45 / 61
俺が守るから。
しおりを挟む
「君は俺が守るから」
耳元でそう囁く声が聞こえた。
あたしは後ろから抱かれたまま宙に飛んで。
というか、あたしを抱いた彼によってそのまま上空に飛び上がっていた。
足を掴んでいた見えざる手を振りほどいて。
ガッチリ掴まれているけど恐怖とかそういうのは感じなかった。
だって。
あたしを抱きしめているのがノワだってすぐにわかったから。
「ノワール! 生きていたのか!!」
眼下からソユーズのそんな叫びが聞こえる。
あたしはゆっくり首を回し、肩越しにノワを見て。
「どうして……? ノワ」
「居ても立ってもいられなくって。出てきた。ダメだった?」
ううん、だめとかそんなんじゃなくって。
ってどうしてノワ、ちゃんと大きくなってるの!?
っていうかまるで元のノワールに戻ったみたいに大人のノワに。
「大人に戻れた、の?」
「はは。君のおかげ、かな」
そんなふうに意味深な笑みを浮かべるノワ。
背中から真っ黒なふさふさの翼をはやし、頭にはやっぱりふさふさな猫耳がついている。
装備はあたしがあげたレアアイテムの、ロムルスの鎧にロムルスの剣を腰に下げている。
獣人の大人の装いではあるけど、それでもその顔はちゃんと本来の勇者ノワールだ。
「君にはほんと、お礼も含めて言いたいことがいっぱいあるけど。でも今は下のを片付けなきゃ、かな」
そういうとノワ、あたしを片腕で支えたまま右手で剣を抜く。
そして。
「この子は俺の大事な人だ。お前らには傷ひとつつけさせやしない!」
宙に浮かんだままそう啖呵を切った。
⭐︎⭐︎⭐︎
睨むノワ。
そのノワを微妙な面持ちで見つめる三人。
このまま戦いが次のラウンドに進むのかと思っていたあたし。
睨むようにしてそのまま彼らを眺めていると、いきなりその三人が膝をついた。
ちょっと、どうしちゃったの? あなたたち?
っていうか三人ともすっかりと戦意を喪失してしまった様子で、そのまま項垂れている。
まあ戦いが終わったのなら一安心なんだけど。
あたしの空間魔法の壁バリア、これにはこれで弱点があった。
そもそも完全に世界を隔絶したわけじゃない。
薄皮のように貼ったレイヤーに、あたし自身の姿を写しただけのもの。
熱や光、そうした物理的な魔法は遮断しているけどそもそもそれじゃあたしも動けない。
マナは、そうした三次元空間のブレーンの上に存在する神の氣だ。
言うなればあたしは体の上にバリアを貼って、その上からマナのレイヤーにあたし自身のマトリクスを描いてた、そういう状態だったのだ。
だから、熱や光といった物理法則に沿った魔法であれば遮断できるけど、同じ空間を操るギア・アウラを使った魔法には弱い。
もちろん魔力の多寡によって違いはあるし簡単に破られたかどうかはやってみないとわからないけど、それでも危険だったのは間違いなくて。
ギリギリのところで顕現したノワールによって、あたしは上空に逃され助かったのだ。
ああ、ごめんねノワ。助けてくれてありがとう。ね。
あたしは抱かれたままのノワの腕を、ポンっと叩いて。
ん? っとこちらを見てくれたノワに。
「ありがとうノワ。でも、もう多分、降ろしてくれても大丈夫、かも?」
そう見上げるようにして言った。
「ああ、そうだね……」
彼も、神妙な面持ちで。
それはそうだ。色々思うことはあるだろう。
そう簡単に許せることじゃないもの。
でも。
ふんわりと、ゆっくりと。
ノワはあたしを抱いたまま、彼ら三人の目の前に、降りた。
耳元でそう囁く声が聞こえた。
あたしは後ろから抱かれたまま宙に飛んで。
というか、あたしを抱いた彼によってそのまま上空に飛び上がっていた。
足を掴んでいた見えざる手を振りほどいて。
ガッチリ掴まれているけど恐怖とかそういうのは感じなかった。
だって。
あたしを抱きしめているのがノワだってすぐにわかったから。
「ノワール! 生きていたのか!!」
眼下からソユーズのそんな叫びが聞こえる。
あたしはゆっくり首を回し、肩越しにノワを見て。
「どうして……? ノワ」
「居ても立ってもいられなくって。出てきた。ダメだった?」
ううん、だめとかそんなんじゃなくって。
ってどうしてノワ、ちゃんと大きくなってるの!?
っていうかまるで元のノワールに戻ったみたいに大人のノワに。
「大人に戻れた、の?」
「はは。君のおかげ、かな」
そんなふうに意味深な笑みを浮かべるノワ。
背中から真っ黒なふさふさの翼をはやし、頭にはやっぱりふさふさな猫耳がついている。
装備はあたしがあげたレアアイテムの、ロムルスの鎧にロムルスの剣を腰に下げている。
獣人の大人の装いではあるけど、それでもその顔はちゃんと本来の勇者ノワールだ。
「君にはほんと、お礼も含めて言いたいことがいっぱいあるけど。でも今は下のを片付けなきゃ、かな」
そういうとノワ、あたしを片腕で支えたまま右手で剣を抜く。
そして。
「この子は俺の大事な人だ。お前らには傷ひとつつけさせやしない!」
宙に浮かんだままそう啖呵を切った。
⭐︎⭐︎⭐︎
睨むノワ。
そのノワを微妙な面持ちで見つめる三人。
このまま戦いが次のラウンドに進むのかと思っていたあたし。
睨むようにしてそのまま彼らを眺めていると、いきなりその三人が膝をついた。
ちょっと、どうしちゃったの? あなたたち?
っていうか三人ともすっかりと戦意を喪失してしまった様子で、そのまま項垂れている。
まあ戦いが終わったのなら一安心なんだけど。
あたしの空間魔法の壁バリア、これにはこれで弱点があった。
そもそも完全に世界を隔絶したわけじゃない。
薄皮のように貼ったレイヤーに、あたし自身の姿を写しただけのもの。
熱や光、そうした物理的な魔法は遮断しているけどそもそもそれじゃあたしも動けない。
マナは、そうした三次元空間のブレーンの上に存在する神の氣だ。
言うなればあたしは体の上にバリアを貼って、その上からマナのレイヤーにあたし自身のマトリクスを描いてた、そういう状態だったのだ。
だから、熱や光といった物理法則に沿った魔法であれば遮断できるけど、同じ空間を操るギア・アウラを使った魔法には弱い。
もちろん魔力の多寡によって違いはあるし簡単に破られたかどうかはやってみないとわからないけど、それでも危険だったのは間違いなくて。
ギリギリのところで顕現したノワールによって、あたしは上空に逃され助かったのだ。
ああ、ごめんねノワ。助けてくれてありがとう。ね。
あたしは抱かれたままのノワの腕を、ポンっと叩いて。
ん? っとこちらを見てくれたノワに。
「ありがとうノワ。でも、もう多分、降ろしてくれても大丈夫、かも?」
そう見上げるようにして言った。
「ああ、そうだね……」
彼も、神妙な面持ちで。
それはそうだ。色々思うことはあるだろう。
そう簡単に許せることじゃないもの。
でも。
ふんわりと、ゆっくりと。
ノワはあたしを抱いたまま、彼ら三人の目の前に、降りた。
0
あなたにおすすめの小説
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました
藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。
逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、
“立て直す”以外の選択肢を持たなかった。
領地経営、改革、そして予想外の縁。
没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。
※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる