12 / 14
12.ずっとあなたの傍に
しおりを挟む
その日、クラウスはいつものように部屋にやってきてお茶を淹れてくれた。セシリアに気を使って静かに出ていこうとする彼をセシリアは呼び止めた。
「クラウス」
いつも読んでいる名前なのに、今までで一番緊張した。震えそうになる声を必死に抑えながら、思い切って声に出した。
「私ね、クラウスのこと…好きなんだと思う。私、貴方には沢山救われたわ。前回も今回も貴方は私を信じ、一番側で支えてくれた。私、それがとても嬉しかったの」
嬉しかった。誰も私を信じてくれない中で貴方だけは常に私を真っすぐ見てくれた。だから私は貴方だけは信じることができた。
「私はこれからも貴方に傍にいてほしい。きっとこれからも色んな困難があると思うけれど、それでも貴方と共に生きていきたいってそう思うの。だから―」
駄目だ。声の震えが止まらない。涙で視界もぐちゃぐちゃだ。必死に泣くのをこらえようとして唇を噛みしめた時、セシリアの身体が温かいものに包まれた。
「探しましょう、セシリア様。二人で生きる道を。ここではない、どこか遠い場所で」
鼻孔をくすぐる落ち着いた匂い。鼓膜を揺らす優しい声。目の前の大切な存在にセシリアは思いっきり抱き着いた。
「ええ。貴方とならどんなところにだっていけそうだわ」
「クラウス」
いつも読んでいる名前なのに、今までで一番緊張した。震えそうになる声を必死に抑えながら、思い切って声に出した。
「私ね、クラウスのこと…好きなんだと思う。私、貴方には沢山救われたわ。前回も今回も貴方は私を信じ、一番側で支えてくれた。私、それがとても嬉しかったの」
嬉しかった。誰も私を信じてくれない中で貴方だけは常に私を真っすぐ見てくれた。だから私は貴方だけは信じることができた。
「私はこれからも貴方に傍にいてほしい。きっとこれからも色んな困難があると思うけれど、それでも貴方と共に生きていきたいってそう思うの。だから―」
駄目だ。声の震えが止まらない。涙で視界もぐちゃぐちゃだ。必死に泣くのをこらえようとして唇を噛みしめた時、セシリアの身体が温かいものに包まれた。
「探しましょう、セシリア様。二人で生きる道を。ここではない、どこか遠い場所で」
鼻孔をくすぐる落ち着いた匂い。鼓膜を揺らす優しい声。目の前の大切な存在にセシリアは思いっきり抱き着いた。
「ええ。貴方とならどんなところにだっていけそうだわ」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
110
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる