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第二部。
王太子。
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「叔父上!」
その天よりの声に、天井を睨み叫ぶジェラルド。
《まあいいではないか、ウイリアムス。これではっきりしたのだ。フランソワ妃ではなくシルフィーナ嬢にかの女神の恩恵が宿っていると》
ジェラルドは右手で顔を覆い、そしてもう一度中空を睨みつけた。
「だから叔父上、私は今はジェラルドなのです。その名も出さない約束でしたでしょう?」
「許せ。ウイリアムス。どうせ彼女には話さなければいけないのだろう? であれば今全てをつまびらかにしても良いではないのか?」
それまでの天井からの声が止み、部屋の奥から出てきた真っ白な魔道服に身を包んだ男性。
彼が、魔道士の塔を束ねる大導師アグリッパ様なのだろうか?
それに、彼とジェラルドの会話。
意味深なそれに、頭の中で疑問符を浮かべていたシルフィーナ。
フランソワ妃って、コレット家のフランソワ様?
従姉妹のフランソワお姉様?
シルフィーナの祝言にも顔を出して下さった彼女。
お母様の実家のフランソワお姉様。
現在は王太子の側妃となっていたはずで。
そうして、そばまで来たアグリッパ様にまた驚くシルフィーナ。
そのお顔は、何度か王宮でお見かけしたオクタビアヌス国王陛下と瓜二つ、で。
違うところといえば、アグリッパ様の方がお口のお髭が若干多いような気がするくらいで。
「陛下、で、いらっしゃいます、か?」
慌ててソファーから立ち上がり、臣下の礼をとった。
♢ ♢ ♢
「驚かせてすまなかったね、叔父上アグリッパ大導師は王弟、国王陛下の弟君にあたる。重大な儀式などでは身代わりを務めることもあるから、なるべくそのお顔を晒さないようにして過ごしていらっしゃるんだ」
「まあそこまでの機密というわけでもないがな。ほれ、サイラスの坊主は知っておるはずだぞ? そなたには話さなんだのか?」
「はい……」
「私が頼んだのですよ。ジェラルドとすり替わるために」
え?
と、今更ながらに彼の顔を覗き込むシルフィーナ。
最初のソファーと同じように奥からススっと現れ、あっという間に応接セットよろしくソファーとテーブルのセットとなり。
今はそこに3人腰掛けた状態。
ジェラルド、ではなくウイリアムス様? は、なぜかシルフィーナの隣に座って。
赤い髪は、染めていらっしゃるのかしら?
確かウイリアムス王太子は見事な金髪だったはず。
そう社交の場でお見かけした彼のことを思い出す。
見事な金髪に金色の瞳だった王太子ウイリアムス様。今の彼も、先ほどまでかけていたメガネはもう外してしまっている。
まだ赤い髪が目立ってカモフラージュになっているとはいえ、今こうして見ると確かに顔立ちもウイリアムス様のそれに間違いなく。
「ふふ。今日は直接君に会いたかったからね、ジェラルドに頼み込んで立場を変わってもらったのさ。今頃彼は王宮で私の代わりをやっているよ」
え? それじゃぁ。
ウイリアムス様とジェラルド様は元々そっくりだということ?
彼らも身代わりができるほど似ていらっしゃるということかしら?
そう不思議そうな目で王太子を眺めるシルフィーナに。
「私とジェラルドは元々双子として生まれてきたからね。王家では双子は忌子だとしてジェラルドの方は生まれてすぐ親戚筋のスカイライン子爵家に里子に出されたんだよ。でもそれも、ほんの少しだけかけ違えばもしかしたら私の方だったかもしれないんだけれどね」
四大公爵家は王家のスペアとして、常にその血を繋いでいるのだとシルフィーナも聞いたことがある。
スカイライン子爵家はそんな公爵家の次男三男が跡目を継いできた分家のうちの一つであるとも。
直近のスカイライン子爵は先代オルレアン公爵の御子息であるのだとか。
「ねえ知ってる? 私は君のお姉さんとも貴族院で親しくさせてもらっていたんだよ」
(え? お姉様、と?)
「まあフランソワを通じて、だけれどね」
そう、悪戯な笑みを見せるウイリアムス殿下。
「私のフランソワに対する想いは嘘ではないけれど」
いきなりのそんな前置きをおいて。
「私たち王族は、ずっと女神を手に入れたかったんだよ。女神の血を、ね」
その天よりの声に、天井を睨み叫ぶジェラルド。
《まあいいではないか、ウイリアムス。これではっきりしたのだ。フランソワ妃ではなくシルフィーナ嬢にかの女神の恩恵が宿っていると》
ジェラルドは右手で顔を覆い、そしてもう一度中空を睨みつけた。
「だから叔父上、私は今はジェラルドなのです。その名も出さない約束でしたでしょう?」
「許せ。ウイリアムス。どうせ彼女には話さなければいけないのだろう? であれば今全てをつまびらかにしても良いではないのか?」
それまでの天井からの声が止み、部屋の奥から出てきた真っ白な魔道服に身を包んだ男性。
彼が、魔道士の塔を束ねる大導師アグリッパ様なのだろうか?
それに、彼とジェラルドの会話。
意味深なそれに、頭の中で疑問符を浮かべていたシルフィーナ。
フランソワ妃って、コレット家のフランソワ様?
従姉妹のフランソワお姉様?
シルフィーナの祝言にも顔を出して下さった彼女。
お母様の実家のフランソワお姉様。
現在は王太子の側妃となっていたはずで。
そうして、そばまで来たアグリッパ様にまた驚くシルフィーナ。
そのお顔は、何度か王宮でお見かけしたオクタビアヌス国王陛下と瓜二つ、で。
違うところといえば、アグリッパ様の方がお口のお髭が若干多いような気がするくらいで。
「陛下、で、いらっしゃいます、か?」
慌ててソファーから立ち上がり、臣下の礼をとった。
♢ ♢ ♢
「驚かせてすまなかったね、叔父上アグリッパ大導師は王弟、国王陛下の弟君にあたる。重大な儀式などでは身代わりを務めることもあるから、なるべくそのお顔を晒さないようにして過ごしていらっしゃるんだ」
「まあそこまでの機密というわけでもないがな。ほれ、サイラスの坊主は知っておるはずだぞ? そなたには話さなんだのか?」
「はい……」
「私が頼んだのですよ。ジェラルドとすり替わるために」
え?
と、今更ながらに彼の顔を覗き込むシルフィーナ。
最初のソファーと同じように奥からススっと現れ、あっという間に応接セットよろしくソファーとテーブルのセットとなり。
今はそこに3人腰掛けた状態。
ジェラルド、ではなくウイリアムス様? は、なぜかシルフィーナの隣に座って。
赤い髪は、染めていらっしゃるのかしら?
確かウイリアムス王太子は見事な金髪だったはず。
そう社交の場でお見かけした彼のことを思い出す。
見事な金髪に金色の瞳だった王太子ウイリアムス様。今の彼も、先ほどまでかけていたメガネはもう外してしまっている。
まだ赤い髪が目立ってカモフラージュになっているとはいえ、今こうして見ると確かに顔立ちもウイリアムス様のそれに間違いなく。
「ふふ。今日は直接君に会いたかったからね、ジェラルドに頼み込んで立場を変わってもらったのさ。今頃彼は王宮で私の代わりをやっているよ」
え? それじゃぁ。
ウイリアムス様とジェラルド様は元々そっくりだということ?
彼らも身代わりができるほど似ていらっしゃるということかしら?
そう不思議そうな目で王太子を眺めるシルフィーナに。
「私とジェラルドは元々双子として生まれてきたからね。王家では双子は忌子だとしてジェラルドの方は生まれてすぐ親戚筋のスカイライン子爵家に里子に出されたんだよ。でもそれも、ほんの少しだけかけ違えばもしかしたら私の方だったかもしれないんだけれどね」
四大公爵家は王家のスペアとして、常にその血を繋いでいるのだとシルフィーナも聞いたことがある。
スカイライン子爵家はそんな公爵家の次男三男が跡目を継いできた分家のうちの一つであるとも。
直近のスカイライン子爵は先代オルレアン公爵の御子息であるのだとか。
「ねえ知ってる? 私は君のお姉さんとも貴族院で親しくさせてもらっていたんだよ」
(え? お姉様、と?)
「まあフランソワを通じて、だけれどね」
そう、悪戯な笑みを見せるウイリアムス殿下。
「私のフランソワに対する想いは嘘ではないけれど」
いきなりのそんな前置きをおいて。
「私たち王族は、ずっと女神を手に入れたかったんだよ。女神の血を、ね」
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