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子猫の名前。
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街に戻るとまずカイをギルドまで連れていった。
倒れていたのを見つけたんですというと不思議そうな顔をされたけど、とりあえず魔法を使えないことになってるあたしが治癒魔法を使ったとか言えない。
持ってたポーションをとりあえず飲ませておきましたとだけ言って、あとはミミリィさんに丸投げしておいた。
詳しい事情も話すわけにもいかないし、見つけたのは真っ暗闇の洞窟でしたくらいしか話せてないけど、まあいいよね?
ただ、背中に魔物を集める香がかけてあったみたい、とだけは伝えておいた。
ちゃんと調べてもらえればわかるだろう。少し残り香もあるし。
あの蛇蝎とは縁が切れるといいんだけど。
そう願って。
あとは詰んだ薬草を少し常時依頼分として提出して、あたしは宿に帰ることにした、んだけど。
どうしよう、この子。
お客さん商売の宿屋に子猫なんか連れってって拒否されたらどうしよう。
それがちょっとだけ心配だった。
まあもし宿泊拒否されるようならしょうがない。
どこかの空き家にでも潜り込んで今夜は寝るかな。
ほんと、野良猫のように。
一応アイテムボックスには野営用の設備も入ってるけど、そこまで大掛かりなものを街中で見せるわけにもいかない。
この世界の毛布や布団、そういったものだけでも調達しなきゃ、かな。
そんなことも考えながら宿屋、山猫亭にたどり着いた。
「まぁまぁその子、どうしたんだい?」
「林で拾ったんです。まだ小さいのでそのままにしておけなくって」
「かわいいねー。お姉さんが飼うの?」
「うん。ティファ。できれば飼いたいって思ってるんだ」
「うちは、使い魔連れの冒険者とかも宿泊するからね。子猫連れでも構わないが」
「ああ、ありがとうございます!」
「ただ、そんなに小さいんじゃ世話も大変じゃないかね? 昼間とかどうするつもりだい?」
ああ、そっか。
冒険中、いつも連れ歩くのもおかしい、よね?
「そうですねー。明日考えます。今夜は一緒に泊まってもいいですか?」
「ああ。子猫用のミルクくらいなら出してあげるよ」
「ありがとうございます。助かります!」
「わたしにも後でさわらせてください! お願い。マキナお姉さん!」
「ふふ。いいわよティファ。うんと可愛がってあげてね」
子猫連れでの宿泊があっさり認められ、心配事が杞憂だったことにあたしは少し安心して。
子猫ノワを連れて部屋に戻った。
うん。もうこの子の名前はノワに決定。真っ黒な毛並みだしノワって名前はすごく似合ってるしね。
「よかったね。ノワ」
あたしはベッドに座るとノワを撫で回してそう声をかけた。
「ニャァ」
嬉しそうにそう答えるノワに。
あたしの顔は思いっきり綻んだのだった。
倒れていたのを見つけたんですというと不思議そうな顔をされたけど、とりあえず魔法を使えないことになってるあたしが治癒魔法を使ったとか言えない。
持ってたポーションをとりあえず飲ませておきましたとだけ言って、あとはミミリィさんに丸投げしておいた。
詳しい事情も話すわけにもいかないし、見つけたのは真っ暗闇の洞窟でしたくらいしか話せてないけど、まあいいよね?
ただ、背中に魔物を集める香がかけてあったみたい、とだけは伝えておいた。
ちゃんと調べてもらえればわかるだろう。少し残り香もあるし。
あの蛇蝎とは縁が切れるといいんだけど。
そう願って。
あとは詰んだ薬草を少し常時依頼分として提出して、あたしは宿に帰ることにした、んだけど。
どうしよう、この子。
お客さん商売の宿屋に子猫なんか連れってって拒否されたらどうしよう。
それがちょっとだけ心配だった。
まあもし宿泊拒否されるようならしょうがない。
どこかの空き家にでも潜り込んで今夜は寝るかな。
ほんと、野良猫のように。
一応アイテムボックスには野営用の設備も入ってるけど、そこまで大掛かりなものを街中で見せるわけにもいかない。
この世界の毛布や布団、そういったものだけでも調達しなきゃ、かな。
そんなことも考えながら宿屋、山猫亭にたどり着いた。
「まぁまぁその子、どうしたんだい?」
「林で拾ったんです。まだ小さいのでそのままにしておけなくって」
「かわいいねー。お姉さんが飼うの?」
「うん。ティファ。できれば飼いたいって思ってるんだ」
「うちは、使い魔連れの冒険者とかも宿泊するからね。子猫連れでも構わないが」
「ああ、ありがとうございます!」
「ただ、そんなに小さいんじゃ世話も大変じゃないかね? 昼間とかどうするつもりだい?」
ああ、そっか。
冒険中、いつも連れ歩くのもおかしい、よね?
「そうですねー。明日考えます。今夜は一緒に泊まってもいいですか?」
「ああ。子猫用のミルクくらいなら出してあげるよ」
「ありがとうございます。助かります!」
「わたしにも後でさわらせてください! お願い。マキナお姉さん!」
「ふふ。いいわよティファ。うんと可愛がってあげてね」
子猫連れでの宿泊があっさり認められ、心配事が杞憂だったことにあたしは少し安心して。
子猫ノワを連れて部屋に戻った。
うん。もうこの子の名前はノワに決定。真っ黒な毛並みだしノワって名前はすごく似合ってるしね。
「よかったね。ノワ」
あたしはベッドに座るとノワを撫で回してそう声をかけた。
「ニャァ」
嬉しそうにそう答えるノワに。
あたしの顔は思いっきり綻んだのだった。
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