで来たのにさ」
「だって……」
だって、マクギリウスを手放すだなんて思わなかったんだもの。
ラインハルト様にしても、マリアーナにしても、それに、お父様だって。
彼は優秀だ。
わたくしが離縁を言いつけられた時とは状況が違う。
マリアーナがトランジッタ家に嫁いだ事で、マクギリウスもそのままブラウド商会に留められるのかとそう思っていた。
ああだからラインハルト様は引き継ぎなんか必要ないと、そうおっしゃったのだな、と。
その時はそう納得してしまったものだったのに。
金色に逆だった髪は相変わらずで、尊大な態度もそのまま。自信家で迫力のある彼マクギリウス。
そんな彼が満面に笑みを浮かべ目の前にどんと立っている。
それがなんだか不思議で。
でもなんだかとても嬉しくて。
「わたくしも……、会いたかった……。でも、マクギリウスは帰ってこれないと思っていたの…」
「はん! 俺は俺の好きなようにするさ! まあ商会を捨ててくるのは気が引けたから一通り引き継ぎをしようとしたらちょっと時間がかかっちまったけどな」
「でも……」
マクギリウスはエルグランデ家の者だからそんな勝手お父様とかが許さないのじゃ……
「まあ、辞めるって啖呵切ったらラインハルトが驚愕してたけどな。生意気だだのなんだのほざきやがったから俺はお前に雇われていたわけじゃねえ! って、そう怒鳴ってそのまま一発殴って黙らせてきた」
え? そんなの……
「はは。心配しなくてもいいよ。お嬢には迷惑かけないから。それに、ここならやつらも手は出せないしな」
貴族を殴るだなんて、そんな事をして捕まったら何をされるかわからない。
それなのにケロッとしてるマクギリウス。
それが不思議だったけど、でもちょっと……
あんまりにもマクギリウスがおどけた調子で言うものだから、わたくしも思わずクスッと笑い声を漏らして。
「うん。お嬢は笑ってたらいいんだよ。お嬢の笑顔は誰よりもかわいいんだから」
そんなふうに言うマクギリウス。
それがとても嬉しくて。
凝り固まった心がほぐれていくような気がした。
結局、マクギリウスはそのままこの屋敷に住むことになった。
お祖父様がそれを許した? のだろうけど。
不思議なことに領地のお屋敷を守ってる執事のバトラよりもマクギリウスの方が立場が上のようにもみえる。
バトラはいつもマクギリウスを立てるし、様付けで呼んでいるから、まるでこのエルグランデ家の主人のようにも見えたりする時もある。
それは無いよね。そう思うけど、もしかして彼ってどこかの貴族の隠し子か御曹司かと見紛うくらいだ。
お祖父様もマクギリウスには自由にさせているみたい。
でもって、彼はいっつもわたくしのそばにいてくれたのだった。
「どうしてって、ひどいな。お嬢に会いたくてやっとこさここまで来たのにさ」
「だって……」
だって、マクギリウスを手放すだなんて思わなかったんだもの。
ラインハルト様にしても、マリアーナにしても、それに、お父様だって。
彼は優秀だ。
わたくしが離縁を言いつけられた時とは状況が違う。
マリアーナがトランジッタ家に嫁いだ事で、マクギリウスもそのままブラウド商会に留められるのかとそう思っていた。
ああだからラインハルト様は引き継ぎなんか必要ないと、そうおっしゃったのだな、と。
その時はそう納得してしまったものだったのに。
金色に逆だった髪は相変わらずで、尊大な態度もそのまま。自信家で迫力のある彼マクギリウス。
そんな彼が満面に笑みを浮かべ目の前にどんと立っている。
それがなんだか不思議で。
でもなんだかとても嬉しくて。
「わたくしも……、会いたかった……。でも、マクギリウスは帰ってこれないと思っていたの…」
「はん! 俺は俺の好きなようにするさ! まあ商会を捨ててくるのは気が引けたから一通り引き継ぎをしようとしたらちょっと時間がかかっちまったけどな」
「でも……」
マクギリウスはエルグランデ家の者だからそんな勝手お父様とかが許さないのじゃ……
「まあ、辞めるって啖呵切ったらラインハルトが驚愕してたけどな。生意気だだのなんだのほざきやがったから俺はお前に雇われていたわけじゃねえ! って、そう怒鳴ってそのまま一発殴って黙らせてきた」
え? そんなの……
「はは。心配しなくてもいいよ。お嬢には迷惑かけないから。それに、ここならやつらも手は出せないしな」
貴族を殴るだなんて、そんな事をして捕まったら何をされるかわからない。
それなのにケロッとしてるマクギリウス。
それが不思議だったけど、でもちょっと……
あんまりにもマクギリウスがおどけた調子で言うものだから、わたくしも思わずクスッと笑い声を漏らして。
「うん。お嬢は笑ってたらいいんだよ。お嬢の笑顔は誰よりもかわいいんだから」
そんなふうに言うマクギリウス。
それがとても嬉しくて。
凝り固まった心がほぐれていくような気がした。
結局、マクギリウスはそのままこの屋敷に住むことになった。
お祖父様がそれを許した? のだろうけど。
不思議なことに領地のお屋敷を守ってる執事のバトラよりもマクギリウスの方が立場が上のようにもみえる。
バトラはいつもマクギリウスを立てるし、様付けで呼んでいるから、まるでこのエルグランデ家の主人のようにも見えたりする時もある。
それは無いよね。そう思うけど、もしかして彼ってどこかの貴族の隠し子か御曹司かと見紛うくらいだ。
お祖父様もマクギリウスには自由にさせているみたい。
でもって、彼はいっつもわたくしのそばにいてくれたのだった。
77
あなたにおすすめの小説
『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様
恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。
不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、
伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。
感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、
ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。
「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」
足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。
「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」
一度凍りついた心は、二度と溶けない。
後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、
終わりのない贖罪の記録。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
妹ばかり見ている婚約者はもういりません
水谷繭
恋愛
子爵令嬢のジュスティーナは、裕福な伯爵家の令息ルドヴィクの婚約者。しかし、ルドヴィクはいつもジュスティーナではなく、彼女の妹のフェリーチェに会いに来る。
自分に対する態度とは全く違う優しい態度でフェリーチェに接するルドヴィクを見て傷つくジュスティーナだが、自分は妹のように愛らしくないし、魔法の能力も中途半端だからと諦めていた。
そんなある日、ルドヴィクが妹に婚約者の証の契約石に見立てた石を渡し、「君の方が婚約者だったらよかったのに」と言っているのを聞いてしまう。
さらに婚約解消が出来ないのは自分が嫌がっているせいだという嘘まで吐かれ、我慢の限界が来たジュスティーナは、ルドヴィクとの婚約を破棄することを決意するが……。
◇表紙画像はGirly Drop様からお借りしました💐
◆小説家になろうにも投稿しています
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
【完結】婚約者は私を大切にしてくれるけれど、好きでは無かったみたい。
まりぃべる
恋愛
伯爵家の娘、クラーラ。彼女の婚約者は、いつも優しくエスコートしてくれる。そして蕩けるような甘い言葉をくれる。
少しだけ疑問に思う部分もあるけれど、彼が不器用なだけなのだと思っていた。
そんな甘い言葉に騙されて、きっと幸せな結婚生活が送れると思ったのに、それは偽りだった……。
そんな人と結婚生活を送りたくないと両親に相談すると、それに向けて動いてくれる。
人生を変える人にも出会い、学院生活を送りながら新しい一歩を踏み出していくお話。
☆※感想頂いたからからのご指摘により、この一文を追加します。
王道(?)の、世間にありふれたお話とは多分一味違います。
王道のお話がいい方は、引っ掛かるご様子ですので、申し訳ありませんが引き返して下さいませ。
☆現実にも似たような名前、言い回し、言葉、表現などがあると思いますが、作者の世界観の為、現実世界とは少し異なります。
作者の、緩い世界観だと思って頂けると幸いです。
☆以前投稿した作品の中に出てくる子がチラッと出てきます。分かる人は少ないと思いますが、万が一分かって下さった方がいましたら嬉しいです。(全く物語には響きませんので、読んでいなくても全く問題ありません。)
☆完結してますので、随時更新していきます。番外編も含めて全35話です。
★感想いただきまして、さすがにちょっと可哀想かなと最後の35話、文を少し付けたしました。私めの表現の力不足でした…それでも読んで下さいまして嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる