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七章 決戦
32話 死線を越えた先 1
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コツ、コツと音を鳴らしながら暗い道を通っていく。後ろには5人が文句を言いながらもちゃんとついて来てくれていた。
コイツらには自由に生きろと言っていた手前、こんなところに半ば無理やりに呼んだのは悪いと思っていた。
「すまなかったな、お前ら。こんな場所に呼んじまって」
「ほんとだぜ。でも、俺たちが頑張らなくちゃあの世界は滅びるんだろ?」
「それは嫌だしね。まだ観て回りたいところいっぱいあるし」
「美味しいものもいっぱい食べたいし」
「結婚したいし」
「俺も童貞だからせめて一回セックスしたかった」
「終わったら好きなだけしとけ。お前らは死んでもまだ生き返れるんだ。時間はかかるだろうが、生き返った時には今よりもっと賑やかな世界になってるだろうからさ」
「それもそうだな。でもまだ死にたくないから頑張るけどな」
「私だって死にたくないし」
「それもそうだよな。でも、死ぬ覚悟はしておけよ?」
「安心しろって。こうは言ってるが、死ぬ覚悟がなかったらついてきてねぇよ」
「僕たちは一心同体。オリジナルの願いを叶えるのもコピー体である僕たちの願いでもあるんだよ」
「……ありがとな」
俺はここまで言ってくれるコイツらには感謝しかなかった。今まで散々こき使ってきたが、本当にいい奴らだと思う。
「俺は……この大戦できっと死ぬと思う」
「おいおい、なに言ってんだよ。冗談も休み休みに言えよ」
「神は殺されることはない。殺したとしてもすぐに蘇生される。俺が今まで殺した神も、ステータスは奪っているが蘇生されているはずだ。あの龍族のはどうかわからないが遊戯神は多分生き返ってる」
「それがどうしたよ」
「俺は今回、その概念を壊す。つまり、神も殺せれるようにするんだ」
「そ、それだと、オリジナルだって殺されたら蘇生できないじゃないか」
「ああ。だから死ぬかもしれない。ガイア様にはああ言ったが、もし俺が死んだらアイツらのことは頼む」
俺がそう言うと、後ろの5人は同時に足を止めた。後ろを振り返ると、シグルドがいきなり殴りかかってきた。
その拳は早く、すぐに反応が出来ずに殴り飛ばされてしまう。
「冗談も言え休み休みに言えっつっただろ!なにがあとは頼むだ調子に乗んな!お前は全部を守る自己満足のためにここにいるんだろ!なら、その自己満足をちゃんと果たせよ!ミリーナを、家族を幸せにするんだろ……お前が死んだら、誰も幸せになんねぇよ」
「シグルド……」
シグルドが殴った体制のまま、嗚咽を漏らしながらそう叫んだ。
「だいたい!お前はいっつもミリーナとか家族優先に考えて、それはお前にとって自己満足なんだろうが周りはそう思っちゃねえんだよ!お前に救われてんだよ!お前のお陰で明日っていう幸せがあるんだよ!俺たちだって、お前のお陰で今ここに人として立ってられるんだよ。お前のやってきた自己満足はな、俺たちにとっては尊いものなんだよ。だからっ…死ぬなんて言うなよ。頼むから、世界を救うお前の自己満足で、俺たちに、世界中の人に幸せの明日をくれよ」
俺に近付き目の前で、涙を流しながらそう怒り叫ぶシグルドを声を聞き、俺は俺の勘違いに気づいた。
俺は、1人じゃないんだと。
こんなにも恵まれた仲間に出会えていると。
そう思うと、涙が出て込み上げてきた。
死ぬという発想をしていた自分がバカみたいで、途端にアホらしくなった。
「そうだな、悪かった。俺はここで誓おう。必ず戻って、世界中に明日を届けてやるって」
「……ああ。頼むぜ」
不安のせいで、俺らしくもないことを言っていた。
死ぬなんてことは考えるな。俺は強い。仲間もいる。あいてがどんなやつであっても、俺なら、俺たちなら必ずやれる。
気持ちを切り替えるために頬を叩く。シグルドたちも、俺を真似してか頬を叩いていた。
「行こう。必ず全員で、生きて帰るぞ」
「「「「「おう!!」」」」」
ふたたび歩む。大戦に勝ち、生きてみんなで凱旋しようと心に決めて。
ーーーーーーーー
作者より。
どうせ来るんだったらこっちから行ってやろうって魂胆ですね。しばらくタイトルが同じですが、頑張って書くので応援よろしくお願いします!
コイツらには自由に生きろと言っていた手前、こんなところに半ば無理やりに呼んだのは悪いと思っていた。
「すまなかったな、お前ら。こんな場所に呼んじまって」
「ほんとだぜ。でも、俺たちが頑張らなくちゃあの世界は滅びるんだろ?」
「それは嫌だしね。まだ観て回りたいところいっぱいあるし」
「美味しいものもいっぱい食べたいし」
「結婚したいし」
「俺も童貞だからせめて一回セックスしたかった」
「終わったら好きなだけしとけ。お前らは死んでもまだ生き返れるんだ。時間はかかるだろうが、生き返った時には今よりもっと賑やかな世界になってるだろうからさ」
「それもそうだな。でもまだ死にたくないから頑張るけどな」
「私だって死にたくないし」
「それもそうだよな。でも、死ぬ覚悟はしておけよ?」
「安心しろって。こうは言ってるが、死ぬ覚悟がなかったらついてきてねぇよ」
「僕たちは一心同体。オリジナルの願いを叶えるのもコピー体である僕たちの願いでもあるんだよ」
「……ありがとな」
俺はここまで言ってくれるコイツらには感謝しかなかった。今まで散々こき使ってきたが、本当にいい奴らだと思う。
「俺は……この大戦できっと死ぬと思う」
「おいおい、なに言ってんだよ。冗談も休み休みに言えよ」
「神は殺されることはない。殺したとしてもすぐに蘇生される。俺が今まで殺した神も、ステータスは奪っているが蘇生されているはずだ。あの龍族のはどうかわからないが遊戯神は多分生き返ってる」
「それがどうしたよ」
「俺は今回、その概念を壊す。つまり、神も殺せれるようにするんだ」
「そ、それだと、オリジナルだって殺されたら蘇生できないじゃないか」
「ああ。だから死ぬかもしれない。ガイア様にはああ言ったが、もし俺が死んだらアイツらのことは頼む」
俺がそう言うと、後ろの5人は同時に足を止めた。後ろを振り返ると、シグルドがいきなり殴りかかってきた。
その拳は早く、すぐに反応が出来ずに殴り飛ばされてしまう。
「冗談も言え休み休みに言えっつっただろ!なにがあとは頼むだ調子に乗んな!お前は全部を守る自己満足のためにここにいるんだろ!なら、その自己満足をちゃんと果たせよ!ミリーナを、家族を幸せにするんだろ……お前が死んだら、誰も幸せになんねぇよ」
「シグルド……」
シグルドが殴った体制のまま、嗚咽を漏らしながらそう叫んだ。
「だいたい!お前はいっつもミリーナとか家族優先に考えて、それはお前にとって自己満足なんだろうが周りはそう思っちゃねえんだよ!お前に救われてんだよ!お前のお陰で明日っていう幸せがあるんだよ!俺たちだって、お前のお陰で今ここに人として立ってられるんだよ。お前のやってきた自己満足はな、俺たちにとっては尊いものなんだよ。だからっ…死ぬなんて言うなよ。頼むから、世界を救うお前の自己満足で、俺たちに、世界中の人に幸せの明日をくれよ」
俺に近付き目の前で、涙を流しながらそう怒り叫ぶシグルドを声を聞き、俺は俺の勘違いに気づいた。
俺は、1人じゃないんだと。
こんなにも恵まれた仲間に出会えていると。
そう思うと、涙が出て込み上げてきた。
死ぬという発想をしていた自分がバカみたいで、途端にアホらしくなった。
「そうだな、悪かった。俺はここで誓おう。必ず戻って、世界中に明日を届けてやるって」
「……ああ。頼むぜ」
不安のせいで、俺らしくもないことを言っていた。
死ぬなんてことは考えるな。俺は強い。仲間もいる。あいてがどんなやつであっても、俺なら、俺たちなら必ずやれる。
気持ちを切り替えるために頬を叩く。シグルドたちも、俺を真似してか頬を叩いていた。
「行こう。必ず全員で、生きて帰るぞ」
「「「「「おう!!」」」」」
ふたたび歩む。大戦に勝ち、生きてみんなで凱旋しようと心に決めて。
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作者より。
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